2017年12 月号 №125 通巻811 号
   小閑記
       
 「教会の平和」
    (ローマ16:17~24)
 
 パウロが、このように教会の分裂、躓きを警戒し、そのようなことの起こらないように言っているのは、彼の経験からであろう。それは、彼が、教会とは、かくあってはならない、と言うような、いわば、教理上の議論から言っているのではないと思います。実際に教会の仕事をした彼がそういう状態の悲しさや寂しさを、身をもって知っていたからではないかと思います。
 キリストの体が裂かれるというような、もっともらしい考え方ではなくて、そうした混乱のただ中にあって知った不幸、憂い、悩みからであったろうと思います。キリストの教会を作ることが伝道であると考えていた彼は、このことについては、特に用心深くならざるを得ない程に、多くの残念な経験を持っていたであろうと思います。
 教会に、分裂や躓きが起こってくるのは、それなりの原因がありました。それは福音に背くことであります。しかし、福音に背くと言えば、それは、ただ教理上の争いのように聞こえるかも知れません。自分の信じていることと、違った考えの人がいて、そのために、混乱が起こるのであると思われるかもしれないのです。しかし、そういう考えの上の違いと言うようなことだけでは、教会の平和が乱れると言うことはないのです。そうではなくて、主に仕えないで、自分の腹に仕える者がいる時、平和は乱れるのであります。そこには、言葉や考えよりははるかに深い問題があるのです。
 
 00489843.jpg福音に背くというのは、どういうことを言うのでしょうか。それは、神の恵みによって救われようとしない、という事であります。神の恵みがいらないと言うのは、自分の力を頼りにして生きようとすることです。それは、神の力よりは、自分の力の方が頼みがいがあるというだけでなく、神よりも自分の方が大事であるとすることなのです。
 そのことを聖書は、こういう人は、自分の腹を神とする者であるというのです。ただ、自分の腹を神とすると言えば、いかにも妙な言い方のように聞こえますが、福音に背くことが、本当はそういうことを言うのであることが分かると、事の重大さに驚かされるのであります。
 パウロは、ピリピ人への手紙の中で、十字架に敵対して歩んでいる者が少なくないと語った後に、この人々にとっては、神は自分の腹のことであるし、自分の恥をかえって名誉のように思っているのである(3:8~19)と言っています。
 だから、神による救いなどと言っても、神のことなどは考えないで、地上のことしか思わないのである、と言うのです。それでは信仰生活にはならないのです。それどころか、これでは、信仰とは全く反対なことが出て来るのであります。それは、教えに背くと言うことだけではなくて、どうしても、分裂や躓きを引き起こすことに成らざるを得ないのです。なぜなら、神を崇めることと自分を崇めることですから、事柄は全く反対になってしまうのです。
 ですからパウロは、このことを語る時に、涙を流して語る、とさえ言っています。それ程に情けない、残念なことだからです。全く、その反対のことになってしまっているからなのです。
 
 こんなに明らかなことならば、そういうことに引き込まれることはないと思うのです。しかし、これが人間にとっては、一番大きな誘惑になるのです。表面では、神の正義だとか、神の愛だとか言っていても、実際には、自分の腹、自分の利益や名誉のことを考えているから、心ひかれることになるのです。
 社会のためとか、隣人のためとか言えば、いかにも立派なことに聞こえます。したがって、誰にとっても、甘い言葉と響きましょうし、美しい言葉のように聞こえてくるのです。しかし、実際は、神のことは考えず、人間のことしか思っていないということになります。悩みを持っている人に、悩みをなくしてあげると言えば、純朴な人々の心を欺くことが出来るでしょう。しかし、その時に、その人にとって最も重要なことは、主イエス・キリストの十字架によって罪を赦される、救われることであることを忘れてしまえば、その救いは、真の救いになりません。困難にある人を放っておいていいということではありません。しかし、その人にも福音が与えられなければ、その人は救われないのです。
 それなのに、その方は、ほとんど言わないばかりか、むしろ、救いは人間の体や生活の問題の方が先だと考えるのです。その方が、人の耳に入り易いのです。しかし、そういう考えこそ、教会の中に分裂と躓きを起こすことになることを、しっかりと知っておかねばならないのであります。
 (竹森満佐一著「ローマ書講解説教集」新教出版) 
 
 
                上河原立雄撰 
 
これらの文章の転載は許可を得ております。    
 
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