2023年7月号
№193
号
通巻877号
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あなたに聖書を
「キリスト教百話」・・・4
問4 神様は、人間が勝手に造りあげたものだということで結論づけていいでしょうか。
答 志賀直哉が、「小僧の神様」という作品に中で取り上げていることは、この小説の主人公である小僧が神様だと信じたのは、彼がかねてから願っていた寿司を、誰とも分からない人の手配によって腹一杯食べさせてもらったことがあって、一体誰が自分の心の中で願っていることを知って、しかも自分みたいな小僧にご馳走してくれると言うのはどう考えても納得が行かないので遂に、「あれは神様でしかない」と結論付けた、という話です。
志賀直哉は、この小僧にかこつけて人間が神様だと言っているのも、結局は小僧のように、自分の願望を満たしてくれるものを神様といって崇めているのではないか、という批判をしているわけです。実際人間は自分の願いを神様にぶつけます。その願いが適ったら「神様!」といって神を崇めますが、いくら願ってもその願いが実現しなかったら、「神様はわたしの願いを聞いて下さらなかった」と不満に思い、はては「神様なんか当てにしたってしょうがないよ」となり、ひいては「神も仏もあるもんか」と言うことになります。
こうして、人間は、神様を崇めたり、逆に文句を言ったりします。つまりは、人間が神様の品定めをしたり、ご利益が有るか無いかの採点をします。また神様の仕分けをし、神様の専門職を決めたりして、人間の欲望の数くらい沢山の神を祭り上げています。こういうことから言えば、神様と言うのは、人間が造りあげたものだと言う批判は一つの真実を衝いていると言えます。
「アイドル」と呼ばれる人たちは、人間によって作り出されたもので、時が来れば消えていって、「昔のアイドル」になります。この「アイドル」という英語は「偶像」とも訳されます。辞書で「偶像」を引けば、「木・石・土・金属などで造った像。信仰の対象となる像」とあります。木や石で造られなくても、心の中で描いている映像があれば、これも偶像と言えます。
これは人間が造りだしたものですから、神様の実像ではなく、「虚像」です。虚像という言葉はありますが、虚像と言うものは実在しません。その虚像を何か確かなものであるかのように崇めていることを「偶像崇拝」と言いますが、人間がしていることは結局「偶像崇拝」でしかないのでしょうが、神様批判であり、宗教批判であります。
「神様」という言葉を使っても、以上のような批判に照らせば、人間を超えた存在ではありません。神といい宗教といっても、みな人間の限界内のことでしかありません。要するに自己満足に過ぎないのです。自己満足できればそれはそれで良いかも知れませんが、本当の神様がおられるなら、以上のことはみな見当違い、人間の独りよがりに過ぎません。そして人間の中には、何をもって信実とみなすかと言うことが出来る究極の確かさはありません。
この不確かさを抜きにしての神様談義や宗教論は不毛に終わることは確かです。「神様」について何か語るにしても、以上のことが前提になります。
篠田 潔
(日本基督教団隠退教師・元「キリストへの時間」協力委員・ラジオ説教者)
「キリストへの時間」放送予定
4月
7日 大西敏雄 (日本キリスト改革派尾張旭教会牧師)
14日 大西敏雄 (日本キリスト改革派尾張旭教会牧師)
21日 高内義宣 (日本キリスト改革派津島教会牧師)
28日 高内義宣 (日本キリスト改革派津島教会牧師)
(放送開始1952年10月)
CBCラジオ「キリストへの時間」(1053KHZ)
毎週日曜日朝6時30分~45分放送
「キリスト教百話」・・・4
問4 神様は、人間が勝手に造りあげたものだということで結論づけていいでしょうか。
答 志賀直哉が、「小僧の神様」という作品に中で取り上げていることは、この小説の主人公である小僧が神様だと信じたのは、彼がかねてから願っていた寿司を、誰とも分からない人の手配によって腹一杯食べさせてもらったことがあって、一体誰が自分の心の中で願っていることを知って、しかも自分みたいな小僧にご馳走してくれると言うのはどう考えても納得が行かないので遂に、「あれは神様でしかない」と結論付けた、という話です。
志賀直哉は、この小僧にかこつけて人間が神様だと言っているのも、結局は小僧のように、自分の願望を満たしてくれるものを神様といって崇めているのではないか、という批判をしているわけです。実際人間は自分の願いを神様にぶつけます。その願いが適ったら「神様!」といって神を崇めますが、いくら願ってもその願いが実現しなかったら、「神様はわたしの願いを聞いて下さらなかった」と不満に思い、はては「神様なんか当てにしたってしょうがないよ」となり、ひいては「神も仏もあるもんか」と言うことになります。
こうして、人間は、神様を崇めたり、逆に文句を言ったりします。つまりは、人間が神様の品定めをしたり、ご利益が有るか無いかの採点をします。また神様の仕分けをし、神様の専門職を決めたりして、人間の欲望の数くらい沢山の神を祭り上げています。こういうことから言えば、神様と言うのは、人間が造りあげたものだと言う批判は一つの真実を衝いていると言えます。
「アイドル」と呼ばれる人たちは、人間によって作り出されたもので、時が来れば消えていって、「昔のアイドル」になります。この「アイドル」という英語は「偶像」とも訳されます。辞書で「偶像」を引けば、「木・石・土・金属などで造った像。信仰の対象となる像」とあります。木や石で造られなくても、心の中で描いている映像があれば、これも偶像と言えます。
これは人間が造りだしたものですから、神様の実像ではなく、「虚像」です。虚像という言葉はありますが、虚像と言うものは実在しません。その虚像を何か確かなものであるかのように崇めていることを「偶像崇拝」と言いますが、人間がしていることは結局「偶像崇拝」でしかないのでしょうが、神様批判であり、宗教批判であります。
「神様」という言葉を使っても、以上のような批判に照らせば、人間を超えた存在ではありません。神といい宗教といっても、みな人間の限界内のことでしかありません。要するに自己満足に過ぎないのです。自己満足できればそれはそれで良いかも知れませんが、本当の神様がおられるなら、以上のことはみな見当違い、人間の独りよがりに過ぎません。そして人間の中には、何をもって信実とみなすかと言うことが出来る究極の確かさはありません。
この不確かさを抜きにしての神様談義や宗教論は不毛に終わることは確かです。「神様」について何か語るにしても、以上のことが前提になります。
篠田 潔
(日本基督教団隠退教師・元「キリストへの時間」協力委員・ラジオ説教者)
「キリストへの時間」放送予定
4月
7日 大西敏雄 (日本キリスト改革派尾張旭教会牧師)
14日 大西敏雄 (日本キリスト改革派尾張旭教会牧師)
21日 高内義宣 (日本キリスト改革派津島教会牧師)
28日 高内義宣 (日本キリスト改革派津島教会牧師)
(放送開始1952年10月)
CBCラジオ「キリストへの時間」(1053KHZ)
毎週日曜日朝6時30分~45分放送
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〒465-0065 名古屋市名東区梅森坂4-101-22-207
緑を大切に!
書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円