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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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世田谷通信(229

猫草

  崖があればその下からは湧水が出るものだ。台地に溜まった水は低い方に排水される。雨水は地面に浸透する。染みこんだ雨水が地下でどう流れるかはよくわからない。よくわからないけれど、自然の排水システムはおおむね理にかなっている。しかし何らかの余分な力が加わってうまく排水されないとき、水を吸い込んで膨張した地面はその形を維持できない。つまり崩れる。子どもの頃の砂遊びはそんな当たり前のことを感覚的に教えてくれる。昨今の公園からは砂場が減っている。猫の糞に媒介されるトキソプラズマ症が心配とか、泥で手や服が汚れるからなど撤去の理由はあるのだろうが、子どもたちから砂と水が教えてくれる貴重な体験を取り上げてしまうのはいかにも残念だ。

 この世田谷、成城で近所の人たちが里山と呼んでいる場所は、国分寺崖線の一角にある。崖下からは何か所か湧水が出る。その場所は一様ではない。谷は少しずつ開析されて奥に移動しているし、大雨が続けば新しい水の道ができる。

 人が通る場所だと雨のたびに足元がぬかるんで歩きにくいので何とかしようという話になる。とは言え、緑地内の遊歩道なので舗装はできない。じゃあ簡略な水の道、排水路を作ろう。穴を掘って、竹を半割にして並べ、竹の枝を伐ったのを被せて、雨のあともあんまり泥んこにならない程度に補修する。木杭を何本か打ってみたこともあるがさほど長持ちしなかった。今回もやがて溝や竹に土砂が詰まる。要は応急処置、でも里山保全のベテランさんたちは「そんなもんだ」と言うのだ。

完全にその湧水の流れをコントロールしようとするなら崖をがっちりコンクリートの擁壁で覆い、排水パイプを打ち込むことになる。かくして人間に都合の良いインフラができあがるが、植物やそこに暮らす生き物にとって水の流れは生命線。自然と共存し、人間はあまり不便のない程度に補修するなら、里山的にはその場しのぎがよいということだ。

自然の中にいると、物事は流動的だし、圧倒的な時間と質量でごくゆっくりと動いていることを感じることができる。真っ白なスニーカーや華奢なサンダルで緑地内を散策して足元が泥まみれになっても自己責任。自然の恵みを享受したいならそのルールに従うべきで、お洒落で快適なアウトドアなんて矛盾と幻想だと思う。いささかの不便と不快をおおらかに楽しめばよい。

<いきいき里山・山里ものがたり>

⊛ コロナ禍の制限から解放されて6年振りに帰国しました。飛行機から見る日本 

の風景に改めて感動しました。主人の仕事はインドネシアで政府機関で農業技術指導などを専門にしおりまして、資料として山深い農家の写真を見たり、時には車に便乗して直接皆さんとの会話の中に入れていただくことがありました。険しい田畑で、山全体が棚田でした。狭い水田ですから機械より人手の方が能率的ですねと、家族全員、村全員での農作業で、昭和の日本の農家の様子を祖母から聞いていましたので感慨深いものがありました。農薬を使わないので水田には生き物が沢山いて、虫たちも空に舞っています。どの家も開放的で戸締りなどありません。網戸など一つもありません。鶏は放し飼いで動き回って虫を食べるためにあちこち動き回っています。今、東京のマンションで冷房の部屋で過ごしていますが、息が詰まりそうです。私たち夫婦は、母譲りの「つのぶえ・つのぶえジャーナルファン」ですよ。  東京都  TTさん

⁑この投稿文はTTさんが仕上げてくださいました。感謝です。編集子

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書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

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教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
217ff6fb.jpg 








「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

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「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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