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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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s-200907201317000.jpg…キリスト教…
 社会福祉活動のあゆみ(25)
 
 プロテスタントの貧しい人々への救済のあゆみ(3)
 「宗教改革とルター」(2)
 
ルターは人が義とされるのは、「信仰のみによる」として、教皇の首位権も認めず、ただ聖書のみを権威として認めるという立場でした。ところが、カトリック教会は、「わたしも言っておく。あなたはペトロ。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる。陰府の力もこれに対抗できない。わたしはあなたに天の国の鍵を授ける。あなたが地上でつなぐことは、天上でもつながれる。あなたが地上で解くことは、天上でも解かれる」(マタイ16・18~19)というキリストのペトロに対するこの首位権の約束や、使徒言行録で見られるパウロもペトロの決定を最重要視したことなどに、ペトロの首位性の根拠を見出し、その後継者としてローマ教皇に首位権を認めるのでした。
 聖書の解釈にあっても、トレント公会議の第4会議(1546年)で、救いの真理と道徳の源泉は聖書だけでなく、聖伝の中にも含まれること、信仰は全ての義認の基礎であることが、その義認には神の恩恵だけではなく、これに協力する人間の自由意志が必要であることを明確にしています。
 しかし、これも公会議の宣言を承認しない人には、何の権威もないことです。
 聖書は聖霊によって神の言葉を書き記した書物であって、神の言葉は不変であり、絶対なものであるということを承認しています。また、教会の教えは、トレント公会議でも宣言されている通り、聖伝に基づいて説くとされています。聖伝とは聖霊の助けのもとに、言い伝えと種々の制度によって使徒たちから教会の内に伝えられた神の啓示であるとされています。
 プロテスタントは聖書のみの権威を絶対視して、信仰と生活の基準は全て聖書に基づくとしています。それならば、この聖書の正しい解釈はだれがするのか、となりました。聖書の絶対の権威を認めると言っても、万人がこれを正しく、或いは同じように理解し、解釈するとはかぎらないのではないか。もし、聖書の理解や解釈に異論が出て、論争するような場合に、一体、誰がそれを裁定するのだろうか。しかし、それは聖書の解釈は聖書によってなされること。各教派、教会が告白する信仰基準・教理問答によってなされているのです。
 ルターは、修道院制度を撤廃し、修道院の施与に頼る怠惰な物乞い的生き方を恥辱であると断定しています。「中世には施与は受ける側への効果の如何を問わず、施与者の救いに役立つ善き業と考えられていた。ルターは、善き業によって自分を救うという考えを一掃し、それによって慈善の動機の大部分を取り除いてしまった。したがって、自分の魂の救いではなく、隣人への支援ということだけが弁護可能な理由として残された。そのため慈善は無差別であってはならない。社会的な影響を考慮に入れることの出来ない個人よりは、市町村や教会のような公共体によって管理された方が良い」(ベイトン著・宗教改革史)としていました。
 ルターのこうした精神に影響されたと考えられるのですが、ルーテル教会が国教の地位を占めているノルウェー、スウェーデン、デンマークのスカンジナビア3国は、現在、高福祉の社会保障制度が世界で最も進んだ国になっています。それに反して、カトリック教国が、社会保障制度の点で遅れていることは事実です。
 
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書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

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教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
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「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

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「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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