2023年7月号
№193
号
通巻877号
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
小閑記
「パウロとエルサレム」(Ⅰ)
(ローマ書15:30~33)
パウロの戦いは、生やさしいものではありませんでした。パウロにしてみれば、これなどは取り立てて言うほどでもなかったかも知れませんが、だれもが経験するようなものではありませんでした。ローマ人への手紙の背景に、このような凄惨な戦いを、だれが予想したでありましょう。
問題は、エルサレムのユダヤ人たちによる迫害であります。エルサレムは、教会の発祥の地であります。福音は、ここから宣べ始められました。パウロも、直ぐ前に、「わたしはエルサレムから始まり」(15:19)と言って、自分の伝道の起点がエルサレムであることを示していますし、伝道旅行の帰りには、必ずエルサレムに立ち寄りました。今度も、この手紙を書いた後で、帰途に就くのですが、その時、やはりエルサレムに向かうことになっているのです。
ことに、外地に教会からの多くの贈物まで持って行こうと言うので、パウロはエルサレムの教会のことをどんなに思っていたかが分かるのであります。
ところが、エルサレムの事情は、パウロの気持ちや熱心とは、全く反対の方に動いておりました。それは、この旅から帰ったパウロがエルサレムで捕らえられた(使徒21:27~36)のをみても想像のつくことであります。パウロは、それをよく知っております。有名なミレトの別れの言葉の中にも(使徒20:17~38)、パウロは、エルサレムでの迫害を予想し、「わたしの顔を、二度と見ることはあるまい」と言ったのでみんなの者が泣いたと書いてあります。
ところが、この平静に書かれたとみえる手紙の終わりに、彼自身の筆で、そのことが書かれたのであります。つまり、是非祈って欲しいことの内容として、「わたしがユダヤにおける不信の徒から救われ」るようにと書いてあります。救われると言うのはおだやかな言葉ではありません。しかし、パウロが予感しうる限りでは、救われるという言葉を使う必要なほどに、切迫した事情であり、悲しいことが待ち受けていたらしいのであります。リーツマンのような冷静な注解者さえ、「使徒会議があったにも関わらす、エルサレムの人々の異邦人キリスト者教会に対する反対は、考えられる限りのもっとも激しいもの」と申しております。
パウロはなぜそんなに嫌われたのでしょうか。先ず、ユダヤ人たちの反対があったことでしょう。パウロは、ユダヤ教の熱心家であり、教会を迫害までした人でありましたが(ピリピ3:6)、やがて回心して福音を信ずるようになり、伝道者になったのであります。したがって、ユダヤ教の人々から言えば、到底許すことの出来ない反逆であると言うことになりましょう。だから、教会さえ機会があれば、彼を捕らえて、あわよくば殺してしまいたいと思ったのです。
現に、捕らえられたパウロが、エルサレムからカイザリヤに護送される時に、40人あまりの刺客を用意したと使徒行伝には書いています。パウロが不信の徒から救われるように祈って欲しいと言ったのは、決して誇張ではなかったのであります。
竹森満佐一著「ローマ書講解説教」(新教出版社)
上河原立雄撰
PR
この記事にコメントする
カテゴリー
ブログ内検索
バックナンバー
カウンター
★ごあんない★
毎月第一日更新
お便り・ご感想はこちらへ
お便り・ご感想くださる方は下記のメールフォームか住所へお願いいたします。お便りは「つのぶえジャーナル」の管理人のみ閲覧になっています。*印は必須です。入力ください。
[PR]Samurai Sounds
〒465-0065 名古屋市名東区梅森坂4-101-22-207
緑を大切に!
書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円