2023年7月号
№193
号
通巻877号
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『旧・新約婦人物語』(23)
(士師記16章)
旧約聖書に出てくる多くの婦人の内、デリラの名は広く一般に知られています。それには二つの理由があります。その一つは、先に学びましたデボラなどのような善良な婦人は、偉大ではあっても割合に人目を引かず、かえって、淪落の底に沈んで、その行為が人の意表を出るような婦人の方が人目を引くからです。つまり、ニュース・バリューがあるからです。もう一つの理由は、「サムソンとデリラ」と言うタイトルで、映画が上映され、大変な評判をとって、多くの人々に見られたからです。この映画は聖書の真意を伝えているものと思われていますが、聖書から大きく離れ、大分創作されているようです。
とにかく、聖書はこの淪落の女デリラについて、何を述べているのか、また私たちに何を教えているのかを考えて見ましょう。
士師記16章4節に、初めてデリラの名が出てきます。彼女がどういう素姓の女であったか、16節を読めば直ぐ分ります。彼女は、いわゆる遊女でした。昔からどこの国でも、各時代を通じてそのような道徳の外を歩む女性があるものです。日本にも闇の女といったいかがわしい女性がおられるようですが、このような行為が世に横行する限り、その国の道徳水準は決して高められないでしょう。そのような婦人のただ一つの目的はお金をもうけることにあって、その目的達成のためには、どんな手段でも選ぶのです。
ある日のこと、この淪落の女デリラのところへ、一人のイスラエル人がやってきました。それは、言うまでもなく、サムソンです。このサムソンはイスラエルの裁き人(士師)であり、いろいろの特徴を持っていました。生まれる前より神からイスラエル人をぺリシテ人の圧迫から救うために、特別に選ばれ、不思議な力を与えられていた人物です。このような大きな使命と特徴を与えられていた彼に、一つの弱点がありました。それは女色に迷うことでした。人は強い力を持ちながらも、ちょっとした油断から、ささいな一つの弱点に打ち負かされるものです。
サムソンもその例にもれず、神から大きな力を与えられていながら、彼の持つ欠点である女性のことで、その力が無惨にも、剥ぎ取られてしまいました。デリラは甘い言葉をもってサムソンから、彼の不思議な力の出どころを、いろいろと問いただそうといたしました。彼は、初めは警戒して本当のことを話しませんでした。しかし、彼女の問い掛けが三度目になって、彼は彼女の歓心をかうために不覚にも、誰にも言ってはならない秘密、髪の毛を切れば力がなくなることを話したのです。彼は、ちょうど、蜘蛛の巣にかかった虫のようなもので、デリラの容色に溺れて、身動きも出来ない、はかない運命に陥ったのです。
サムソンは、一人の遊女の容色に迷い、神の恩恵のしるしである髪の毛は切られ、せっかく神から与えられた力をなくしてしまいました。彼は髪を切られると同時に、神から捨てられたことさえ知らなかったのです。彼の力がなくなったのは、髪の毛を切られたからではなく、神から離れたためであることに注意する必要があります。
デリラは力のなくなったサムソンを、ぺリシテ人の指導者たちに、それぞれから銀千百枚ずつをとって売りました。彼らは喜んでサムソンを銅の鎖に繋ぎ、その眼をえぐって盲目とし、獄に送り、臼を挽かせました。残酷なむごい仕打ちを彼は受けました。
しかし、主は、彼をお見捨てになりませんでした。髪の毛が少しずつ伸びてくるにつれてまた力が出始めました。そのことを知らないペリシテ人たちは、敵である強いサムソンを捕らえたお祝いを、偶像ダゴンの宮で催し、その場に盲人の彼を引き出し、彼にいじわるをしました。サムソンは手を引いていた少年に願って、宮の屋根を支えている柱のところに連れて行かせました。「神よ、もう一度わたしを強くして下さい」と祈りつつ、その柱を押し倒して、彼は偶像とペリシテ人たちとともに崩れ落ちた大屋根の下に圧死したのです。サムソンはこうしてペリシテ人を滅ぼす使命に失敗しながらも、その機会を与えられ、最後には身をもってその使命を果たすことができたのです。
今までの物語からも、幾つかの教えが与えられています。
1 女性は神から与えられた大切な賜物(優しさ、美しさ)を、虚栄を満たすなど、自己満足に使うことは、神のみこころではありません。これを神から託された大切な宝 として、神を喜ばすために用いなければなりません。デリラのように道徳に外れた行いをする女性は、必ず神から罰せられます。神から預かった子供をこのような生活に陥らせる親たちも、同じ罪に問われるでしょう。
2 いかに偉大な人物でも、自分自身を治めることが出来ないようでは、その結果として、せっかく与えられた偉大さも、剥ぎ取られてしまいます。サムソンがもし、絶えず神と交わり、自らを治めることが出来たなら、どんなに大きな仕事が成し遂げられたか分りません。本当に惜しいことです。自分の生活を治めることが出来なかったために、彼は大きな失敗をして、身を滅ぼしたのです。
「・・・・自分の心を治める者は城を攻め取る者にまさる」(箴言16:32)。
ポーリン・マカルピン著
(つのぶえ社出版)この文章の掲載は「つのぶえ社」の許可を得ております。
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書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円