2023年7月号
№193
号
通巻877号
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「ローマ人への手紙」研究 (93)
第55課 異邦人の召命とユダヤ人の拒否
9章1~11章36節(続)
F 神のユダヤ人拒否は最終的なものではない。何故なら、彼らの多くの者がキリストへ立ち帰るからである。
11章11~36節 (5)
「そこでわたしは、あなたがた異邦人に言う。わたし自身は異邦人の使徒なのであるから、わたしの務めを光栄とし、どうにかしてわたしの骨肉を奮起させ、彼らの幾人かを救おうと願っている」(11:13~14)。
パウロの論述において、これらの二つの節は挿入句になっています。パウロはユダヤ人の堕落と回復の論述を一時中断して、この大問題に関連して自分の気持ちと行動について一言しようとしています。パウロは異邦人の使徒です。しかし、使徒行伝に記されている彼の行動から見ると、彼が訪れた多くの場所において、彼はまず最初にユダヤ人に福音を宣べ伝えることを常としていたことを知るのです。ここでパウロは異邦人に語っていますが、それは彼が異邦人に言及することが、彼の血族であるユダヤ人たちを奮起させて、救いを求めさせ、キリストの中に救いを見い出させることを望んでいることなのです。
異邦人の救いとユダヤ人の救いとは密接に関連していることは明らかです。全てのキリスト信者は、これらの両方に深く関心を持たなくてはならないのです。ユダヤ人であれ、異邦人であれ、そのいずれかに悪感情を持つことは根拠のないことなのです。パウロが異邦人の救いを切望したのは、彼ら異邦人たちのためばかりではなく、そのことが彼の同族のユダヤ人たちの回心のためにも道を開くことになるからです。
「彼らの幾人かを救おうと願っている」(14)。勿論、これはパウロ或いは他の伝道者が罪人を実際に救うことが出来るという意味ではありません。罪人の救いは全く神の業です。しかし、神は同時に人間をその器として、ある点においてお用いになるのです。現代において、伝道者の努力が聞く者を救いに導くのに十分な力を持っているかのような印象を与えますが、パウロが述べているのは、そのような意味は全くないのです。彼のいう意味は、「彼らの幾人かの救いのための神の御手の中の器となりたい」と言っているのです。
「もし彼らの捨てられたことが世の和解となったとすれば、彼らの受けいれられることは、死人の中から生き返ることではないか」(11:15)。
この節は、11章12節と部分的に並行するものです。前半は難解なところはありません。「捨てられる」は明らかに神がユダヤ人を拒まれることを意味し、「世の和解」とは異邦人の救いを意味してします。「彼らの受けいれられること」はユダヤ人の回心を意味しています。しかし、後半は全く難解です。「死人の中から生き返る」とは何を意味するのでしょうか。この11章15節の解釈について二つの見解があります。
J.G.ヴォス著
玉木 鎮訳
(日本キリスト改革派引退教師)
第55課 異邦人の召命とユダヤ人の拒否
9章1~11章36節(続)
F 神のユダヤ人拒否は最終的なものではない。何故なら、彼らの多くの者がキリストへ立ち帰るからである。
11章11~36節 (5)
「そこでわたしは、あなたがた異邦人に言う。わたし自身は異邦人の使徒なのであるから、わたしの務めを光栄とし、どうにかしてわたしの骨肉を奮起させ、彼らの幾人かを救おうと願っている」(11:13~14)。
パウロの論述において、これらの二つの節は挿入句になっています。パウロはユダヤ人の堕落と回復の論述を一時中断して、この大問題に関連して自分の気持ちと行動について一言しようとしています。パウロは異邦人の使徒です。しかし、使徒行伝に記されている彼の行動から見ると、彼が訪れた多くの場所において、彼はまず最初にユダヤ人に福音を宣べ伝えることを常としていたことを知るのです。ここでパウロは異邦人に語っていますが、それは彼が異邦人に言及することが、彼の血族であるユダヤ人たちを奮起させて、救いを求めさせ、キリストの中に救いを見い出させることを望んでいることなのです。
異邦人の救いとユダヤ人の救いとは密接に関連していることは明らかです。全てのキリスト信者は、これらの両方に深く関心を持たなくてはならないのです。ユダヤ人であれ、異邦人であれ、そのいずれかに悪感情を持つことは根拠のないことなのです。パウロが異邦人の救いを切望したのは、彼ら異邦人たちのためばかりではなく、そのことが彼の同族のユダヤ人たちの回心のためにも道を開くことになるからです。
「彼らの幾人かを救おうと願っている」(14)。勿論、これはパウロ或いは他の伝道者が罪人を実際に救うことが出来るという意味ではありません。罪人の救いは全く神の業です。しかし、神は同時に人間をその器として、ある点においてお用いになるのです。現代において、伝道者の努力が聞く者を救いに導くのに十分な力を持っているかのような印象を与えますが、パウロが述べているのは、そのような意味は全くないのです。彼のいう意味は、「彼らの幾人かの救いのための神の御手の中の器となりたい」と言っているのです。
「もし彼らの捨てられたことが世の和解となったとすれば、彼らの受けいれられることは、死人の中から生き返ることではないか」(11:15)。
この節は、11章12節と部分的に並行するものです。前半は難解なところはありません。「捨てられる」は明らかに神がユダヤ人を拒まれることを意味し、「世の和解」とは異邦人の救いを意味してします。「彼らの受けいれられること」はユダヤ人の回心を意味しています。しかし、後半は全く難解です。「死人の中から生き返る」とは何を意味するのでしょうか。この11章15節の解釈について二つの見解があります。
J.G.ヴォス著
玉木 鎮訳
(日本キリスト改革派引退教師)
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〒465-0065 名古屋市名東区梅森坂4-101-22-207
緑を大切に!
書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円