2023年7月号
№193
号
通巻877号
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キリスト者の生活綱要 (33)
ジャン・カルヴァン著
ヘンリー・J・ヴァンアンデル編
吉岡 繁訳
第4章 来るべき世への希望
5 死を恐れず、頭を上げるべきである
1 キリスト者であると誇らしげに言う多くの者が、死を待ち望む代わりに、死の恐怖に満たされて、あたかも死が、彼らに起こりうる不幸であるかのように、死のことが言及されるたびに恐れ震えるのは、情けないことである。この世の生からの別離を告げるとき、生まれつきの感情が恐怖に陥るのは、不思議なことではない。
しかし、キリスト者の胸中に、あふれる慰めによって、すべての恐怖を抑えることができる光と信仰がなければ、耐え難いことである。もし、この不安で、腐敗し、死ぬべき、はかない、衰えていく肉体の幕屋が、その後、堅く完全で腐敗しない、天の栄光に回復されるために、解体されるのを考えるなら、われわれの信仰は、生まれつきの性質が恐れるものを、むしろ熱心に求め支えるのではなかろうか。
死によって、追放の状態から家庭へ、天の祖国へ呼び戻されることを思えば、われわれは慰めに満たされるのではなかろうか。
2 しかし、永遠に存在し続けたいと望まない者は、この世にひとりもいない、ということも言われるであろう。なるほど、それは確かなことである。しかし、そうであるからこそ、われわれは本来の不死を望むべきである。そこでは、この地上に見られない、安定の王国を得ることができるからである。
それで、パウロは信者たちに、この身体を脱ぐためではなく、新しい衣を上に着るために、死を慕い求めるように明瞭に教えている。野の獣や無生物、石塊や岩石にいたるまで、現在の空しさに目覚め、神の子たちと共に空しさから開放される、最後の日の復活を望み見ているのであれば、まして、生来の理性の光と、さらに、はるかにまさる神の御霊の啓明に恵まれたわれわれは、未来の自分の存在を考えるとき、この世の腐敗を超えた彼方に思いを向けるのである。
3 しかし、死の恐怖というような、まったくの邪説を論駁することは、私にここでの目的にとって不要であるし、ふさわしくない。私は、日常の問題について、面倒な議論には立ち入らないことを、はじめにいっておいた。異教徒たちでさえ、死を蔑視しているのを知って赤面したいなら、哲学者たちの書を読むほどのこともないが、せめてキプリアヌスの書いた、死についての論文を読むことを、臆病な人には強く勧める。
しかし、死の日と最後の復活の日とを、喜んで待ち望まないようであるなら、その人はキリストの学校で少しも進歩してこなかったというように、はっきり断言されても仕方がない。
4 なぜなら、パウロはこの印をすべての信者に刻印したし、聖書も、まことの喜びの動機を与えようとするとき、しばしばわれわれに注意を向けさせてきた点だからである。
「身を起こし頭をもたげなさい。あなたがたの救いが近づいているのだから」と主は言われる。
キリストが、われわれを喜びで満たし、はっきりと目を覚まさせるために企てられたことが、悲哀と狼狽だけを引き起こすに過ぎないと考えるのは、正しいことであろうか。もしそうであるなら、なぜわれわれはキリストをなお主とほめたたえるのか。
だから健全な判断に立ち返り、われわれの肉の盲目で愚かな望みの反抗があるにせよ、すべての事柄の中でも、最も感動的なこととして、主の再臨を熱心に何の躊躇もなく待ち望もう。また、単にそれを待ち望むだけでなく、(審判の日を)切望し慕い歎こう。
主は救い主として、すべての悪の悲惨の底なしの大混乱の中から、われわれを救い出すために来られ、主の命と栄光のすばらしい嗣業の中に、導きいれてくださるからである。
Ⅱコリント5:4、テトス2:13、ルカ21:28
(つのぶえ社出版) この文章の掲載は訳者の許可を得ております。
ジャン・カルヴァン著
ヘンリー・J・ヴァンアンデル編
吉岡 繁訳
第4章 来るべき世への希望
5 死を恐れず、頭を上げるべきである
1 キリスト者であると誇らしげに言う多くの者が、死を待ち望む代わりに、死の恐怖に満たされて、あたかも死が、彼らに起こりうる不幸であるかのように、死のことが言及されるたびに恐れ震えるのは、情けないことである。この世の生からの別離を告げるとき、生まれつきの感情が恐怖に陥るのは、不思議なことではない。
しかし、キリスト者の胸中に、あふれる慰めによって、すべての恐怖を抑えることができる光と信仰がなければ、耐え難いことである。もし、この不安で、腐敗し、死ぬべき、はかない、衰えていく肉体の幕屋が、その後、堅く完全で腐敗しない、天の栄光に回復されるために、解体されるのを考えるなら、われわれの信仰は、生まれつきの性質が恐れるものを、むしろ熱心に求め支えるのではなかろうか。
死によって、追放の状態から家庭へ、天の祖国へ呼び戻されることを思えば、われわれは慰めに満たされるのではなかろうか。
2 しかし、永遠に存在し続けたいと望まない者は、この世にひとりもいない、ということも言われるであろう。なるほど、それは確かなことである。しかし、そうであるからこそ、われわれは本来の不死を望むべきである。そこでは、この地上に見られない、安定の王国を得ることができるからである。
それで、パウロは信者たちに、この身体を脱ぐためではなく、新しい衣を上に着るために、死を慕い求めるように明瞭に教えている。野の獣や無生物、石塊や岩石にいたるまで、現在の空しさに目覚め、神の子たちと共に空しさから開放される、最後の日の復活を望み見ているのであれば、まして、生来の理性の光と、さらに、はるかにまさる神の御霊の啓明に恵まれたわれわれは、未来の自分の存在を考えるとき、この世の腐敗を超えた彼方に思いを向けるのである。
3 しかし、死の恐怖というような、まったくの邪説を論駁することは、私にここでの目的にとって不要であるし、ふさわしくない。私は、日常の問題について、面倒な議論には立ち入らないことを、はじめにいっておいた。異教徒たちでさえ、死を蔑視しているのを知って赤面したいなら、哲学者たちの書を読むほどのこともないが、せめてキプリアヌスの書いた、死についての論文を読むことを、臆病な人には強く勧める。
しかし、死の日と最後の復活の日とを、喜んで待ち望まないようであるなら、その人はキリストの学校で少しも進歩してこなかったというように、はっきり断言されても仕方がない。
4 なぜなら、パウロはこの印をすべての信者に刻印したし、聖書も、まことの喜びの動機を与えようとするとき、しばしばわれわれに注意を向けさせてきた点だからである。
「身を起こし頭をもたげなさい。あなたがたの救いが近づいているのだから」と主は言われる。
キリストが、われわれを喜びで満たし、はっきりと目を覚まさせるために企てられたことが、悲哀と狼狽だけを引き起こすに過ぎないと考えるのは、正しいことであろうか。もしそうであるなら、なぜわれわれはキリストをなお主とほめたたえるのか。
だから健全な判断に立ち返り、われわれの肉の盲目で愚かな望みの反抗があるにせよ、すべての事柄の中でも、最も感動的なこととして、主の再臨を熱心に何の躊躇もなく待ち望もう。また、単にそれを待ち望むだけでなく、(審判の日を)切望し慕い歎こう。
主は救い主として、すべての悪の悲惨の底なしの大混乱の中から、われわれを救い出すために来られ、主の命と栄光のすばらしい嗣業の中に、導きいれてくださるからである。
Ⅱコリント5:4、テトス2:13、ルカ21:28
(つのぶえ社出版) この文章の掲載は訳者の許可を得ております。
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緑を大切に!
書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円