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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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「あなたに聖書を」

「キリスト教百話」・・・52・・・

問21 キリスト教でいう「救い」とはどういうことでしょうか。・・6・・

答・・19 この点について、遠藤周作の夫人順子さんは「夫の宿題」という手記のなかで、「夫は手術室へ入って行く時、それまで付き添っていたわたくしも、そこへは入って行くことができなかった。しかし、そこから先はあの方がついて行ってくださるのだ、と思った」という旨のことを書いておられました。以上のことから言って、死後はどうなるかということよりも、生きている今も、死ぬ時も、死の彼方にも、神は共にいて下さるという信仰をもって生きることの方が大切なことではないかと思います。

 一般的に言ってわたしたちの多くは神についてなにがしかの思いを抱いております。しかし、それは、こちらからの一方的な理解であり、畏怖の対象ではあっても、「オヤジに叱られるのは怖い」という場合のように、神との人格的関係があってのことではありません。ですから、何か身辺に悪いことが起こると「神様のバチが当たった」みたいなことを言いますが、直接「お前に罰を与える」と言われるのを聞いているわけではありません。ですから「神様に見捨てられた」と言うことがあったとしても、自分でそう思っているだけのことであって、はっきりと「見捨てられた」と言えるほどの、人格的な親しい交わりがあったわけではありません。すべては、神様抜きで、人間の側で考えたり決めつけているに過ぎません。想念としての神以上ではないのです。

 そういう事情の中でしかないものですから、キリストが十字架の上で「わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになられたのですか」と叫ばれたことに対しても、「ああいう苦しい状況に置かれたら、誰だって神様に見放されたと言いたくもなるよ」という受け止め方で終わってしまいそうです。所詮、見物人の所感です。

 しかし、キリストの場合は、神の子として、この地上の世にありながら、地上を超えた天におられる父である神との人格的な交わりを常に持っておられたのでありまして(―そこはわたしたちの預かり得ないところですが―)その父である神から見捨てられる筈などあり得なかったのですが、それが十字架の上で見捨てられたのですから、「どうして・・・」と問わずにおれなかったのだ、と言えます。

 例えば親密な関係にある一人が瀕死の状態にあれば他の一人は最期まで看取ることでしょう。それが、これからが本当に看取ってほしいと願っている時に、突如、その相手が、「もうあなたのことなんか知らんよ」と言って立ち去って行こうものなら、「どうして?」と言わずにおれないでしょう。しかも、その問いに対して全く応答のないまま死ななければならないとしたら、耐えられない絶望のまま死んで行くかありません。キリストの叫びは正にそういう叫びでした。

 聖書記者の一人は、キリストは、最後に「成し遂げられた」と言って息を引き取られたと告げています。「すべては終わった」とも訳せます(ヨハネによる福音書19章30節)。これから先はわたくしの解釈が入りますが、キリストが「すべてが終わった」と言われたのは最終的には父である神から見捨てられたということの中に、ご自分がこの世に父である神からこの世に遣わされた役目があったことが、腹の底から分かった。だから「成し遂げられた」と言われたのではないかと思います。

 言い換えると、「見捨てられた」ということがなかったなら「すべては終わった」と言うことができなかった、ということになります。では、そこで「成し遂げられた」のは何についてであったかが問題となります。

篠田 潔

(日本基督教団隠退教師・元「キリストへの時間」協力委員・ラジオ説教者)

<2017年4月のラジオ放送予定>  

  4月 2日 後登雅博   (日本キリスト改革派高蔵寺教会牧師)

     9日 後登雅博   (日本キリスト改革派高蔵寺教会牧師)

    16日 辻 幸宏   (日本キリスト改革派大垣教会牧師)

    23日 辻 幸宏   (日本キリスト改革派大垣教会牧師)                          

    30日 相馬伸郎   (日本キリスト改革派名古屋岩の上教会牧師)

         (放送開始1952年10月)

CBCラジオ「キリストへの時間」(1053KHZ

毎週日曜日朝6時30分~45分放送

 

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書籍紹介
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エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
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教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
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おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
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「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
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 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
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おすすめ本
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C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
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