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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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世田谷通信(230

猫草

  東京、文京区に茗荷谷という場所がある。その名の通り、かつてミョウガ畑が広がっていたそうだ。周辺地形は起伏に富み、谷ではきっと湧水で適度に湿っていたのだろう。茗荷坂の一角ではいまも僅かにミョウガを育てている場所がある。

さて、地下鉄茗荷谷駅前の駐輪場奥に丸い柱が見える。「同潤会大塚女子アパートメントハウス」入口ポーチの円柱と中庭の草植鉢だという。建物自体は解体されて残っていないが、建築遺構というわけだ。

同潤会アパートと言えば、青山や代官山のレトロなアパート群としてかつて注目され、老朽化により解体されたという大まかな記憶がある程度だ。「大塚女子アパートメントハウス」は初耳だったので、いくつか本を読んでみた。

まず開設当初の入居条件が「単身、女子、月給50円以上、保証人二人」というハードルの高さ。昭和5年当時にその条件をクリアできる職業婦人はそれほど多くなかっただろう。鉄筋コンクリート5階建て、居室は洋室と和室合わせて150室、鍵付きの個室。男子禁制、家族と言えど男性は内部に入れず面会は応接室を使ったそうだ。地下に80席の食堂が早朝から深夜まで営業し、部屋まで温かい食事を運んでくれるサービスも利用できた。そのため部屋には台所はなく簡易ガスコンロのみ、風呂は地下大浴場、トイレは共同、洗濯は屋上で行う。防音仕様の音楽室には当時非常に高価だったピアノと蓄音機完備、日光浴室にはピンポン台とラジオ、屋上テラスではガーデニングも楽しめた。現在でもこれだけの規模と設備の女性専用マンションなどそうそうお目にかかれない。当時の職業婦人憧れの物件、周囲の注目も高く、雑誌の取材も多かったようだ。目の前が都電の停車場で、交通至便。仕事で遅くなっても暗い夜道を歩かなくて済むという安心感。そして、今では当たり前だが鍵のかかる個室は、独身女性にとって代えがたい居場所だったろう。たとえその部屋が四畳半でも、家賃が相場の倍でも、大人気だったのは頷ける。

とはいえ時代は戦争に突入し、戦況悪化と時代の趨勢の中で当初エリート女性向け高級物件だった大塚女子アパートは、戦後、都営住宅となり低所得単身女性向けへと大きく方向転換する。老朽化の末、2003年、他の同潤会アパート同様に解体となる。今は駅前に丸柱と草植鉢を残すだけだが。街にその場所の記憶は残る。

 

<いきいき里山・山里ものがたり>

岡山県にお住まいの「ジャーナル友さん」がメールを下さいました。

・・・。もう初冬ですね。駅前や繁華街には色とりどりに飾られたショーウインドーの灯かりで華やかです。この時期になりますと各地で市役所の方に苦情が来ている問題がムクドリの被害のようです。夕暮れと共におびただしい数のムクドリが電線や街路樹に群がるための鳴き声や糞の苦情だそうです。ムクドリはひと昔前は「益鳥」として私たちの食生活を支えてきました。農薬を使わない田や畑は虫の害に悩まされ、昔から虫退治(虫追い)の行事やお祭りは各地にあるほどでしたが、その虫を食べてくれたのがムクドリで、歓迎された鳥でしたが、都市化が進み農薬が使われるようになったので、森に住むムクドリは住み家が奪われて、食べ物を求めて街中に来るようになったそうです。ムクドリの住み家の森は狭まり、都会化し、安心して寝入る暗い場所を失い、虫もいなくなると共に、町中に有る食べ物を求めて集まりました。ムクドリは暗い森や安心して寝入ることのできる公園の森も明るい街灯りと車の灯かりで、眠る場所を失ったのが、あの哀れなムクドリなのです。益鳥を「厄介鳥・迷惑鳥」にしたのは私たちなのですね。・・・。

 

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書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

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教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
217ff6fb.jpg 








「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

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「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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