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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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十戒と主の祈り・・・8・・・1         鈴木英昭著

 

        (元日本キリスト改革派名古屋教会牧師)

=父と母=

  第五戒①・両親を敬う

       出エジプト20:12、申命記6:20~25

 申命記624節の言葉のように、神がイスラエルを「今日あるように、常に幸いに生きるようにしてくださった」のですから、幸いであり続けるためには、「主を畏れる」ことから来ます。この時、エジプトから救い出された民は、荒野での生活をしていましたから、「幸いに生きる」ということは、物理的な幸いではないことが分かります。

 

 二世代くらい前までは、家業を継ぐということが多くありました。そのために、親に教えられて一人前になっていくわけで、生活そのものが親に聞き従うということが比較的多くありました。しかし、教育の制度が普及、知識の伝達が早まり広まって来るにつれて、子供たちの知識が、比較的早い時期から親の知識を超える面が出てくるようになり、社会人になるころには、ごく限られた職種は別として、子は親と違う職業に就くことが多くなりました。さらには、親よりも高い収入を得ることもまれではなくなりました。そうした時、子が親を敬うのは、親の能力や経済力ではなく、親が持つ神への信仰と、子への親の愛が一層はっきりしてきます。

 子の方が父母に勝る面があっても、子が父母を敬うのは、何よりも父母が神を敬って生きているのを見るからです。モーセも、主イエスも語っておられるのは、この点で共通しています。親の信仰の姿を見て、神への畏れを抱きます。しかし、親の信仰が人々の前では神中心であっても、家庭ではそうではなく、自分中心である場合、子は矛盾を感じながらも、子は親のようになっていきます。

 両親が子に配慮がなかったり、態度に一貫性がない時、子は精神が不安定になります。また人格を軽視されると、自立が難しくなる場合もあります。子は、生まれつき自己中心ですから、親が神中心になっていないと、本当の意味で両親を敬うことはできません。そこで、神は申命記620~25節にあるように、親に役割を与えられました。

 この点、主イエスの態度は分かりやすいと思います。ある女が「何と幸いなことでしょう。あなたを宿した胎、あなたが吸った乳房は」と叫んだ時、主イエスは「むしろ、幸いなのは神の言葉を聞き、それを守る人である」と言われました(ルカ1127~28)。幸いなのは血族でも、環境そのものでもなく、神の言葉を聞いて、信じて守る人であり、血のつながり以上に大事なのは信仰だということです。

 このように、この世の教育の手段が進歩し、内容が豊かになっても、子が親の教育を信頼し敬うようになるのは最終的には親自身の責任です。親自身が神の言葉に信頼し、悔い改めの歩みをしていることで、特に幼い子供は、親によって百パーセント教育されることになります。聖書の物語を学び、讃美歌を歌い、祈りを身につける土台は家庭における毎日の生活のなかでなされます。よく三歳までが大事だと言われるのはそのためなのでしょう。

 

=父と母=

  第五戒②・神を敬うから

        エフェソ6:1~14 

 エフェソの信徒への手紙62節の「『父と母とを敬いなさい』は約束を伴う最初の掟です」と、3節の「そうすればあなたは幸福になり、地上で長く生きることができる」ということについて、考えてみましょう。

 十戒の第二戒の偶像の禁止命令では、出エジプト記206節にあるように、「わたしを愛し、わたしの戒めを守る者には、幾千代にも及ぶ慈しみを与える」という約束があるので、第五戒で言われている約束は最初の約束ではないのではないか、ということです。しかし、エフェソ62節の「最初の」と訳されている「プローノス」というギリシャ語は、最初という意味のほかに、「最大の、最も重要な、最も優れた」という意味があります。

 カルヴァンの考えでは、第二戒は第一の板に記されていて、「全律法に及ぶ」(綱要Ⅱ、837)戒めであるが、第五戒は第一の板の最初に記されていて、神に対する戒めから対人間関係に戒めが移り、その基礎となるので、「最も重要な」掟と考えることができるということです。

 次に、この「主が与えた土地で長く生きることができる」という約束は、長生きそのものが神の祝福と考えられるのかということです。それとも、長生きそのものは重く考えるべきことではないのかということです。カルヴァンが綱要の中でこのいずれも正しくはないと語っていることを引用してみましょう。

 「…ある人はぬけぬけと最高の年齢まで生き延びるかもしれない。けれども、それは、この人生において神の祝福を欠きながら、悲惨にも呻吩する以外のなにものでもなく、しかも、後の世においては、いっそう大きな刑罰が備えられているのであるから、敬虔な子らに約束された祝福にあずかることはとうていできない」(Ⅱ838、渡辺信夫訳)。

つまり、長生きそのものが必ずしも祝福ではないのです。長生きにつて、「健やかな人が80年を数えても、得るところは労苦と災いにすぎません」(詩篇9010))というモーセの詩の言葉もあります。従って、信者が約束されて、すでにこの地上の生活で経験することを始めている永遠の命に比べるなら、地上でどんなに長生きしたところで、それはたかが知れています。長生きそのものを絶対化してはならないのです。

 こう理解した上で、信仰者は与えられている今の生命を軽んじてはなりません。両親を敬う者は、彼らを敬うことで神を敬うことをしているからです。神を敬う者へのこの約束は、神の祝福を将来だけでなく、現在も受けるという約束です。「信心は、この世と来るべき世での命を約束するので、全ての点で益となるからです」(Ⅰテモテ4:8)とパウロが教えている通りです。その反対に不従順、不道徳、暴力、怠惰、知恵の欠如などは、多かれ少なれ、自己管理ができず、自己中心になりますから、短命をもたらす可能性が大きいことになります。  

 

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