2023年7月号
№193
号
通巻877号
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キリスト者の生活綱要 (30)
ジャン・カルヴァン著
ヘンリー・J・ヴァンアンデル編
吉岡 繁訳
第4章 来るべき世への希望
2 われわれはこの世を高く評価し過ぎがちである
1 この地上の生活を低く評価するのと、過度に愛するのと、この両極端の間には中庸はない。それで、永遠について関心があるなら、この世の鎖から自分自身を自由にするため、われわれは熱心に最大限の努力をしなければならない。
さて、この世には数多くの魅力的なものがあり、われわれを喜ばせる楽しさ、美しさ、甘美の見せかけがある。そのため、その魅惑に連れ去られてしまわないよう、しばしばそれから呼び戻されることが、われわれの最高の関心事にとって、非常に必要である。
というのは、もしもわれわれがこの世の生活の祝福を楽しむことに、常に幸福感を味わっているなら、その結果はどうであろう。そういうことであれば、絶えず悪に引き回されてしまい、その不幸を十分考えるよう高められることさえ出来なくなる。
2 人生が霧か影に過ぎないと言うことは、ただ学識ある人に知られているだけでなく、一般の人々さえ、そうした格言を多くもっている。彼らは、この知識がきわめて有用だと思っているので、人生について、またその虚しさについて、多くのうまい警句や詩をもっている。しかし、こうしたものぐらい、われわれが疎かにし、記憶から直ぐ消えてしまうものはないのである。というのは、われわれは、あたかも自分が死なないことを願っているかのように振る舞うからである。
葬式を見、墓の間を歩いて、眼前にはっきりと死の姿を見ると、われわれは、生命の虚しさについて哲学するようになる。しかし、それすら毎日は起こらないため、われわれは、全く心を動かされないことがよくある。
たとい心を動かされても、われわれの哲学は短命で、われわれが歩み去るや否や消滅して、ごく小さな足跡さえも後に残さない。劇場の中の劇に対する拍手のように、消え去ってしまう。
3 われわれは死を恐れるばかりでなく、あたかもそんな事については何も聞いたことがないかのように、われわれが死ぬべき者であるという事実を忘れてしまい、永遠に生きるかのような愚かな夢を持ち続ける。
そんな時、誰かが、人はほんの一日だけの生き物に過ぎないという格言を思い出させてくれると、われわれは進んでこの真理を認めようとするが、それでいて心の中に、いつまでも生きているかのような思いがあるため、それほど気にも留めないのである。
4 したがって、この世の生が悲惨に満ちていることを、単に言葉によって警告されるだけでなく、できればあらゆる証拠によって確信させられることが必要である。このことを誰も否定出来ない。
あまつさえ、このことを悟らされた後でさえ、人生は大きな祝福の累積したものであるかのように、愚かにもそれに憧れるのを、どうしたらやめられるか分らずにいる。しかし、神に教えられなければならない場合、この世に背を向け、心を傾けてやがて来る世を瞑想出来るよう、神が語り、われわれの重い腰を上げさせようとなさる時、神に耳を傾けるべきで、これもわれわれの義務である。
(つのぶえ社出版) この文章の掲載は訳者の許可を得ております。
ジャン・カルヴァン著
ヘンリー・J・ヴァンアンデル編
吉岡 繁訳
第4章 来るべき世への希望
2 われわれはこの世を高く評価し過ぎがちである
1 この地上の生活を低く評価するのと、過度に愛するのと、この両極端の間には中庸はない。それで、永遠について関心があるなら、この世の鎖から自分自身を自由にするため、われわれは熱心に最大限の努力をしなければならない。
さて、この世には数多くの魅力的なものがあり、われわれを喜ばせる楽しさ、美しさ、甘美の見せかけがある。そのため、その魅惑に連れ去られてしまわないよう、しばしばそれから呼び戻されることが、われわれの最高の関心事にとって、非常に必要である。
というのは、もしもわれわれがこの世の生活の祝福を楽しむことに、常に幸福感を味わっているなら、その結果はどうであろう。そういうことであれば、絶えず悪に引き回されてしまい、その不幸を十分考えるよう高められることさえ出来なくなる。
2 人生が霧か影に過ぎないと言うことは、ただ学識ある人に知られているだけでなく、一般の人々さえ、そうした格言を多くもっている。彼らは、この知識がきわめて有用だと思っているので、人生について、またその虚しさについて、多くのうまい警句や詩をもっている。しかし、こうしたものぐらい、われわれが疎かにし、記憶から直ぐ消えてしまうものはないのである。というのは、われわれは、あたかも自分が死なないことを願っているかのように振る舞うからである。
葬式を見、墓の間を歩いて、眼前にはっきりと死の姿を見ると、われわれは、生命の虚しさについて哲学するようになる。しかし、それすら毎日は起こらないため、われわれは、全く心を動かされないことがよくある。
たとい心を動かされても、われわれの哲学は短命で、われわれが歩み去るや否や消滅して、ごく小さな足跡さえも後に残さない。劇場の中の劇に対する拍手のように、消え去ってしまう。
3 われわれは死を恐れるばかりでなく、あたかもそんな事については何も聞いたことがないかのように、われわれが死ぬべき者であるという事実を忘れてしまい、永遠に生きるかのような愚かな夢を持ち続ける。
そんな時、誰かが、人はほんの一日だけの生き物に過ぎないという格言を思い出させてくれると、われわれは進んでこの真理を認めようとするが、それでいて心の中に、いつまでも生きているかのような思いがあるため、それほど気にも留めないのである。
4 したがって、この世の生が悲惨に満ちていることを、単に言葉によって警告されるだけでなく、できればあらゆる証拠によって確信させられることが必要である。このことを誰も否定出来ない。
あまつさえ、このことを悟らされた後でさえ、人生は大きな祝福の累積したものであるかのように、愚かにもそれに憧れるのを、どうしたらやめられるか分らずにいる。しかし、神に教えられなければならない場合、この世に背を向け、心を傾けてやがて来る世を瞑想出来るよう、神が語り、われわれの重い腰を上げさせようとなさる時、神に耳を傾けるべきで、これもわれわれの義務である。
(つのぶえ社出版) この文章の掲載は訳者の許可を得ております。
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緑を大切に!
書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円