2023年7月号
№193
号
通巻877号
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ベタニヤのマリヤ
(ルカによる福音書10章38~42節)
新約聖書に、マリヤという名の婦人が6人出てまいります。イエス様の母マリヤ、マグダラのマリヤ、クロパの妻マリヤの三人に付きましては、すでに学んでまいりました。それで、ここではベタニヤのマリヤのお話しに移りましょう。
皆様もご存知と思いますが、ベタニヤという町は、都エルサレムから約3km程離れたオリブ山沿いの小さな町です。このベタニヤの町とイエス様とは関係の深い所で、そこはイエス様を愛し、イエス様と密接な交わりを持った家族が住んでおりました。それが、このマリヤの家族です。
ルカによる福音書10章38~42節や、マルコによる福音書14章、ヨハネによる福音書11章を見ますと、この家族には3人の兄弟がおりました。姉のマルタと妹のマリヤ、そして弟のラザロの3人でした。
イエス様がベタニヤの町においでになりました時、マルタはイエス様を喜び迎えて、いろいろとおもてなしのために働きました。けれども、妹のマリヤはイエス様の足もとに座って、じっとイエス様のお口から出るお言葉に聞き入っておりました。弟のラザロにつきましては、ヨハネによる福音書11章によりますと、彼は一度死んだのですが、イエス様によってよみがえらされた青年であることが記されています。また、この二人の姉妹マルタとマリヤの性格を、よく調べてみますと、おもしろいことに、彼女たちは姉妹でありながら、二人の性格は、全然正反対でまったく違ったものでした。マルタは実際的で、活動家であるとしますならば、それに反してマリヤは瞑想的であり、精神的であって、信仰生活を第一としていたと言えるでしょう。
ルカによる福音書10章39節を見ますと、イエス様がベタニヤの町においでになり、マルタとマリヤの姉妹の家の客となられた時、マリヤはお掃除や食事のことなどに少しも気を配らず、もっぱらイエス様の足もとに座って、イエス様のお言葉に耳を傾け、この機会を逃すまいと努めています。この妹のマリヤの態度は、いろいろと考えさせられ、教えられるところがございます。
日本の婦人の方々は、家事のことやいろいろな仕事に追われて、精神的な修養の時間がないとよくいわれています。イエス様はそのようにいわれます婦人の方々に、こう言われることでしょう。「あなたは多くのことに心を配って思いわずらっている。しかし、無くてならぬものは多くはない。いや、一つだけである」(41~42)と。
グループ活動や、サークルの集いに出る時間は、何とかやり繰りして作りますが、聖書を読む時間とか、真の神を礼拝するため、神のみ言葉を聞くために、教会へ行くための時間を作り出せないようであります。また、ある人たちは、洋裁を学んだり、お茶やお花をたしなむ時間や、レジャーを楽しむ時間が十分ありましても、真の神のことを学ぶ時間は全然なさそうです。
イエス様は、すべての心ずかいをすてて、真理を追求するマリヤの態度を、何といわれれましたでしょうか。ルカ福音書10章42節によりますと、「マリヤはその良い方を選んだのだ。そしてそれは、彼女から取り去ってはならないものである」とおおせになっています。永遠に続くものは何でございましょうか。それは魂の賜物であります。花は散り、木は枯れます。同様に、この世の物はすべて消え失せてしまいます。けれども、精神的・霊的なものだけは、決して消えません。あなたがたは、この永遠に続く賜物を、今、お持ちになっておりますか。
ベタニヤのマリヤのお話を読んでいく内に、もう一つ、非常に麗しい出来事に出合います。イエス様が十字架におかかりになる6日前のことでした。イエス様が、今一度、ベタニヤの町においでになり、マルタとマリヤの家の客となられました。ご馳走がならべられ、夕食が始まりました。彼女たちの弟で、先に死からよみがえらされたラザロも加わっておりました(ヨハネ12:12)。その時、マリヤは価の高い純粋なナルド(註1)の香油を300グラムもって、イエス様のみ足にぬり、自分の髪の毛でぬぐい始めました。
これを見ていたイエス様の弟子で、後にイエス様を裏切ったユダが、「なぜこの香油を300デナリ(註2)に売って、貧しい人たちに施さなかったのか」と咎めました。するとイエス様は、「するままにさせておきなさい。なぜ女を困らせるのか。わたしによい事をしてくれたのだ。・・・。この女はできる限りの事をしたのだ。すなわち、わたしのからだに油を注いで、あらかじめ葬りの用意をしてくれたのである。よく聞きなさい。全世界のどこででも、福音が宣べ伝えられる所では、この女のした事も記念として語られるであろう」(マルコ14:6~9)と言われました。
このイエス様のお言葉で、最も注意をしなければなりませんところは、「この女はできる限りの事をしたのだ」と、おおせいになったところです。わたしたちは、お互いに神様のために、できる限りの奉仕をしているでしょうか。怠けてはおりませんでしょうか。あなたは、教会員で重症の病気の方をお見舞いしたのは、何時のことであったでしょうか。また信仰問題で心に悩みを持っている青年を励まし、語り合って、イエス様のみもとに導こうと努力したのは何時のことでしょうか。
註1・・ナルドはネパール、ブータン、チベット原産、おみなえし科の多年生草木で、根茎の部分から優秀な香料が採れます。
註2・・デナリはイエス様の在世当時のローマの銀貨で、約17セントに当ります。1デナリが農夫1日の賃金に価しました。
ポーリン・マカルピン著
(つのぶえ社出版)ポーリン・マカルピン著
この文章の掲載は「つのぶえ社」の許可を得ております。
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緑を大切に!
書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円