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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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 「ローマ人への手紙」研究 (77)s-200809071313000.jpg
 第47課 異邦人の召命とユダヤ人の拒否
       9章1~11章36節(続)
D 福音はすべての人の必要に適応したものであり、万人に伝えられるべきものである。
       10章11~21節 (3)
 
  現代のキリスト信者の多くが、一般的に言って、宣教ということに無関心であるといえます。彼らがそのために献げるものは、自分自身が自分のため、或いは、自分の教会のために費やすものに比べるならば、少ないと言えるのです。米国などにおいても、外国伝道ということは、何か赤十字などの働きに類するもので、慈善の業とか博愛事業の別名ぐらいに考える向きが多い。だから時折に寄付をすればよいと考えています。
 そのような考えは宣教活動についての妥当な考え方ではありません。これは神が私たちにお与えになった厳かな命令なのです。神が権威をもって教会の上に課せられた使命であり、キリスト信者一人一人が、それに対して関心を持ち、支えるべき性質のことなのです。私たちは「ギリシャ人にも未開の人にも、賢い者にも無知な者にも果たすべき責任がある」(1:14)のです。すなわち、全ての世界に対して、果たすべき責任があると言わなければなりません。
 
 今日において宣教の業と呼ばれるものの多くが、パウロの意味における福音の宣教ではない。自由主義神学の諸教派において、宣教の業と呼ばれるものが行われていますが、それは十字架に付けられたキリストを罪人に宣べ伝えることよりも、むしろ一種のヒューマニズム的な社会奉仕的なものとなってしまっているのです。神が教会の上に課せられた事柄は、内外の罪人たちにキリストの救いの福音の真理を宣教するという義務を遂行することであり、それを支えることです。従って言うまでもなく、救われたキリスト信者でなければ宣教者となることはできないのです。
 
 A・シュバイッアー博士の事業は真に偉大です。彼は多くの人々から偉大な宣教師と言われ、またある人たちからは世界の中で最も偉大なキリスト信者であるとさえ言われています。彼が偉大であることは言うまでもないことです。彼は実に多方面に才能を持つ天才です。また、神学、医学、音楽の三分野における業績を持っています。しかし、聖書及び正統的な信仰から言うならばシュバイッアー博士は全くキリスト信者ではないと言ってもよいのです。彼についての伝記は数多くありますけれども、それらはいずれも彼の神学的な見解に注意を払っていません。彼の多くの著書から彼の神学理解は世によく知られています。
 例えば、「歴史的イエスの探求」という有名な著書は、明確に彼のイエス観を示しています。彼の理解によれば、イエスはその弟子たちがまだ地上に生きている間に地上に帰って来ることを期待していた。しかし、イエスはこの点で誤っており、錯覚の犠牲者です。言うまでもなく、このようなイエスは世界の救い主でもないし、また、聖書の中に提示されているイエスでもなく、さらには、パウロが宣ベ伝えたイエスでもないのです。
 多くのキリスト信者がシュバイッアー博士を最高の賛辞をもって賞賛するのを聞きます。しかし、それらの人たちは自由主義神学的な出版物の中の論説などによって誤って教えられているのです。シュバイッアー博士の事業は確かに偉大であるにしても、それは本質において、アフリカ人への聖書の福音の伝達よりも、むしろ、人間主義的奉仕なのです。
 
 10章15節は、イザヤ書52:7からの引用です。この聖句は私たちに福音という言葉の真意を教えています。それは「よきおとずれ」なのです。「よきおとずれ」「よい知らせ」とは何でしょうか。聖書によれば、それはイエス・キリストを内容とするよい知らせ、すなわち、罪人の救い主として十字架につけられ給うたキリストと言う知らせなのです。「ああ、麗しいかな、良きおとずれを告げる者の足は」は、宣教者が遣わされるというということは何と素晴らしく、また、喜ぶべきことであろうかと言う意味です。
 暗きと死の谷の蔭にある罪人に福音の光を携えて行くということは、何と素晴らしく有益な仕事でしょうか。私たちはどんなにか喜んで熱心にそれを支えなくてはならないかというです。教会の伝道活動を支えることに消極的であったり、惜しんだりしているということは、どんなにか罪深いことでしょうか。宣教活動を進めることを怠ったり拒否したりする教会は、自己中心主義のために沈滞し萎縮してしまうのです。この宣教活動においても、私たちは「受けるよりは与える方が、さいわいである」(使徒20:35)ことを覚えるべきです。 
 J.G.ヴォス著
         玉木  鎮訳(日本キリスト改革派引退教師)
この文章の転載は訳者の許可を得ております。
 
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書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

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教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
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「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

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「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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