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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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 「ローマ人への手紙」研究 (49)
 第36課 異邦人の召命とユダヤ人の拒否
       9章1~11章36節(続)
A 神がユダヤ人を退け、異邦人を召されることは神の約束と矛盾するものではない。
       9章1~24節(続)
 「その愛顧を与えることにおいて、神は絶対的主権をもっておられる」
       9章6~24節 (続)
 
 現代における一般的で有害な誤りは、神の恵みの約束が外的で包括的なイスラエル、すなわち、アブラハムの肉的な子孫に対して与えられたとすることです。この誤った考えは、ユダヤ民族の未来やユダヤ人のパレスチナ帰還やその他の事柄をめぐっての種々の誤りへと進むのです。正しくは神の恵みの約束は霊的なイスラエル、すなわち、イスラエルの中のイスラエルに対して与えられたものです。内的で純粋の核心である真のイスラエルのみが、神の約束を主張し得るのです。  f58065cf.jpg
 
 このことを明らかにするために、パウロは、「また、アブラハムの子孫だからといって、その全部が子であるのではないからである。かえって、『イサクから出る者が、あなたの子孫と呼ばれるであろう』。すなわち、肉の子がそのまま神の子なのではなく、むしろ約束の子が子孫として認められるのである」と述べられています。
 
 この箇所を分かりやすく言うと、「アブラハムの子孫であるという理由だけで、イスラエル民族のすべての者が、あなたの子孫と呼ばれるであろうかと言っておられるからです。すなわち、イシマエルのようにアブラハムの肉の子孫であるだけの者が神の子と認められるのではなく、神の約束が本当になされている者のみが、アブラハムの真の子孫と見做され、そのように取り扱われているのである」と言う意味です。
 
 私たちがここでよく理解しなければならないことは、ユダヤ人、すなわち、イスラエルの人々はアブラハムの子孫の一部に過ぎないということです。アブラハムはイシマエルやケトラによる子供たちを通して大きな繁栄をもらったのであります(創世記25:1~18)。もし肉の子孫であるという点だけを注目すれならば、アブラハムの血統はユダヤ人と同じくアラブ人にも流れていっているのです。しかし、聖書はどこにもアブラハムの肉の子孫であるということのみが、神の恵みの約束と祝福を受ける鍵であるとは記していません。約束がなされ、祝福が与えられるのは、真の神と契約関係にあるグループであって、外的な包括的なイスラエル民族なのではありません。
 
 神がこのことをアブラハムに明らかにされたのは、「イサクより出る者があなたの子孫と呼ばれるであろう」と言われた時でした。アブラハムはイシマエルこそ約束の子孫であると思っていました。それで、「イシマエルがどうかあなたの前に生きながらえますように」と言ったのです(創世記17:18)。 
しかし、神は他のご計画をもっておられました。そしてアブラハムに答えられました。「いや、あなたの妻サラはあなたに男の子を産むでしょう。名をイサクと名づけなさい。わたしは彼と契約を立てて、後の子孫のために永遠の契約としよう。また、イシマエルについてはあなたの願いを聞いた。わたしは彼を祝福して多くの子孫を得させ、大いにそれを増すであろう。彼は12人の君たちを生むであろう。わたしは彼を大いなる国民としよう。しかしわたしは来年の今ごろサラがあなたに産むイサクと、わたしは契約を立てるであろう」(創世記17:19~1)。
現世的な繁栄と成功がイシマエルとその子孫に約束されました。しかし、神は「わたしはイサクとわたしの契約を立てる」と言われたのです。その後、イシマエルとハガルが追い出された時、神はアブラハムに対して、「イサクに生まれる者が、あなたの子孫と唱えられるからです」と言われました(創世記21:12)。
こうして、神の恵みの約束と契約関係は、アブラハムのすべての子孫に与えられたのではなく、選ばれた一部の者、すなわち、神が契約を立てられた真の子孫と認められた者に対してのみ与えられることが、彼の在世中に明らかにされたのです。
 
 
 J.G.ヴォス著
   玉木  鎮訳
 (日本キリスト改革派引退教師)
 
 
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書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

      d6b7b262.jpg
教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
217ff6fb.jpg 








「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
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定価 2000円 

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エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
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鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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