忍者ブログ
2023年7月号  №193 号 通巻877号
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

…キリスト教…
 社会福祉活動のあゆみ(17)
 修道院の貧しい人々への救済(3)
 修道院生活(3)
 
 西方教会の修道院の生活は、東方教会に多くあったような単に恍惚として現世の世界を忘れる神秘的な瞑想生活ではなく、沈黙と勤勉とをもって努力する活動的生活でした。
ベネディクト会の修道者たちは、中世期の前半を通じて教化機関となりました。修道院は、しばしば模範農場であると同時に、宿屋であり、病院であり、学校であり、また、図書館でもあったのです。
修道者たちは、彼らの土地を立派に耕作することによって、周囲の人々に農耕の模範を示し、西ヨーロッパに宿屋のほとんど絶無であった時代に、旅人や巡礼者に宿を与えて歓待しました。飢えた者を養い、修道院の前に運ばれてくる病人を治療し、また薬を必要とf77c7322.jpg
する者には、無料でそれを配布したり、多くの慈善事業を実施したのです。また、その学校において、司祭になる希望の少年と社会に出て活躍しようとする少年を教育しています。修道者は、その時代の学者であったのです。
 
 フックス(1870-?)も修道院について、「風俗の歴史」で次のように書いています。
「修道院は最初の文明の所在地であり、最初の文明の伝播者であった。長い年代にわたって、修道院だけがそうであった。修道院から、初めて職業的手工業が勃興した。2、3の実例を挙げるなら、修道院の中に最初の織物職人があらわれました。更に、修道士は最初のビール醸造人であった。これと同じように、修道院によって、初めて合理的な農業がおこなわれた。そして修道士たちは、付近の住民にそれらを全て教えてやった。彼らは綿を織り、綿を着物にすることを教え、もっと有利な農業を教え、さらに生活水準を高めようとする意気込みを教えた。さらに修道院は自分を維持するために最初の市街を作った。修道院は初めて荒地を開墾して田畑に変え、沼沢を乾かし、堤防を築いた。修道院の堅固な石垣は、最初の堅固な石垣であった。もし捕縛好きの敵がその地方を襲った時は、付近の住民はその砦の後ろに逃げ込んで、自分たちの財産を隠すことが出来た。修道院と教会は、神の城郭であっただけでなく、俗世の敵に対する、最初の一番堅固な要塞であった」。
フックスはまた、修道院は中世文化の発生地であったと次のように描写しています。
「技術及び経済の分野において、修道士と修道院の役割に当てはまるものは、そのまま精神の分野にも当てはまった。修道院こそは、中世科学の一つの所在地であった。そこには最初の医者が住んでいた。人々はそういう医者から、人間や家畜の病気に対して、産婆よりも優れた方法を学んだ。修道院において、人々は、読み書き、計算を学んだ。著述は修道院だけで組織的に行われ、さらに推し進められた。・・・。修道院ではまた、初めてあらゆる文化の最高峰、つまり、様々な美術が発展した。修道院は長い年代にわたって、美術の最高の城郭となり、それに捧げるために、美術だけでなく、おおよそ中世の精神が美術をかりて作り出したもののうちで、一番偉大な美術、一番逞しい美術が作られた」。
 
フックスは、以上のものの生まれた原因は、全て修道院の生活の中に全部そろっていたことになるとだけ言って、その原因について説明はしていません。また彼は修道院が大切な技術的進歩の発生地であったことの説明としては、人間が修道院において初めて、歴史に於けるあらゆる技術の完成の自然な源とも言える労働の集約が出来るかの納得のいく説明はしていません。
また、修道生活の目的は完徳であって、そのために福音的3つの勧告を守り、世間から内的に解放され、これによって強化された力と同志との結合によって、修道士各人が各自の役割を、神の御旨として完全に果たすように努力したので、修道生活の一番重要な土台は、独身制度であるとし、修道士と修道女の独身生活は強制的な経済状態の結果と見ています。
また「修道院は、その有力な起源は貧しい人の団結で、貧しい人は個々ばらばらの場合より、一緒になってもっと暮らしを良くしょうとして、団結したものであった。この組織維持のためには、結婚生活を禁止するということだけが残された道だった」とも説明していますが、これは本末転倒の理論であると私は思っています。
この理論では、修道院は経済的組織として生まれ、その組織維持のために、必然的に独身生活を送らざるを得なかったということになるからです。経済的理由のみで団結した人間の共同生活で、修道院のように幾世紀にわたって続いているものが歴史上にあるだろうかと考えれば、当然のこととして、それ以外の精神的・信仰的理由がなければ成り立ちません。
 
 
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
ブログ内検索
カウンター
★ごあんない★
毎月第一日更新
お便り・ご感想はこちらへ
お便り・ご感想くださる方は下記のメールフォームか住所へお願いいたします。お便りは「つのぶえジャーナル」の管理人のみ閲覧になっています。*印は必須です。入力ください。
〒465-0065 名古屋市名東区梅森坂4-101-22-207
緑を大切に!
お気持ち一つで!
守ろう自然、育てよう支援の輪を!
書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

      d6b7b262.jpg
教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
217ff6fb.jpg 








「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

b997b4d0.jpg
 









「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
 a0528a6b.jpg









「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
4008bd9e.jpg
われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

0eb70a0b.jpg








さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

Copyright © [   つのぶえジャーナル ] All rights reserved.
Special Template : シンプルなブログテンプレートなら - Design up blog
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]