2023年7月号
№193
号
通巻877号
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
キリスト者の生活綱要 (37・最終回)
ジャン・カルヴァン著
ヘンリー・J・ヴァンアンデル編
吉岡 繁訳
第5章 この世の生の正しい用い方
5 欠乏のなかで忍耐ぶかく、足ることを知ろう
1 もう一つの原則は、貧しい人々が、欠乏の中で忍耐を学び、富への思いによって悩まされないように、ということである。この節度を守る者は、主の学校で少なからぬ進歩をし、この進歩の見られない者は、キリストの弟子としての証しが殆んど出来ない。
2 地上の物に対する情熱は、他の殆んど全ての悪徳を伴うばかりでなく、貧困の時に忍耐の足りぬ者は、豊な状態になると、その反対の悪徳を現わすのが普通である。つまり、みすぼらしい服装を恥じる者は、華美な服装を誇るということである。つつましい食事で満足しない者は、美食を望んで心安まらず、何か機会があるや否や、暴食にさえ陥ってしまう。
窮乏と貧困を不安と不満で我慢している人は、ひとたび名誉への道を走ると、横柄と尊大とを防ぐことが出来ないであろう。
それで、信仰生活において真実でありたいと願う者は皆、「飽くことにも飢えることにも、富むことにも乏しいことにも」処し得るように、熱心に使徒を手本に習うように努めよう。ピリピ4:12
3 聖書はまた、地上の物の使用を制限する第三の原則について語っている。この点は自己否定の教えを述べた時に記されている。
これら地上の物はすべて神の好意によって、われわれに与えられ、われわれの利益のためのものであるが、それらは同時に、われわれに任された預金のようなものであって、それらに対して、何時の日にか、われわれは勘定の説明をしなければならないのである。そのため、われわれは「あなたの会計報告を出しなさい」という警告を、間断なく聞いているように、それらを取り扱わなければならない。
4 さらに、誰がこれを命じておられるかも忘れないようにしよう。その方は、自制と謹厳と倹約と節度とを非常に強く勧められる。その方は、奢偧や放漫や、みせびらかしや虚飾を非常に嫌われる。その方は、愛による以外に、われわれが神の祝福を取り扱うことを認めようとされない。その方は、われわれを貞節や純潔から導き出し、愚か者にしてしまうような、すべての快楽を咎められる。
ピリピ4:12、ルカ16:2
6 神の召しに忠実であれ
1 最後に、主は、われわれ一人びとりが、生涯の全ての行動において、召命に忠実であるように命じておられることに注意すべきである。主は、人間の心が、落ち着きなくあちらこちらと迷い、多くのものを一時に握りしめようという、飽くことを知らぬ野望のあることを知っておられるからである。そのため主は、われわれの愚鈍と奔放とから、生み出されるそうした混乱を防ぐために、それぞれ人に異なった領域で特別な義務を果たすようにされた。
それで、だれも自分の限界を無謀に超えてしまうことのないように、主は、そのような人生の諸領域を「召命」と呼ばれた。したがって各自の領域は、彼が生涯不確かに歩きまわらないように、主によってその人に与えられた立場である。
この区別は非常に重要で、われわれの全行動は、主の眼からは、この召命によって量られ、しばしば人間的な理性や哲学の判断とは非常に異なったものとなる。
2 哲学者の中でさえ、自分の国を圧制政治から解放するのは、最大の英雄であると言う。しかし、天の審判者の声は、暴君を殺す個人を明白に罪と定める。実例を枚挙することは、われわれの範囲ではないが、市民としての行動で、何が正しい行為かという原理と基準は、主の召命が何かということを知るだけで十分としよう。
主の召命を軽視する者は、自分の仕事の義務を果たす点で、決して正しい道を歩み続けることができない。時には、彰讃に価するように見える何らかの行為に成功するかもしれない。しかしながら、人の目にはそれがどんなに良く見えても、主の王座の前には受け入れられない。なおその上、その人の生活の各部分には統一性がないであろう。
3 したがって、われわれのこの世の生は、常に召命感を心に持つことによって、最も良く統制される。そうすれば、自分の限界を越えることは悪であることを知るから、だれも、召命と矛盾することを敢えて企てるような、無謀をしてみたいと思わなくなる。最前列にいない者は、自己の任務を果たすことで満足し、主が配置してくださった場所から逃げ出すべきではない。
心配や労苦、災難やその他の重荷の中にある時、これら全ての点で、主gの導き手であられることを知ることは、決して小さな慰めではない。あ そこで為政者は、いっそう快く自分の職務を遂行していくであろう。一家の父は、一層勇気を持って、自分の義務を果たすであろう。そして各人は、その肩の上に置かれた任務を、神によるものと確信する時、だれもかれも、それぞれの生の領域で、いっそう忍耐を示し、人生における困難や気苦労、悲惨や心配事に打ち勝つのである。
もしわれわれが、神の召命に従うなら、神の前に真に尊ばれず、たいして重要でない卑賤な職業などと言うものは存在しない、というこのユニークな慰めを受けるであろう。(神の御前で!コラム・デオ)。
創世記1:28、コロサイ1:1以下。
(つのぶえ社出版) この文章の掲載は訳者の許可を得ております。
ジャン・カルヴァン著
ヘンリー・J・ヴァンアンデル編
吉岡 繁訳
第5章 この世の生の正しい用い方
5 欠乏のなかで忍耐ぶかく、足ることを知ろう
1 もう一つの原則は、貧しい人々が、欠乏の中で忍耐を学び、富への思いによって悩まされないように、ということである。この節度を守る者は、主の学校で少なからぬ進歩をし、この進歩の見られない者は、キリストの弟子としての証しが殆んど出来ない。
2 地上の物に対する情熱は、他の殆んど全ての悪徳を伴うばかりでなく、貧困の時に忍耐の足りぬ者は、豊な状態になると、その反対の悪徳を現わすのが普通である。つまり、みすぼらしい服装を恥じる者は、華美な服装を誇るということである。つつましい食事で満足しない者は、美食を望んで心安まらず、何か機会があるや否や、暴食にさえ陥ってしまう。
窮乏と貧困を不安と不満で我慢している人は、ひとたび名誉への道を走ると、横柄と尊大とを防ぐことが出来ないであろう。
それで、信仰生活において真実でありたいと願う者は皆、「飽くことにも飢えることにも、富むことにも乏しいことにも」処し得るように、熱心に使徒を手本に習うように努めよう。ピリピ4:12
3 聖書はまた、地上の物の使用を制限する第三の原則について語っている。この点は自己否定の教えを述べた時に記されている。
これら地上の物はすべて神の好意によって、われわれに与えられ、われわれの利益のためのものであるが、それらは同時に、われわれに任された預金のようなものであって、それらに対して、何時の日にか、われわれは勘定の説明をしなければならないのである。そのため、われわれは「あなたの会計報告を出しなさい」という警告を、間断なく聞いているように、それらを取り扱わなければならない。
4 さらに、誰がこれを命じておられるかも忘れないようにしよう。その方は、自制と謹厳と倹約と節度とを非常に強く勧められる。その方は、奢偧や放漫や、みせびらかしや虚飾を非常に嫌われる。その方は、愛による以外に、われわれが神の祝福を取り扱うことを認めようとされない。その方は、われわれを貞節や純潔から導き出し、愚か者にしてしまうような、すべての快楽を咎められる。
ピリピ4:12、ルカ16:2
6 神の召しに忠実であれ
1 最後に、主は、われわれ一人びとりが、生涯の全ての行動において、召命に忠実であるように命じておられることに注意すべきである。主は、人間の心が、落ち着きなくあちらこちらと迷い、多くのものを一時に握りしめようという、飽くことを知らぬ野望のあることを知っておられるからである。そのため主は、われわれの愚鈍と奔放とから、生み出されるそうした混乱を防ぐために、それぞれ人に異なった領域で特別な義務を果たすようにされた。
それで、だれも自分の限界を無謀に超えてしまうことのないように、主は、そのような人生の諸領域を「召命」と呼ばれた。したがって各自の領域は、彼が生涯不確かに歩きまわらないように、主によってその人に与えられた立場である。
この区別は非常に重要で、われわれの全行動は、主の眼からは、この召命によって量られ、しばしば人間的な理性や哲学の判断とは非常に異なったものとなる。
2 哲学者の中でさえ、自分の国を圧制政治から解放するのは、最大の英雄であると言う。しかし、天の審判者の声は、暴君を殺す個人を明白に罪と定める。実例を枚挙することは、われわれの範囲ではないが、市民としての行動で、何が正しい行為かという原理と基準は、主の召命が何かということを知るだけで十分としよう。
主の召命を軽視する者は、自分の仕事の義務を果たす点で、決して正しい道を歩み続けることができない。時には、彰讃に価するように見える何らかの行為に成功するかもしれない。しかしながら、人の目にはそれがどんなに良く見えても、主の王座の前には受け入れられない。なおその上、その人の生活の各部分には統一性がないであろう。
3 したがって、われわれのこの世の生は、常に召命感を心に持つことによって、最も良く統制される。そうすれば、自分の限界を越えることは悪であることを知るから、だれも、召命と矛盾することを敢えて企てるような、無謀をしてみたいと思わなくなる。最前列にいない者は、自己の任務を果たすことで満足し、主が配置してくださった場所から逃げ出すべきではない。
心配や労苦、災難やその他の重荷の中にある時、これら全ての点で、主gの導き手であられることを知ることは、決して小さな慰めではない。あ そこで為政者は、いっそう快く自分の職務を遂行していくであろう。一家の父は、一層勇気を持って、自分の義務を果たすであろう。そして各人は、その肩の上に置かれた任務を、神によるものと確信する時、だれもかれも、それぞれの生の領域で、いっそう忍耐を示し、人生における困難や気苦労、悲惨や心配事に打ち勝つのである。
もしわれわれが、神の召命に従うなら、神の前に真に尊ばれず、たいして重要でない卑賤な職業などと言うものは存在しない、というこのユニークな慰めを受けるであろう。(神の御前で!コラム・デオ)。
創世記1:28、コロサイ1:1以下。
(つのぶえ社出版) この文章の掲載は訳者の許可を得ております。
PR
この記事にコメントする
カテゴリー
ブログ内検索
バックナンバー
カウンター
★ごあんない★
毎月第一日更新
お便り・ご感想はこちらへ
お便り・ご感想くださる方は下記のメールフォームか住所へお願いいたします。お便りは「つのぶえジャーナル」の管理人のみ閲覧になっています。*印は必須です。入力ください。
[PR]Samurai Sounds
〒465-0065 名古屋市名東区梅森坂4-101-22-207
緑を大切に!
書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円