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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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 『旧・新約婦人物語』(34)

9f9149db.jpeg 門番をしていた婦人
  ロダ
                =使徒行伝12:12~17=

 ロダという婦人のことが、聖書のどこに出ていますか、と突然聞かれましたら、あなたは正しい答えが直ぐにできますか。よほど、注意して聖書を読む人でなければロダのことは分からないかも知れません。なぜかと申しますと、彼女のことは、聖書にただの一度しか出てこないからであります。
 「エルサレムのマリヤ」のところで読んでいただきました、使徒行伝12章をもう一度、お読みください。使徒ペテロが天の使いに導かれ、牢屋から救い出されましたとき、彼はすぐに、マルコと呼ばれたヨハネの母マリヤの家に行きました。ちょうどその時、マリヤの家では門を閉じて大勢のクリスチャンが集まり、ペテロが救われるようにと神様にお祈りをしている最中でした。
 時は真夜中で、都エルサレムは人の気配は絶えて、ひっそりと静まり返っていました。宮殿では暴君ヘロデも深い眠りにおちいっていたことでしょう。真暗闇の牢獄でも、ペテロがもうそこにはいないことなど気付かぬ兵卒も、ぐっすり寝込んでいたことでしょう。しかしマリヤの家だけは、明かりが外に漏れるのを恐れつつ、赤々とともし火をつけ、大勢の人たちが寝もやらず、一日の疲れと眠気も忘れて、熱心に神様に祈っていたのです。
 その時、誰かが突然、門の戸をコツコツと叩きました。もちろん、家の中で祈っていた人たちには、その音は聞こえなかったでしょう。けれども、門の番をしていた若いロダには、門を叩く音が聞こえました。彼女は直ぐに門のところへ行きました。

 当時、キリスト教会は凶暴なヘロデ王の迫害を受け、信者は牢獄に投げ込まれ、弟子のヤコブはすでに殺されておりました。何時、どんな危険が、他の信者たちに襲って来るか油断の出来ない状態でした。そのような全く危険な時に、真夜中、家の門を守ると言うことは、誰にでも出来ることではありません。よほどの勇気がいりますし、しっかりした人でなければ、勤まらないと思います。
 ペテロが、門を叩くその音に、直ぐ門のところへ近寄ったロダは、用心深く、門を直ぐに開いたりせずに、まず名前と用件とを訊ねました。ここに彼女の賢いやり方を見ることが出来ます。自分の重い責任を深く感じて、危険な人は一歩も入れさせまいとする、彼女のしっかりした気構えが伺えます。
 「おれだ!ペテロだ!」と言う、外からの声に、ロダは直ぐその声の主が間違いなくペテロの声だと分かりました。このことで、今一つ知ることが出来ますのは、彼女がただの一言で、ペテロだと知るほど、信仰の深い婦人であったと言うことであります。
 ペテロはこれで、門を開けてもらえるものとばかり思い込みました。そころがそうではなく、ペテロの声だと知ったロダは、喜びと驚きで有頂天になって、門の鍵をはずすことも、戸を開けることも忘れて、家の中へ駆け込み、祈っている人々に、「ペテロさんが門口に立っています」と告げました。この時のロダの態度から、彼女の性格がよく分かります。彼女は非常に活発な、しかも活動的な、元気な女性であったように見受けられます。その反面、彼女は物事をじっくり考えてから行動するといった熟慮型でなく、さっさと事を運ぶ拙速型の性格であったように思えます。ペテロを戸の外に長く待たせておいたのは、どうも愚かなことでしたが、彼女は余りの嬉しさと、喜びに、すっかり落ち着きを失い、このような失敗をしでかしたのでしょう。
 ロダの報告を聞いた人々は、彼女の言うことを信じようとしませんでした。そのような人々の態度を、皆様は非常に不思議と思いませんか。皆が真剣に祈り求めていたことが、事実となって神様によって答えられた時、彼らは本当に自分たちの祈りが、答えられたのだとは、信じなかったのです。このようなことは、今でもよくあることです。
 彼らはロダに向かって、「あなたは気が狂っているのだ」と言いました。けれども、ロダは皆に何と言われても、わたしの言っていることは事実なのです。間違ってはいませんと言い張りました。ここでもまた、わたしたちはロダの人格について、もう一つ知ることが出来ます。
 多くの人たちが何と言おうとも、自分の立場と確信を曲げないで押し通す、彼女の勇ましく強気な態度です。気が狂っていると言われても負けずに、真実に対して取った態度は、本当に教えられるものがあります。彼女が余りにも熱心に言い張るのに負けて、その場にいた人たちは、「それでは、ペテロの御使いだろう」と言って、まだ本当にしてくれません。家の中で、このように言い争い大騒ぎをしている間も、門の外に立つペテロは、しきりと戸を叩いておりました。

 戸を叩き続ける物音を聞きつけた人たちが、大急ぎで門を開きました。すると、そこに、ロダが言う通りペテロが立っていたのです。ペテロは手を振って、皆の喜び騒ぐのを静め、主が牢獄から自分を連れ出してお救いくださったことを、詳しく説明して聞かせました。彼は「このことを、ヤコブやほかの兄弟たちに伝えてください」と言い残して、どこか他の所へ行きました。
 年若い女中のロダのことを学びます時、わたしたちはいろいろと教えられます。彼女は若いながらも、忠実に自分の勤めを果たし、元気で、喜びに満ち溢れた信仰生活を送った女性であったようです。わたしたちもこのロダのように昼夜を分かたず、神様から与えられた使命を、間違いなく忠実に果たしているでしょうか。
 キリストの教会の進展のために、あるいはまだ救われていない家族の方々や、隣り人のために、さらに滅びに陥りつつある多くの人々のために、毎日わたしたちはどれだけ祈っているでしょうか。
 今のクリスチャンが、第一世紀のクリスチャンに少しも劣らぬ勇気と熱心とをもって、キリスト・イエスにある確固不動の信仰に立って偶像崇拝に満ちているこの世と戦って行かれますように、祈ってやみません。

ポーリン・マカルピン著
(つのぶえ社出版)この文章の掲載は「つのぶえ社」の許可を得ております。

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書籍紹介
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エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
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東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

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 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
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電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
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東京大学大学院学際情報学府博士課程
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東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
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東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
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おすすめ本

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スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
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本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
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「あとがき」より
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定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
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おすすめ本

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ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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