2023年7月号
№193
号
通巻877号
×
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『旧・新約婦人物語』(32)
エルサレムのマリヤ
=使徒行伝12:1~12=
新約聖書には、マリヤという名前の婦人が6人も登場いたします。その内の4人については、既に学びました。ここではエルサレムの都に住んでいたマリヤについて、学びましょう。
このマリヤは、一人息子のマルコをもつ、やもめ(未亡人)です。しかし、聖書を見ますと、この婦人は非常にいろいろな点で恵まれていた人のようです。その恵みの第一は、愛する息子のマルコが、まことに真面目な青年であったことです。このマルコは、「マルコによる福音書」を書いたほど、信仰深い人で、初代キリスト教会の主だった使徒でパウロ、バルナバ、ペテロなどの手助けをした、若い教師でした。
ペテロの第一の手紙5章13節によりますと「あなたがたと共に選ばれてバビロンにある教会、ならびに、わたしの子マルコから、あなたがたによろしく」とあります。この言葉を見ても、ペテロとマルコのあたたかい親子のような関係がわかります。マルコのような良き息子を与えられたことは、母として、本当に大きな恵みと言えましょう。
もう一つの彼女が頂いていた恵みは、彼女に沢山の財産が与えられていたことです。使徒行伝12章12節によりますと、彼女は大きな家を持ち、13節では、その家には門があり、ロダという女中の門番がいたとあります。その当時、エルサレムには門のある家は、なかなか見当たりませんし、地位や財産のある人たちだけが、門のある家に住んでいたようです。このことから考えてみましても、マリヤの地位や彼女の家庭の経済状態が分ります。しかし、これらの恵みの内、彼女に対する一番優れた恵みは、彼女の信仰の深さ、確かさでした。マリヤが何時クリスチャンになったかは、よく分りませんが、アブラハム・カイパー博士の書かれましたところでは、彼女がそれまでに相当長い信仰生活を送っていたに違いない、とございます。
とにかく、マリヤは実に信仰深い婦人であったと同時に、また非常に勇気に富んだ人でありました。当時は、キリスト教会がひどく世の中から迫害を受けていた時です。その時の王、暴君ヘロデは、政策上、キリスト教会に迫害の手を伸ばして、イエスの弟子ヤコブを殺したことが、ユダヤ人の群衆の意にかなったと見てとりました。それでヘロデは、更に、ペテロも捕らえ、獄に閉じ込め、過ぎ越しの祭の後で彼を殺し、人気を得ようと思いました。
彼は4人組の兵卒4組で、かわるがわる厳重に牢獄を監視させました。人間的な立場から考えますと、ペテロをこのような危地より救い出すなど、とうてい人のなし得るところではなく、不可能なことでした。それにもかかわらず、教会ではペテロの救いのために熱心な祈りを神に捧げていたのです。
暴君ヘロデ王が、いよいよペテロを牢獄から引き出そうとした、その夜のことでした。マリヤの家では、大勢の信者たちが集まって、熱心な祈祷会をペテロのために、ひそかに開いていたのです。集まる会堂もなく、狂暴な王の厳しい迫害の危険な立場にある教会のために、自分の家を開放し、提供していることが公けになれば、マリヤも死刑は免れません。それほどの危険をおかし、全てを承知の上で、教会のために祈祷会を自分の家で開くことは、大変な決断と勇気が、更に神様のみ摂理に対する深い信仰が必要とすることは、言うまでもないことであります。ここにマリヤの崇高な信仰から出る勇敢な行為が、何ものも恐れず、実行となって現われたのでありましょう。
さて、彼らの熱心な祈りが続けられています時、神は彼らの祈りに答えられました。神は牢獄からペテロを救い出し、家の外、街頭にまで彼を導き出してくださったのです。路傍に立つ自分を見た時、ペテロはその時初めて、神様が自分をお救いくださったのだと悟りました。彼は大急ぎでマリヤの家に走り行き、彼女の門を叩きました。この時のマリヤを初め、そこにいたクリスチャンたちの驚きと喜びは、どんなであったでしょう。
その場の有様が、聖書には絵のように描写しています。ここに、わたしたちは祈りの力の偉大さの実例を見ることが出来るのです。心を合わせてわたしたちが祈ります時、人の思いや考えを越えて、神様は人の目に不可能な壁を突き破りたまいます。
あなたの教会の中にも、マリヤのように、全てを捧げて喜んで教会の集まりのために、自分の家を開放しておられる方があると思います。もちろん、集まりを持つ家には、掃除もしなくてはならないでしょう。畳が傷むかもしれません。後片づけの苦労もありましょう。隣り近所の人たちから、冷たい目で見られるかもしれません。しかし、日本にも自宅を開放しておられるクリスチャンの方が沢山おられます。
このことは本当に感謝でございます。このような家庭こそ、無神論者の多い、真暗闇の世の中に、真理の光を輝かす灯台とまりましょう。エルサレムのマリヤの家庭は、このような家でありました。あなたのご家庭が、このようになれば、あなたにとって、それは大変大きな素晴らしい恵みとなることでしょうし、大きな喜びとなりましょう。
ポーリン・マカルピン著
(つのぶえ社出版)この文章の掲載は「つのぶえ社」の許可を得ております。
エルサレムのマリヤ
=使徒行伝12:1~12=
新約聖書には、マリヤという名前の婦人が6人も登場いたします。その内の4人については、既に学びました。ここではエルサレムの都に住んでいたマリヤについて、学びましょう。
このマリヤは、一人息子のマルコをもつ、やもめ(未亡人)です。しかし、聖書を見ますと、この婦人は非常にいろいろな点で恵まれていた人のようです。その恵みの第一は、愛する息子のマルコが、まことに真面目な青年であったことです。このマルコは、「マルコによる福音書」を書いたほど、信仰深い人で、初代キリスト教会の主だった使徒でパウロ、バルナバ、ペテロなどの手助けをした、若い教師でした。
ペテロの第一の手紙5章13節によりますと「あなたがたと共に選ばれてバビロンにある教会、ならびに、わたしの子マルコから、あなたがたによろしく」とあります。この言葉を見ても、ペテロとマルコのあたたかい親子のような関係がわかります。マルコのような良き息子を与えられたことは、母として、本当に大きな恵みと言えましょう。
もう一つの彼女が頂いていた恵みは、彼女に沢山の財産が与えられていたことです。使徒行伝12章12節によりますと、彼女は大きな家を持ち、13節では、その家には門があり、ロダという女中の門番がいたとあります。その当時、エルサレムには門のある家は、なかなか見当たりませんし、地位や財産のある人たちだけが、門のある家に住んでいたようです。このことから考えてみましても、マリヤの地位や彼女の家庭の経済状態が分ります。しかし、これらの恵みの内、彼女に対する一番優れた恵みは、彼女の信仰の深さ、確かさでした。マリヤが何時クリスチャンになったかは、よく分りませんが、アブラハム・カイパー博士の書かれましたところでは、彼女がそれまでに相当長い信仰生活を送っていたに違いない、とございます。
とにかく、マリヤは実に信仰深い婦人であったと同時に、また非常に勇気に富んだ人でありました。当時は、キリスト教会がひどく世の中から迫害を受けていた時です。その時の王、暴君ヘロデは、政策上、キリスト教会に迫害の手を伸ばして、イエスの弟子ヤコブを殺したことが、ユダヤ人の群衆の意にかなったと見てとりました。それでヘロデは、更に、ペテロも捕らえ、獄に閉じ込め、過ぎ越しの祭の後で彼を殺し、人気を得ようと思いました。
彼は4人組の兵卒4組で、かわるがわる厳重に牢獄を監視させました。人間的な立場から考えますと、ペテロをこのような危地より救い出すなど、とうてい人のなし得るところではなく、不可能なことでした。それにもかかわらず、教会ではペテロの救いのために熱心な祈りを神に捧げていたのです。
暴君ヘロデ王が、いよいよペテロを牢獄から引き出そうとした、その夜のことでした。マリヤの家では、大勢の信者たちが集まって、熱心な祈祷会をペテロのために、ひそかに開いていたのです。集まる会堂もなく、狂暴な王の厳しい迫害の危険な立場にある教会のために、自分の家を開放し、提供していることが公けになれば、マリヤも死刑は免れません。それほどの危険をおかし、全てを承知の上で、教会のために祈祷会を自分の家で開くことは、大変な決断と勇気が、更に神様のみ摂理に対する深い信仰が必要とすることは、言うまでもないことであります。ここにマリヤの崇高な信仰から出る勇敢な行為が、何ものも恐れず、実行となって現われたのでありましょう。
さて、彼らの熱心な祈りが続けられています時、神は彼らの祈りに答えられました。神は牢獄からペテロを救い出し、家の外、街頭にまで彼を導き出してくださったのです。路傍に立つ自分を見た時、ペテロはその時初めて、神様が自分をお救いくださったのだと悟りました。彼は大急ぎでマリヤの家に走り行き、彼女の門を叩きました。この時のマリヤを初め、そこにいたクリスチャンたちの驚きと喜びは、どんなであったでしょう。
その場の有様が、聖書には絵のように描写しています。ここに、わたしたちは祈りの力の偉大さの実例を見ることが出来るのです。心を合わせてわたしたちが祈ります時、人の思いや考えを越えて、神様は人の目に不可能な壁を突き破りたまいます。
あなたの教会の中にも、マリヤのように、全てを捧げて喜んで教会の集まりのために、自分の家を開放しておられる方があると思います。もちろん、集まりを持つ家には、掃除もしなくてはならないでしょう。畳が傷むかもしれません。後片づけの苦労もありましょう。隣り近所の人たちから、冷たい目で見られるかもしれません。しかし、日本にも自宅を開放しておられるクリスチャンの方が沢山おられます。
このことは本当に感謝でございます。このような家庭こそ、無神論者の多い、真暗闇の世の中に、真理の光を輝かす灯台とまりましょう。エルサレムのマリヤの家庭は、このような家でありました。あなたのご家庭が、このようになれば、あなたにとって、それは大変大きな素晴らしい恵みとなることでしょうし、大きな喜びとなりましょう。
ポーリン・マカルピン著
(つのぶえ社出版)この文章の掲載は「つのぶえ社」の許可を得ております。
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〒465-0065 名古屋市名東区梅森坂4-101-22-207
緑を大切に!
書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円