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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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 ビルマ
  戦犯者の獄中記  (5)  遠山良作 著 
 
昭和21年
1月1日
敗戦後、初めての正月を牢で迎える。出田大佐より「陛下より、すべて苦しみに耐えて、祖国再建に努めよ、との聖旨にお答えして、われわれは、今後いかなる苦しみにも耐えて、祖国に還るのだ」との訓示があり、「君が代」を歌い、皇居遥拝をした。
 
初春を 獄舎に迎え 君が代を 歌いまつりて 涙拭きえり
 
3月6日
入獄以来、24回目の首実験が行われ、その間に私は20名の現地人から指された。そのためか、ラングーンに送られることになった。他に24名の者と一緒である。まだここに残っている数多くの戦友たちから「頑張れよ」との励ましの言葉を後にして、10名のゴロガ兵(インド兵)に監視されて、「モールメン刑務所」を出た。
サルウイン河を「サンパン」(小船)に乗せられての渡河である。思い出多きモールメンの街、小高い丘にそびえる白いパゴダ(仏塔)を船の上から、何回も何回も振り返り、対岸マルタパンに着き、貨物列車に乗せられて、ラングーンに向った。
 
サルウインの 河渡りつつ 振り返る パゴダは白く 輝き立てリ 
 
3月20日
 -戦犯裁判始まる-
私たちがラングーン刑務所に着くのを待っていたかのように「カラゴン」事件の関係者に対する取調べが始まり、14名が起訴された。
今日は開廷初日である。
起訴の理由は
1 カラゴン村の住民500余名を虐殺した。
2 村民に暴行虐待した等である。
 
イギリス軍戦犯調査委員会は、ビルマ最大の残虐事件であると国の内外に宣伝し、ビルマに於ける最初の戦争犯罪の裁判である。戦争裁判とは如何なる裁判であるのか。われわれは重大な関心をもって見守る。
この事件は終戦直前に起きた事件で、その概要は、モールメン市の東北、ダリー森林地区にパラシュートにより降下した英軍アビー少佐の指揮するゲリラ部隊を援助しているカラゴン村村民を攻撃するために弓部隊の市川大隊は田中師団隊の命令によりカラゴン村のせん滅作戦を行い、村民五百数十名を殺害した事件である。
起訴された市川少佐たちは、これは作戦行動であり、師団-聯隊命令によって行動したことを主張した。
 
4月10日
今日はビルマ戦犯裁判第1回目の「カラゴン」事件の判決の日である。如何なる判決が下るのか、誰しもその結果は、と注目した一日である。その結果は次のような判決であった。
陸軍少佐 市川 清義    絞首刑9014babb.jpg
陸軍大尉 緑川   寿     銃殺刑
陸軍大尉 柳沢   泉     銃殺刑
陸軍中尉 田島 一郎   銃殺刑
陸軍大尉 坂巻 三郎   十年
陸軍大尉 大久保要壮   十年
陸軍中尉 竹井 省三  十年
憲兵准尉 藤原 良造  五年
憲兵軍曹 小林  宷    五年
憲兵軍曹 野本 金二  七年
他四名                無罪
 
死刑を宣告された、4名は東独房に一人ずつ収監された。この裁判で私が驚いたことは、命令者である田中信男師団長(33師団)と柄田連隊長は起訴さえされていなかったことである。師団-連隊-大隊と伝達される命令で行動する作戦が日本の軍隊である。 
柄田連隊長は、法廷において「市川大隊長に敵に協力している村民は殺せ」と命令したことを証言している。命令した上官は起訴もされない。戦犯裁判とは一体如何なる行為をした者が裁かれるのか、理解出来ない・・・。
あるいは田中師団長が事件の責任を部下に転嫁したのかもしれない。「カラゴン事件」の責任者として英軍から召喚され、その挨拶に行った市川少佐等に、師団長は「お前たちがやった事件だから、お前たちでこの責任をとって他に迷惑をかけるな」とさとしたとも聞いている。命令者である師団長の言葉とは思われない。このような上官の命令で行動し、死刑の宣告を受けた4名の方々の気持ちは如何に・・・。
関係のない私でさえ口惜しい思いで今日の判決を聞いた。
 
この文章の転載はご子息の許可を得ております。
 
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書籍紹介
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エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

      d6b7b262.jpg
教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
217ff6fb.jpg 








「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

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「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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