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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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0037b56b.jpg…キリスト教…
    社会福祉活動のあゆみ(3)
 
 社会福祉の基本的な考え方の重要性
 
 不似合いな言葉ですが、社会福祉の根底に「雅」を求めてみました。日本の未来の社会福祉の中に、この「雅」は大切だと思っています。
 さて、1つの行動・活動にはいろいろの理由、思想があります。社会福祉の実践の動機についても同様で、それを考えてみたいと思います。特にキリスト教の社会福祉実践の動機は、どこにあるのでしょうか。また、社会問題の性質が異なれば、問題解決の方法も異なるのは当然です。この相違は問題処理に当たる動機、福祉実践の動機になるといえます。この動機を形成する思想や時代精神、また個人の価値観等を、難しく言えば『社会福祉の基本的理念』と言うこともできます。
 日本の社会福祉に関する報告に、以下のような指摘がありましたので参考として紹介いたします。
 「19世紀の後半、近代国家としての日本の出現と共に、社会保障の面を包含して数多くの西洋の制度が、急激に取り入れられたのである。特に社会保障の面についての受け入れの事実は、外国の法文をただ翻訳して出来上がっただけのこの国の法律に、きわめて良く反映している。しかもその法律は基本的理念の理解なしに、いきなり採用されたものなのである」(1948年・アメリカ・社会保険制度への勧告)。
 また、次のような発表もありました。「日本の社会事業を明治以来ずっと考えますと、皇室は仁慈の御精神で社会事業の御奨励に一貫しておられる。それから民間の社会事業家は人道主義に基づいて、いわゆる、志士仁人に堕していた傾向が多い。何かそういうことをしなければ社会が治まらない、という目的主義というか、こういう考えから来ております」。
 
 このように、日本政府の社会事業実践の基本は、明治以来、功利主義、今日の経済第一主義であったように思えます。明治政府としては貧しさの救済よりも貧しさを防ぐことを先決問題と考え、そのために、生活維持も出来ない人々に、貯蓄を奨励したりしていたのです。これは、今日でも日本人の節約感覚以上に生活防衛行動として生きております。
 貧しい人々の救済の国家責任とか、救済を受ける人々の権利とかは、第二次世界大戦以降のことになりました。日本国憲法第25条に「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とありますが、この精神が、日本人一般の人々の意識の中に生かされていくためには長い時間と啓蒙が求められます。
 
 新約聖書のガラテヤ人への手紙の中に「けれども、人は律法の実行ではなく、ただイエス・キリストへの信仰によって義とされると知って、わたしたちもキリストへの信仰によって義としていただくためでした。なぜなら、律法の実行によっては、だれ一人として義とされないからです。…」(2:16~17)とありますが、ある学者は、その著書「社会福祉と社会変化」の中で次のように述べています。
 「ソーシャル・ワーカーは、人間に対する確固たる尊敬の念を持つべきこと、しかもそれは、相手が単に尊敬に値するからではない。社会事業の対象者の多くは尊敬に値するとばかりいえない場合、彼らが人間であるという、まさにそのことの故に、尊敬しなければならないということである。ソーシャル・ワークの精神の基本は、最終的にはこのこと、すなわち人間の尊厳と価値を認めることに尽きるのである。次にそれは、倫理観による。人は神の創造による人間であるという宗教的認識・信念によるものであるということに基礎を置くものである。ソーシャル・ワークの精神はユダヤーキリスト教徒の精神的土壌に深く根差している」。
 この様に、各人の価値観からこの仕事に従事していると思う時、健全な正しい理解は当然必要であり、持つべきであります。また、社会福祉従事者には、一人一人の動機があると思いますが、その人の考え方(思想・宗教)に深い係わりが出てきます。例えば、仏教について言えば、慈悲であり、キリスト教にあっては、隣人愛といえるでしょう。その意味するところは異なっているとしても、それらは実践によって示されなければ口先、言葉だけになるでしょう。
 この実践は、宗教を信じている人には義務ではないのです。体制や制度や法律からではなく、見捨てられて誰からも顧みられない子供たちがそこにいるから児童養護施設を建て、保護を必要とする老人がいるから老人ホーム施設を建て、病気の人がいるから病院を建てるのです。その意味で、社会福祉の歴史は、宗教に基ずく動機は最も大きいと言えます。
 キリストに従う者にとっては、愛の行為は喜びと感謝の証として守り実践されなければならいことであり、その愛の勧めはその歴史の中で変わらないものです。しかし、実践の方法、また手段は時代によって、国の経済力、意識・教育によって同じでないことは当然と言えます。
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書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

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教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
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「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

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「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
4008bd9e.jpg
われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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