2023年7月号
№193
号
通巻877号
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『旧・新約婦人物語』(22)
『イエス様のみころもにさわった女性』
(ルカによる福音者8章45節)
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四福音書を、よく読んでまいりますと、イエス様が病人に対して、いつも深い憐れみと同情をお持ちであったことに気付かれていると思います。幾度も、イエス様が気の毒な病人を、お癒しになったことが、聖書のいたるところに記るされています。時には、人の最も恐れますライ病の人にさえ、イエス様自ら手を置き、癒されたこともありました。
さて、ここで学ぼうとしています婦人は、他の病める人たちがしたように、直接イエス様の前に立って、癒しを願わないで、ひそかにイエス様の後に近寄って、手を差し伸べ、イエス様のみ衣の裾に触ったのであります。この慎み深く、やさしい、ひかえ目な態度に、わたしたちも心を引きつけるものがございます。何故、この女性は公然とイエス様の前に立って癒しをお願いしなかったのでしょうか。また、この婦人はどういう境遇の女性であったのか、こうした点につきまして少し学びたいと思います。
ルカによる福音書8章43節以下のところをご覧いただくとよく分ります。この婦人は気の毒にも、12年もの長い間、長血を患って、その治療のために、持っていた蓄えをみな使い果たしました。それ程、治療のために骨折りましたが、誰一人としてこの病気を癒すことが出来ませんでした。
ユダヤの律法では、このような病気の婦人を汚れた者として、誰も相手にいたしません。だから、当然のように会堂の礼拝に出ることは、かたく禁じられていましたし、もしも誰かが、婦人の体に触れたとしますなら、それが知らずに不注意で触れたにしても、その人も汚れた人とされ、清められるまでは、他の人々と交際することができないほど、まことに厳しい習慣がありました。
こうして12年もの長い年月を自分の親戚からも、友人や知人からも、冷たい目で見続けられていたのです。ですから、この婦人の生活がどんなに悲しく、孤独なものであった、わたしたちの想像も及ばぬものがあったと存知ます。
そうした寂しい生活のある一日のことです。急に道路の方で群衆が、わいわい騒いでいるので、何事が起こったのだろうと、彼女は群衆の方に近寄ってみました。すると彼女は押し寄せる群衆の真ん中にお立ちになっているイエス様を見つけたのでした。主イエスの足下には一人の人が平伏し、何事かをお願いしているようでした。何事だろうと聞きましたところ、この人は会堂司でヤイロと言い、彼の12歳になる一人娘が危篤だから、先生にいらしていただき、癒してもらおうとお願いしているところだったのです。
長い間、病に苦しんでいるこの女は、はっと胸をときめかせました。いつも病人をお癒し下さると言う噂に聞くお方が、目の前におられるではありませんか。今こそ絶好の機会だと思いました。けれども自分のような者が、イエス様に近付こうとすれば、きっと金持ちのヤイロや、群衆が邪魔をし、妨げることだろう。また、わたしのような世間から見捨てられた病人が、イエス様のみ前に立つ資格はないと彼女は思い込んでしまいました。しかしそうと思いつつも、ただみ衣の裾にでも触ることが出来るなら、必ずわたしの難病も癒されるに違いないと、彼女は信じました。
そこで、密かにイエス様のもとに忍び寄り、こわごわ後ろから手を差し伸べ、主のみ衣の裾に触りました。驚いたことに、ただそれだけで、不思議に長年患っていた長血がその瞬間に止まったのです。その時イエス様は振り返って、「わたしにさわったのはだれか」と問われました。そこにいた人々は驚きながら、顔を見合わせていました。ペテロが「先生、群衆があなたを取り囲んで、ひしめき合っているのです」と答えました。
しかしイエス様は、「だれかわたしにさわった。力がわたしから出て行ったのを感じたのだ」と言われました。これを聞いたこの女は、隠し切れないと知ったので、おずおずイエス様のみ前に進み寄って、主のみ前にひれ伏して、自分がみ衣に触ったことと、長年の病気がたちまち癒されたことを皆の前で告白いたしました。イエス様はこれをお聞きになり、「娘よ、あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい」と言われました。
「娘よ」とのイエス様のお言葉は、実に美わしい、愛情のこもったお言葉ではありませんか。今までイエス様がお癒しになった多くの人たちの中で、「娘よ」と愛に満ちたお言葉をいただいたのはこの婦人だけです。このお言葉によって学ぶことは、全ての人に見捨てられ、軽蔑されていると世の人から見られていたこの婦人が、見捨てられるどころか、愛される神の子であったとイエス様は主張されるのです。いろいろな悩みや苦しみの問題を持っておられる愛する読者の方々、天の父なる神は決してあなたがたをお忘れになってはおられません。
あなたも神に愛されている子供であります。しかしあなたはこの女の人のように、信仰の手をイエス様に差し伸べておられるでしょうか。手を差し伸べなくては、神が与えようとしておられるお恵みをいただくことは出来ません。この女の人のように、自分を低くして信仰をもってイエス様のところへおいで下さい。精神的に癒され、恵まれ、そして心の満足が与えられるのです。
問題は、ただあなたが本当に信仰をもってイエス様のみ許しに行くか、否かにあるのです。キリストに近付き、信仰の手を差し伸べ、お恵みを豊にいただく者になりたいものです。
ポーリン・マカルピン著
(つのぶえ社出版)この文章の掲載は「つのぶえ社」の許可を得ております。
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書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円