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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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さんびか物語 ・・・32・・

    (広く愛唱されている50曲)・・・31・・

      ホーリン・マカルピン著

         (米国南長老教会婦人宣教師) 

讃美歌320番

 主よ、みもとに近づかん

<神様のみ言葉>

「ヤコブは眠りからさめて、『まことに主がこの所におられるのに、私はそれを知らなかった。』と言った。彼は恐れおののいて、また言った。『この場所は、なんとおそれおおいことだろう。こここそ神の家に他ならない。ここは天の門だ』。翌朝早く、ヤコブは自分が枕にした石を取り、それを石の柱として立て、その上に油をそそいだ」。

~創世記28章16節~18節~

女性の作詞者の手になる讃美歌ですが、本当に素晴らしいものであると思います。ある本では近代讃美歌の傑作であると言われています。

原作者セーラ・フラワー・アダムスは、1805年2月22日にイギリスのハーローで新聞編集者ベンジャミン・フラワーの次女として生まれました。セーラも姉のイライザ(またの名はエリサベツ)も素晴らしい才能の持ち主でセーラの方は主に文学にエリサベツの方は音楽にその才能を発揮しています。

父親が亡くなってから、このフラワー姉妹はロンドンに移りサウス・プレィス・チャペルの会員となりました。そこは独立教会でありまして、牧師のウイリアム・J・フォクスはユニテリアン派の有力な指導者でした。彼は特に女性の権利や出版の自由のために戦い、毎月「リボズィトリー」という雑誌に多くの記事や詩を執筆しました。

セーラもその雑誌に多くの記事や詩を執筆しました。そういう関係で彼女は、その同じ雑誌に政治的な記事を書いていたウイリアム・B・アダムスと知り合いになり、1834年に彼と結婚しました。主人のアダムスはもともと土木技師や発明家でしたが評論家としての才能を持っていた人物でした。

彼女は文学の他にも舞台人としての才能を持つ女性で、主人の励ましを得て、しばらくの間、レディーマクベスとしてロンドンのリッチモンド劇場で出演していました。しかし、女優としてのスケジュールは彼女にとってあまりにも大変だったために身体が続きませんでした。それで女優の夢を捨てて、執筆を一生の仕事としてもう一度ペンを取ったのであります。

1840年から41年にわたって牧師ウイリアム・J・フォクスが、Hymns and Anthemsと言う讃美歌集を発表しようとした時、アダムス夫人の才能をよく知っていたため、その書物に収めるためのものを書くように依頼したそうです。

彼女はその願いに従って作品を13ほど書いてフォクスに渡しました。この讃美歌Nearer My God To Theeは、その13のうちの一つで、その後、アダムス夫人の一番有名な作品となりました。

姉のエリサベツは、この本の150曲のうちのあるものを書き直したり編曲したりしましたが、63曲を自分の作品として納めました。悲しいことですが、エリサベツは結核のために1846年に亡くなりました。セーラも姉の長い看病の疲れで、同じ病気にかかって、その2年後の1848年8月11日に召されました。この二人の姉妹の葬儀の時には、彼女らが作詞・作曲した讃美歌が歌われました。40数年という短い生涯でしたが、その才能は多くの作品によって美しく実を結んでいます。

讃美歌320番の曲BETHANYは、アメリカの有名な作曲家ロウエル・メイスンの作品です。メイスンは1792年1月8日にマサチューセッツ州ノメッドフイルドで生まれました。この本の讃美歌62番に記されていますように、彼の少年時代については、ほとんど何も分かっていません。しかし、はっきりしていることが一つだけあります。それは、彼は音楽には大変な才能を持っていたということであります。また彼は、その才能を生かし活躍したため、その後、アメリカでは「教育音楽の父」と言われるほど重要な役目を果たしました。

アダムス夫人の歌詞“主よ、みもとに近づかん”は、1844年にすでにアメリカで発表されていました。それは、ボストンにある教会の牧師ジエムス・F・クラークが発表した讃美歌集に収められていたからです。その後、この歌は他の讃美歌集にも収められていましたが、本当に一般的になったのは1859年でした。

それは、アダムス夫人の歌詞にロウエル・メイスンのこのための新しい曲BETHANYが初めてあわさせられてSabb th Hymn and Tune Bookに発表されてからであります。その時から今日に至るまで世界的な讃美歌として歌われ、親しまれてまいりました。

<320>

1 主よ、みもとに 近づかん

  のぼるみちは 十字架に

  ありともなど 悲しむべき

  主よ、みもとに 近づかん

1節では、まずこの讃美歌のテーマを“主よ、みもとに近づかん”であると紹介しています。原作では、このテーマは12回歌われていますが、日本語訳では5回しか見られませんし、最後の5節には全然ありません。この方もなかなか味わいがあってよいかと思います。

この1節で歌われている“十字架”は、何を意味しているのでしょうか。苦しみでしょうか、病気でしょうか、悩みでしょうか。いずれにいたしましても、主イエス・キリストの十字架への道を歩み、主に近づくことを求めていますから主の愛と慈しみと慰めを、心ではっきりと知ることは確実であります。

苦しめられても、悩みの中にあっても唇に讃美の歌をもって主に近づこうとするのが、クリスチャンの取るべき道であると思います。昔、ダビデが歌いましたように、「あなたの重荷を主にゆだねよ。主は、あなたのことを心配してくださる」(詩編55:22)と私たちも歌いたいものであります。また、“十字架”は主イエス・キリストがお受けになった迫害を、自分のものとすることでもあります。

それとともに、悩み苦しみに耐えられるように神様は、私たちに歌をも与えてくださったのであります。その歌とは、「昼には、主が恵みを施し、夜には、その歌が私とともにあります」(詩編42:8)という神様への信頼の歌であります。あなたの周りが暗ければ暗いほど神様への讃美を歌いつつ、主に近づこうではありませんか。

2 さすらうまに 日は暮れ

石のうえの かりねの

夢にもなお 天(あめ)を望み

  主よ、みもとに 近づかん

3 主のつかいは み空に

  かよう梯の うえより

招きぬれば いざ登りて

主よ、みもとに 近づかん

2節と3節は、旧約聖書に記されています、ヤコブの夢の物語が背景になっております。

創世記27章、28章には、ヤコブは父イサクをだまし、兄エサウの長子相続権を奪ったために、彼を怒らせてしまい、命がけで家から逃げなければなりませんでした。そうしてカランへと旅立って、ある所に着いたとき、ちょうど日が沈んだので、そこで一夜を明かすことにして石の一つを取り、それを枕に横になりました。

眠っていたヤコブは、そこで夢を見ました。その夢は「一つのはしごが地に向けて立てられている。その頂きは天に届き、見よ、神の使いたちが、そのはしごを上り下りしている。そして、見よ。主が彼のかたわらに立って居られた。そして仰せになられた。『わたしはあなたの父アブラハムの神、イサクの神、主である・・・。わたしはあなたとともにあり、・・・あなたを守り、決してあなたを捨てない』と約束されたのであります(創世記28:12~15)。

放浪者であったヤコブは、眠りからさめて恐れおののき「まことに主がこのところにおられるように、私はそれを知らなかった」と言った。「この場所は、なんとおそれおおいことだろう。こここそ神の家にほかならない」と言いました(創世記28:16~17)と、このように記されています。

私たちも、神様がいつも近くにいたもうことを忘れてはなりません。「神はあなたがたは御霊から離れて、どこへ行けましょう。私はあなたの御前を離れて、どこへのがれましょう」(詩編139:7)とダビデが叫んだように、私たちは、いつも神様のみ前で生活していることを覚えましょう。「天の門」は、私たちのまん前に開かれていることをあなたは知っていますか。

4 目覚めてのち まくらの

  石を立てて めぐみを

  いよよせつに 称えつつぞ

主よ、みもとに 近づかん

4節では、ヤコブは翌朝早く起きて、枕にしていた石を立て、神様への感謝として、その上に油をそそいで、神様の恵みをほめたたえたことが歌われています。この4節の日本語訳は原作よりも聖書的であり、私たちにはっきりと語っています。それは、神様への感謝の正しいあり方、すなわち、神様の恵みをただ口先だけのこととするのではなく、私たちの行ないと捧げものとをもって感謝の心を表すべきであるということであります。

5 うつし世をば はなれて

  天がける日 きたらば

  いよよちかく みもとにゆき

  主のみかおを あおぎみん。

5節ですが、日本語の訳は実に素晴らしいと思います。この讃美歌のクライマックスの“いよよちかく みもとにゆき 主のみかおを あおぎみん”は、原作では歌われてはいません。原作では最後まで、神様に近づこうと言っています。もちろん、神様に近づこうとすることは、私たちの日々の中心的なことでなければなりませんが、神様に近づこうとする、本当の目的を忘れてはいけません。その目的は“主のみかおを あおぎみる”ことであり、“永遠に主と共にいること”であり、“主のみもとに住まわせていただくこと”であります。

へブル人への手紙4章16節には「ですから、私たちは、あわれみを受け、また恵みをいただいて、おりにかなった助けを受けるために、大胆に恵みの御座に近づこうではありませんか」と、私たちにすすめています。この勧めこそ大切であると信じます。

 

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