2023年7月号
№193
号
通巻877号
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「ローマ人への手紙」研究 (75)
第46課 異邦人の召命とユダヤ人の拒否
9章1~11章36節(続)
D 福音はすべての人の必要に適応したものであり、万人に伝えられるべきものである。
10章11~21節 (2)
「ユダヤ人とギリシャ人との差別はない。同一の主が万民の主であって、彼を呼びもとめるすべての人を豊に恵んで下さるからである」(10:12)。この言葉は11節の「すべて彼を信じる者」を説明しています。すなわち、救いについてユダヤ人と異邦人との差別はないのです。確かに、ユダヤ人と異邦人との間には多くの相違があります。しかし、彼らが共に救いを必要としている罪人であるということと、彼らが救われる方法については、全く差別はありません。
彼らは共に同じ立場にあるのであって、等しく罪人であって、救いを必要としており、彼らは全く同じ方法で救いに与るのです。すなわち、万物の上に主であるキリストが価なしに与えてくださる恵みによって救われるのです。
12節の「主」(Lord)が神を指すのか、キリストを指すのかを決定することは極めて難しく、ほとんど不可能と言えます。どちらを指しているにしても両方に理由があります。しかし、これはたいして重要な問題ではありません。「教理的には、どちらの説を採っても大した差はない。神を信じる信仰は、すなわち、キリストを信じる信仰である。なぜなら、キリストは神であるからだ。このことは認められなければならない大切な真理である。福音の下における救いの条件は、キリストを神として受入れることである」(C・ホッジ)。
「主の御名を呼び求める」(call upon)という表現は聖書の中にしばしば見られます(創世4:26,12:8、イザヤ64:7、使徒2:21、9:14、22:16、Ⅰコリント1:2、Ⅱテモテ2:22)。「主を呼びもとめる」とは「彼に対する真の信仰」を意味します。「全てを信じる者」と「主の御名を呼びもとめる者」とは、要するに同じことの違った表現に過ぎません。
「主の御名を呼び求める者は、すべて救われる」(10:13、ヨエル2:32より引用)。この引用は11節におけるイザヤ書からの引用と、意味においては殆んど同じであります。ヨエルの預言はメシヤの来臨とメシヤがもたらす祝福の時期を示しています。この時期においては、主を呼びもとめる者はすべて-ユダヤ人と異邦人の区別なく-救われるのです。この同じヨエル書の言葉がペンテコステの日にペテロによって引用されていることに注意したいものです(使徒2:21)。
パウロはここで、キリストを信じる者はすべて救われるということは、パウロ自身が教える教理であるばかりでなく、ヨエルやイザヤの言葉が示しているように、旧約の教理でもあることを示しているのであります。
この真理は、旧約に極めて明瞭に教えられているのに、パウロの時代のユダヤ人たちはそのことに無知でありました。使徒ペテロでさえそれを理解するのに困難を感じたのです(使徒10章、ガラテヤ2:11~16)。イスラエルは特別な立場を持っているという考えはユダヤ人の心の中に深く刻み付けられていたので、彼らは神と民と言うこの特殊な地位というものが、それ自体が目的ではなく、実は目的への手段であることを理解できなかったのです。すなわち、アブラハムの末によって地上のすべての民が祝福を受けるという目的への手段であることを理解できなかったのです。そして、彼らはまた、イスラエルの特殊な地位を永遠的なものではなく、メシヤが来る時までの一時的なものであったことが理解できなかった。だから、彼らの特殊な地位を永遠的であり、それ自体が目的であると考えていたから、彼らは異邦人の救いについての旧約の預言に無知であり、それらの預言を真剣に考慮して考えることが出来なかったのです。
J.G.ヴォス著
玉木 鎮訳
(日本キリスト改革派引退教師)
この文章の転載は訳者の許可を得ております。
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書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円