2023年7月号
№193
号
通巻877号
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ビルマ
戦犯者の獄中記 (2) 遠山良作 著
昭和20年
10月23日
ビルマは乾期である。今日も強烈な太陽の直射を受けて所内の草むしりである。一列横隊で広場の小石を拾ったり、草を抜き取る作業である。流れる汗で上衣はすぐに水をかぶったようになる。草むしりのない日は、穴掘り、牢獄の格子戸や床板を光るまで雑布で磨くのである。入所して10日位しかたたないのに誰の顔にも疲労と日やけのため別人のように見える。
今日も幾人かの友が病で倒れた。これらの病人を収容するために獄の一部を病棟に当て、収容した。すでに30数名のものが入っていると聞く。馴れない苦しい作業を終えて夕暮れになると、千羽、幾万羽の鳥の群がどこかの寝ぐらへと飛んで行く。今日もやっと一日が終わったと東の空を眺めては故郷を思う。
疲れた身体に鞭打って監房に帰り、英兵の点呼を受けて“ガチャン”という施錠の重苦しい響きは自由の響きでもある。真っ暗な牢獄で友と体をくっつけてのゴロ寝である。隣の友のかすかな寝息すら聞こえてくる。
キラキラと 光る太陽 面に受け 作業するわれら 休むことなし
10月24日
10時頃、作業の途中、全員広場に並ぶように指示がある。一列に並んで首実験である。われわれの前を英兵に付き添われたインド人、カレン人、ビルマ人たち11名が一人一人の顔をのぞき込むようにして通る。時々、止まってはゆびで指し、指さされた者は、一歩前に出る。私は「マメサリ」(印度人)から指された。一瞬頬が硬張する思いである。終戦直前に通敵容疑者として、彼を逮捕したことがあった。マメサリは、私の他に、永田大尉、石沢曹長、塩田軍曹をも指名したが、事件とは関係ない者たちで、間違えて指名したものと思う。
マメサリはインド語で英人に何か話していたがわからない。私たちの他に、終戦直前に弓部隊が行った「カラゴン村」せん滅作戦に応援のため参加したモールメン分隊の小林曹長、野本軍曹、森本伍長は、カラゴン村民より指された。また、コーカレー地区に降下した空挺部隊を援助していたインド人から指された。私はコーカレー分隊員等、指された17名と共に独房に移された。
10月25日
この獄房は雑居房とは別棟になっている。終戦を迎える日までモールメン憲兵分隊が留置場として使用していた棟である。二階建てでまん中が廊下になっていて、その両側が独房になっている。部屋数は60、扉は鉄である。食事の時のみ開けてくれるが、終日一人で寝転んでいる。作業がないのがありがたい。
写真:出版記念会・筆者ご夫妻とご子息夫妻とそのお子さんたち
この文章の転載はご子息の許可を得ております。PR
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緑を大切に!
書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円