2018年12月  №137号 通巻822号
 

解説 ウエストミンスター信仰告白(71)(完)

 

岡田稔著

(元神戸改革派神学校校長)

第33章 最後の審判について

1 神は、イエス・キリストにより、義をもってこの世界をさばく日を定められた(1)。すべての権能とさばきとは、み父から彼に与えられている(2)。その日には、背教したみ使たちがさばかれるだけでなく(3)、かつて地上に生きたことのあるすべての人も、彼らの思いと言葉と行いとのために申し開きをし、また善であれ悪であれ彼らがからだで行なったことに応じて報いを受けるために、キリストの法廷に立つ(4)

  1 行伝17:31
  2 ヨハネ
5:22,27
  3 コリント6:3、ユダ6ペテロ
2:4
  4 コリント5:10、伝道12:14、ロマ2:16、ロマ14:10,12、マタイ12:36,37

一 ここでは、次のことが告白されている。

   イエス・キリストは唯一の審判者である。

   世界審判の日が定められていること。

   その審判の基準は「義」であること。

   そのとき、審かれるのは悪魔と悪霊たちと全人間であること。

わたしたちは、かならずキリストの審判のみ座の前で、その身が行ったこと

に従って、神の公平な審判と報いを受けることを心に銘記しなければならない。キリスト(メシヤ)は、救い主であるとともに審判者でもあられる。

 

2 神がこの日を定められた目的は、選民の永遠の救いにおいて神のあわれみの栄光が表わされ、邪悪で不従順な捨てられた者の永遠の刑罰において神の正義の栄光が表わされるためである。というのは、その時に、義人は永遠の命にはいり、主のみ前からくる満ち足りた喜びと慰めとを受けるが、神を知らずイエス・キリストの福音に服さない悪人は、永遠の苦悩に投げこまれ、主のみ前とみ力の栄光とからの永遠の破滅をもって罰せられるからである(1)

  1 マタイ25:31-46、ロマ2:5,6、ロマ9:22,23、マタイ25:21、行伝3:19テサロニケ1:7-10

二 神が歴史の終わりの日に、審判を行うことを、よしとされる目的は、すべての歴史的事件が、常にそれのみを最高の目標としているところの神の栄光の顕現のためである。そして、この栄光は、二重の方向において示される。すなわち、あわれみ(愛)と正義とである。

 二重予定は今やここに、その真の意義を啓示するのである。天国と地獄は、相互に、それが天国であり、それが地獄であることを他との対比で明示するであろう。

3 キリストは、すべての者に罪を犯すことを思いとどまらせるためにも、逆境にある信者の大いなる慰めのためにも、わたしたちに審判の日のあることを確実に信じさせることを欲する(1)と同時に、その日を人に知らせずにおかれる。それは、彼らはいつ主がこられるかを知らないから、一切の肉的な安心を振り捨て、常に目をさまし、いつも備えして、「来たりませ、主イエスよ。すみやかに来たりませ」と言うためである。アーメン(2)

  1 ペテロ3:11,14コリント5:10,11テサロニケ1:5-7、ルカ21:27,28、ロマ8:23-25
  2 マタイ24:36,42-44、マルコ13:35-37、ルカ12:35,36、黙示22:20

 

三 聖書を通して示されている顕著な事実は、審判の日への警告と、それがいつであるかは不明だということである。これは、一見矛盾のように見えるが、決してそうではない。この二重の教示は、また、二重の目的を持っている。一方は、万人に対する目的であって、一般恩恵的な罪予防であり、他方は、信者に対する目的であって、忍耐と慰めに役立つものである。すなわち、わたしたち信者にとって、主の来臨への期待は、約束の成就の時として、今の苦しみに耐える秘訣となり、「わたしたちは、むしろ肉体から離れて主と共に住むことが、願わしいと思っている」(Ⅱコリント5:8)との希望になる。

 また「世と世の欲とは過ぎ去る。しかし、神の御旨を行う者は、永遠にながらえる」(Ⅰヨハネ2:17)ことを知って、宝を地に積む愚に落ちず、天の都を望み、地にあっては旅人であることを自覚させるのである。

 本告白は再臨の予兆について黙している。特に千年王国について言及していない。改革派神学においてアミレ(無千年王国主義)と呼ばれる立場が根強いのはこのような事実によるのかも知れない。しかし、大切なのは、教会が聖書から一定の教説を正統として確立していない場合、各自の研究と良心の自由に任しておくことが、教会の一致の上で大切である。信条とか信仰告白は教会的一致・コンセンサスを見出しえない限り成文化しないし、してはならないものであろう。

 また世界情勢上一時的な事柄は、信条とは別な宣言として発表するのが適当であって、信条は、歴史的作品ではあるが、地上的な恒久性を確信するに止めるのが正しいと思う。そういう配慮から、前兆の問題や千年王国期のことを省いたのではないだろうか。予定論においても、堕落前予定説と堕落後予定説などにはふれていないのも同じ理由からであろうと思う。

 (完)

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