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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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   小閑記
       
 「教会の平和」
    (ローマ16:17~24)
 
 パウロが、このように教会の分裂、躓きを警戒し、そのようなことの起こらないように言っているのは、彼の経験からであろう。それは、彼が、教会とは、かくあってはならない、と言うような、いわば、教理上の議論から言っているのではないと思います。実際に教会の仕事をした彼がそういう状態の悲しさや寂しさを、身をもって知っていたからではないかと思います。
 キリストの体が裂かれるというような、もっともらしい考え方ではなくて、そうした混乱のただ中にあって知った不幸、憂い、悩みからであったろうと思います。キリストの教会を作ることが伝道であると考えていた彼は、このことについては、特に用心深くならざるを得ない程に、多くの残念な経験を持っていたであろうと思います。
 教会に、分裂や躓きが起こってくるのは、それなりの原因がありました。それは福音に背くことであります。しかし、福音に背くと言えば、それは、ただ教理上の争いのように聞こえるかも知れません。自分の信じていることと、違った考えの人がいて、そのために、混乱が起こるのであると思われるかもしれないのです。しかし、そういう考えの上の違いと言うようなことだけでは、教会の平和が乱れると言うことはないのです。そうではなくて、主に仕えないで、自分の腹に仕える者がいる時、平和は乱れるのであります。そこには、言葉や考えよりははるかに深い問題があるのです。
 
 00489843.jpg福音に背くというのは、どういうことを言うのでしょうか。それは、神の恵みによって救われようとしない、という事であります。神の恵みがいらないと言うのは、自分の力を頼りにして生きようとすることです。それは、神の力よりは、自分の力の方が頼みがいがあるというだけでなく、神よりも自分の方が大事であるとすることなのです。
 そのことを聖書は、こういう人は、自分の腹を神とする者であるというのです。ただ、自分の腹を神とすると言えば、いかにも妙な言い方のように聞こえますが、福音に背くことが、本当はそういうことを言うのであることが分かると、事の重大さに驚かされるのであります。
 パウロは、ピリピ人への手紙の中で、十字架に敵対して歩んでいる者が少なくないと語った後に、この人々にとっては、神は自分の腹のことであるし、自分の恥をかえって名誉のように思っているのである(3:8~19)と言っています。
 だから、神による救いなどと言っても、神のことなどは考えないで、地上のことしか思わないのである、と言うのです。それでは信仰生活にはならないのです。それどころか、これでは、信仰とは全く反対なことが出て来るのであります。それは、教えに背くと言うことだけではなくて、どうしても、分裂や躓きを引き起こすことに成らざるを得ないのです。なぜなら、神を崇めることと自分を崇めることですから、事柄は全く反対になってしまうのです。
 ですからパウロは、このことを語る時に、涙を流して語る、とさえ言っています。それ程に情けない、残念なことだからです。全く、その反対のことになってしまっているからなのです。
 
 こんなに明らかなことならば、そういうことに引き込まれることはないと思うのです。しかし、これが人間にとっては、一番大きな誘惑になるのです。表面では、神の正義だとか、神の愛だとか言っていても、実際には、自分の腹、自分の利益や名誉のことを考えているから、心ひかれることになるのです。
 社会のためとか、隣人のためとか言えば、いかにも立派なことに聞こえます。したがって、誰にとっても、甘い言葉と響きましょうし、美しい言葉のように聞こえてくるのです。しかし、実際は、神のことは考えず、人間のことしか思っていないということになります。悩みを持っている人に、悩みをなくしてあげると言えば、純朴な人々の心を欺くことが出来るでしょう。しかし、その時に、その人にとって最も重要なことは、主イエス・キリストの十字架によって罪を赦される、救われることであることを忘れてしまえば、その救いは、真の救いになりません。困難にある人を放っておいていいということではありません。しかし、その人にも福音が与えられなければ、その人は救われないのです。
 それなのに、その方は、ほとんど言わないばかりか、むしろ、救いは人間の体や生活の問題の方が先だと考えるのです。その方が、人の耳に入り易いのです。しかし、そういう考えこそ、教会の中に分裂と躓きを起こすことになることを、しっかりと知っておかねばならないのであります。
 (竹森満佐一著「ローマ書講解説教集」新教出版) 
 
 
                上河原立雄撰 
 
これらの文章の転載は許可を得ております。    
 
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書籍紹介
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エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

      d6b7b262.jpg
教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
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「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
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エドウイン・H・パーマー著
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「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
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鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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