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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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『旧・新約婦人物語』(25)
s-P8030100.jpg   理想的な姑ナオミ
     (ルツ記)
 
 この物語は、イスラエルの士師時代の出来事です。
 ナオミは夫と二人の子供と共にベツレヘムに住んでいたのですが、その頃、ユダヤ地方は大変な飢饉で、人々は食べ物に困っていました。それで、ナオミは夫のエリメレクに連れられて、二人の子供と共に、隣国モアブへ難を避けたのです。
 人の一生の内には、不幸が重なって、どうにもならない時があるもので、ナオミは移住して間もなく夫に死別し、二人の子供を連れて知らぬ他国でさ迷い歩く不幸な身の上となりました。その内、ようやくにして二人の息子にオルパとルツの二人の嫁を迎え、やれやれひと安心と思ったのも束の間、また二人の息子も相次いで亡くなってしまいました。ナオミは重なる不幸で夫と息子をとられ、嫁の他は頼りとなる家族はなく、その上、他国での放浪生活は不安定ででした。その時の彼女の心の内はどうでしたでしょう。彼女の心は自然、懐かしい生まれ故郷のベツレヘムの山野にとび、親戚の人たちや友人の誰かを思うようになりました。
 
 それとなく聞けば、ベツレヘム地方は、神の恵みで飢饉も去ったとのことで、彼女の望郷の念は一層切なるものとなり、ついに帰郷するよう決心いたしました。一人の嫁は何とか出発の準備のお手伝いをして、ナオミと共にモアブへユダの国境まで来ました。この時、ナオミは二人の嫁に向って私は寡婦(やもめ)であり他に子供もなく、あなたたち二人を幸福にすることは出来ないから、実家の父母の元へ帰るようにすすめました。「あなたがたは、それぞれ自分の母の家に帰って行きなさい。あなたがたが、死んだふたりの子とわたしに親切をつくしたようにどうぞ、主があなたがたに、いつくしみを賜わりますよう。どうぞ、主があなたがたに夫を与え夫の家で、それぞれ身の落ち着き所を得させられるように」(1:8~9)。
 ナオミは二人を祝福して彼女等に接吻を与えました。二人の嫁は声をあげて泣いたとあるのを見ても、彼女らは嫁姑として、どんなに愛し合っていたかが別れに及んで分ったようです。二人は姑の切なるすすめにもかかわらず、ともにユダヤに連れていってくれるように望んで実家に帰ろうといたしません。ナオミは、わざと声を高くし、「娘たちよ、帰って行きなさい。・・・・あなたがたの夫となる子がまだわたしの胎内にいるというのですか」(1:11)と激しく申しました。
 嫁たちはまた声をあげて泣いていましたが、オルパはナオミに接吻して家に帰りました。しかし、ルツはなお傍を離れず、「あなたを捨て、あなたを離れて帰ることをわたしにすすめないでください」(1:16)と言って、彼女の真心を現わしました。
 
 ここで私は、ナオミの態度から見て、二人の嫁の信仰を試しているように思うのです。嫁たちが本当にナオミを愛しているのでしたら、彼女らはナオミの信仰している神を第一として、全てを捨てて、彼女について行くはずです。神は何時も人間に対して、この試問を課しておられるのです。私たちは常に、全てを犠牲にして、神に従うか否かを決心しなければならない十字路に立っているのです。この試験の答として、ルツは正しく、オルパは誤ったのです。ルツはナオミと共にベツレヘムに行くと決心いたしました。
 それは生まれた国を離れ、古くから馴染んだ習慣などをすっかり断ち切って、ナオミの国を自分の国とし、その神を自分の神とする決心をすることで、これは大変な勇気と決断がいります。
 
さて、ナオミはルツを伴ってベツレヘムに帰りました。彼女は旧友たちはナオミの有様を見て、見違えるほど変っているのに、びっくりいたしました。十年前彼女が郷里を出て行く時の若さ、美しさは跡形もなく、彼女の気の毒な有様に皆が同情いたしました。ナオミは彼らに、もうナオミ(楽しみ)と呼ばないでください。マラ(苦しみ)と呼んでくださいと願うほどでした(1:20)。
しかし、ナオミの一生涯を通して見る時、彼女は苦しみのために、自らの名前を変えるほど落ちぶれましたが、これは彼女の生涯の出発点で、幸福への序幕でもあったようです。というのは、ナオミは自分の愛する嫁のために適当な主人が与えられるよう、熱心に祈りながら、努力をしたのです。
それがついに聞かれ、ルツに理想的な夫ボアズが与えられ、孫を抱くことが出来たからです。彼女の幸福な生涯は、これによって開かれたといってもよいからです(4:1~17)。
特に、ここで注目していただきたいことは、神の不思議な摂理によって、この孫が後でダビデ王の曽祖父となり、イエス様の先祖の一人となって、その名が聖書にとどめられていることです(マタイ1:5参照)。
このナオミに学ぶべきことは、
1 神の摂理によって、ナオミは何度も困難な境地に置かれました。けれども彼女は、苦しみの内にも信仰を捨てず、かえって、苦難によって信仰が高められ、大きな恵みと喜びの基となっていることです。
2 ここで姑と嫁との理想的な関係を見ることが出来ます。
他国からもらった自分の嫁に対するナオミの愛の高さ、同情の深さは実に尊いものです。この姑を嫁たちがなつかしむ有様は、本当に人情の花を見るようです。皆さんのご家庭は如何ですか。あなたがたのご家庭にこのような美しい花が咲いていますか。
 
  ポーリン・マカルピン著
(つのぶえ社出版)この文章の掲載は「つのぶえ社」の許可を得ております。
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書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

      d6b7b262.jpg
教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
217ff6fb.jpg 








「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

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「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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