2023年7月号
№193
号
通巻877号
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キリスト者の生活綱要 (28)
ジャン・カルヴァン著
ヘンリー・J・ヴァンアンデル編
吉岡 繁訳
第3章 十字架を負う忍耐
11 十字架はわれわれの救いに必要である
1 さて、十字架を負うことの理由が何よりも神の意志であることを示したので、最後に哲学者の忍耐とキリスト者の忍耐との相違を、簡潔に指摘しなければならない。われわれが苦しみを受けるのは、神の御手によるものである、という崇高な理解に達するとか、神の意志に服従するのがわれわれの義務である、という結論に達した哲学者は、極稀だからである。
そしてそこまで達した者たちでさえ、諦めが必要である、という以外の理由を口にしない。これは、神に逆らう努力は、してみても虚しいから、神に服従しなければならない、と言っていることに過ぎない。
もし必要からだけ神に従っているのであれば、神から逃げ出すことが出来るや否や、われわれは従わなくなるであろう。
2 しかし、聖書はわれわれに、異なった光の中で、神の意志を考えるように命じている。すなわち第一に、(神の)正義と公正とに一致するものとして、第二に、われわれの救いの完成を意図したものとしてである。
したがって、キリスト者がもたなければならない忍耐への勧めは、次の通りである。貧困、追放、入獄、非難、疾病、親族の死、あるいはこの他の同じような苦しみに合っても、これらのどれ一つとして、神の意志と摂理なしには起こり得ないこと、さらに、神が何時もの正義を用いずに、なにもなさらないということを、われわれは思い起こさなければならない。
神が恵みのために、われわれに科す懲らしめよりも、日ごとに犯す数限りないわれわれの罪は、もっと厳しく重い多くの懲らしめに価するのではなかろうか。肉の衝動が、われわれから最善のものを奪い、われわれを放縦の中に追いやらないために、肉が抑えられ、軛に慣れさせられるのは、至極当然のことではなかろうか。
神の正義と真実は、われわれの罪のために、保つ価値がなくなっているのだろうか。われわれが呟いたり反逆したりすれば、必ず不義を伴う。必然性には従わなければならない、という哲学者の冷たい決まり文句を、これからは聞かずに済むであろう。そしてその代わりに、反逆することは悪であるから、服従しなければならない、という生意気に満ちた効果のある提言を聞くことなのである。短気は神の正義に反抗することであるから、忍耐をもって忍ばなければならない。
3 自分の利益となり、自分の繁栄に役立つことしか、われわれは喜ばないので、最も憐れみ深い天の父は、われわれに十字架を与えて、救いを促進させると教えて、慰めてくださるのである。逆境がわれわれにとって明らかに益であるのに、なぜそれを、感謝と平和に満ちた心で忍ばないのか。
逆境を忍耐をもって忍ぶなら、必然性に服しているのではなく、われわれ自身の益のために服しているのである。
以上の考察の結論は、われわれが十字架によってしめつけられれば、しめつけられるほど、霊的な喜びはそれだけ満ち溢れるということである。そして、この喜びに感謝が必然的に伴う。
主に対する讃美と感謝は、快活で喜びに溢れた心からだけ生じることができるのであれば─そして、そのような感情を制すべきは何もないが─明らかに神は、十字架の苦しみを、聖霊が与える喜びによって、和らげてくださるであろう。
(つのぶえ社出版) この文章の掲載は訳者の許可を得ております。
ジャン・カルヴァン著
ヘンリー・J・ヴァンアンデル編
吉岡 繁訳
第3章 十字架を負う忍耐
11 十字架はわれわれの救いに必要である
1 さて、十字架を負うことの理由が何よりも神の意志であることを示したので、最後に哲学者の忍耐とキリスト者の忍耐との相違を、簡潔に指摘しなければならない。われわれが苦しみを受けるのは、神の御手によるものである、という崇高な理解に達するとか、神の意志に服従するのがわれわれの義務である、という結論に達した哲学者は、極稀だからである。
そしてそこまで達した者たちでさえ、諦めが必要である、という以外の理由を口にしない。これは、神に逆らう努力は、してみても虚しいから、神に服従しなければならない、と言っていることに過ぎない。
もし必要からだけ神に従っているのであれば、神から逃げ出すことが出来るや否や、われわれは従わなくなるであろう。
2 しかし、聖書はわれわれに、異なった光の中で、神の意志を考えるように命じている。すなわち第一に、(神の)正義と公正とに一致するものとして、第二に、われわれの救いの完成を意図したものとしてである。
したがって、キリスト者がもたなければならない忍耐への勧めは、次の通りである。貧困、追放、入獄、非難、疾病、親族の死、あるいはこの他の同じような苦しみに合っても、これらのどれ一つとして、神の意志と摂理なしには起こり得ないこと、さらに、神が何時もの正義を用いずに、なにもなさらないということを、われわれは思い起こさなければならない。
神が恵みのために、われわれに科す懲らしめよりも、日ごとに犯す数限りないわれわれの罪は、もっと厳しく重い多くの懲らしめに価するのではなかろうか。肉の衝動が、われわれから最善のものを奪い、われわれを放縦の中に追いやらないために、肉が抑えられ、軛に慣れさせられるのは、至極当然のことではなかろうか。
神の正義と真実は、われわれの罪のために、保つ価値がなくなっているのだろうか。われわれが呟いたり反逆したりすれば、必ず不義を伴う。必然性には従わなければならない、という哲学者の冷たい決まり文句を、これからは聞かずに済むであろう。そしてその代わりに、反逆することは悪であるから、服従しなければならない、という生意気に満ちた効果のある提言を聞くことなのである。短気は神の正義に反抗することであるから、忍耐をもって忍ばなければならない。
3 自分の利益となり、自分の繁栄に役立つことしか、われわれは喜ばないので、最も憐れみ深い天の父は、われわれに十字架を与えて、救いを促進させると教えて、慰めてくださるのである。逆境がわれわれにとって明らかに益であるのに、なぜそれを、感謝と平和に満ちた心で忍ばないのか。
逆境を忍耐をもって忍ぶなら、必然性に服しているのではなく、われわれ自身の益のために服しているのである。
以上の考察の結論は、われわれが十字架によってしめつけられれば、しめつけられるほど、霊的な喜びはそれだけ満ち溢れるということである。そして、この喜びに感謝が必然的に伴う。
主に対する讃美と感謝は、快活で喜びに溢れた心からだけ生じることができるのであれば─そして、そのような感情を制すべきは何もないが─明らかに神は、十字架の苦しみを、聖霊が与える喜びによって、和らげてくださるであろう。
(つのぶえ社出版) この文章の掲載は訳者の許可を得ております。
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緑を大切に!
書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円