2023年7月号
№193
号
通巻877号
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エフタの娘
(士師記11:29~40)
ここに登場します一人の女性は、名前の分らない一人の若い娘です。名前が分らないといっても、この乙女は自分の身を犠牲にして、喜んで父の言葉に従った点、歴史上決して忘れてはならない存在です。日本では孝は百行の基といって、孝行と言うことが古くから尊重されていますが、聖書に出てくるこの名前の分らない可憐な一人の乙女の挿話は、孝行の意味をよく現わしていると思います。この娘の親であるエフタは、イスラエルの裁き人(士師)でした。ここで前出のデボラのことを思い起こして下さい。
イスラエルは、おおよそ三百年の間、このような裁き人に指導され、治められていたのです。(この頃にはまだイスラエルには王はなかったからです)。
エフタの時代、イスラエル民族と戦ったのは、アンモン人でした。士師記11章29節以下を読みますと、神はエフタをイスラエルの指導者としてお選びになり、このアンモン人との問題を解決させるために、責任をお持たせなりました。エフタは、今で言う平和主義の人で、戦争の悲惨とその害悪を知って戦いを嫌いましたから、彼はなるべく平和的に事を解決しようといろいろと努力いたしました。けれども、アンモンの王は少しも互譲の精神がなく交渉に応じません。仕方なくエフタは戦争に訴えて勝利を治めました。
ここで問題となるのは、エフタの出陣のとき、「わたしがアンモンの人々に勝って帰る時、わたしの家の戸口から出てきて、わたしを迎える者はだれでも主のものとし、その者を潘祭としてささげましょう」(11:31)と、神に誓ったのです。そして帰ってきた時、真っ先に飛び出して喜び迎えたのは、何と自分の一人娘であったのです。想像しますのに、この娘はお婿さんを迎える年頃で、きっと美しいプリンセスのような娘で、鼓を抱えて舞い踊り、父を迎えた姿が絵のように、目の前に浮かんできます。
父エフタはこの有様を見て、かつての出陣の時の誓いを思い起こし、さぞ胸裂ける思いであったでしょう。楽しいはずの凱旋の庭は、たちまち悲しみの場と変りました。仕方なく彼は誓いのことを詳しく娘に物語りました。この時の娘の驚きと悲しみは察するにあまりがあります。しかし、娘の態度は実に立派なものでした。その悲しみも見せず、父に、「父よ、あなたは主に誓われたのですから、主があなたのために、あなたの敵アンモンの人々に報復された今、あなたが言われたとおりにわたしにしてください」(36)と、はっきり言いました。父はそのけなげな娘の覚悟を見て、衣を裂き、「ああ、娘よ」と泣き叫んだとあります。
娘は、二ヶ月の猶予を求め、友と共の山に入りました。多分、心を静めて神に祈ったことでしょう。二ヵ月後、彼女は父のもとに帰り、父の誓いに従いました。この事から、イスラエルの娘たちは年々その山に行って、4日ほどエフタの娘のために嘆いたと聖書にあります。このけなげなエフタの娘の話によって、私たちは、いろいろの教訓が得られます。
1 エフタの軽々しい誓い。
エフタは、特別に神から選ばれた指導者でありながら、あたかも神と取引するような態度で、軽々しい誓いを立てたことは、いけないと思います。このようなことは、現在の日本にも見かけることです。病気の時、困難にあった場合、これを癒して救って下さったら、これだけのものを捧げますとか、あなたに従いますとか、神と取引する人を見ます。これは偶像信者に特に多いようです。偶像の宮では、千円札が賽銭としてたくさん投げられていますが、このような賽銭の多少によって、家内安全・商売繁盛などと神と商売取引でもする態度は慎むべきことです。
2 神と約束した厳かな誓いは、必ず実行しなければなりません。
教会員はバプテスマを受けて教会に加わる時、神と人との前で、どういう約束をしたか思い起こしていただきたいと思います。その第一は、聖日を厳守しますとの約束です。だのに、ある人々は会社の都合とか、やむをえない用事とか、勝手な理由のもとに、これを守っておられません。これは恐ろしい神との破約の罪です。
3 親の子に対する義務、また子の親に対する義務です。
全ての子供は神より託された神の愛児であることを覚えて下さい。その子は封建的な風習によって、いつまでも親の蔭にあるのではありません。子供は神の子供として自由に成長・発育し、神の御事業に参加するよう教育する義務が、当然、親である者に負わされています。
子供は十戒の、「あなたの父母を敬え」とのお言葉をたえず覚えて、エフタの娘のように親に従う義務があります。父母を敬うことは、主が賜わる地で、あなたが長く生きるためであると出エジプト記20章12節は教えております。神の愛とお導きによって、お互いに励まし合う時、これらは実行されます。皆さんの神に対する態度、家庭における親子の関係はどうでしょう。
ポーリン・マカルピン著
(つのぶえ社出版)この文章の掲載は「つのぶえ社」の許可を得ております。
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書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円