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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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…キリスト教…
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 キリシタンの貧しい人々への救済(5)
 キリシタンの慈善の動機(1)
 
 事を始めるには、いろいろの理由、目的があります。その出来事を後の研究者は考えます。しかし、至極単純な理由の中に目的があることのも一理ありとも言えるものがあります。
 
 キリスト教の教えからすれば、キリシタンの慈善は当然といえるものが、もっと直接的な動機であるときもあるようです。それは、キリシタンになるのはお寺にお布施をしなくても済むからだといった悪口に対して、キリシタンの心意気を示すという単純な動機からでもあった、と言うのです。
 そこで、もっとも普通に行われたのに、近親者の追善供養がありました。追善供養は古くから仏教的風習として行われてきたのですが、これは、お寺や仏僧へのお布施であったのに対して、キリシタンは貧しい人々への施与としたのです。追善供養だけでなく、この施与はキリスト教暦の重要な祝日や四旬節などにもされるようになり、キリシタン独特の慣習となっている(海老沢有道著「キリシタンの社会活動及び南蛮医学」)。
 キリシタンの慈善は方便で、貧しい人々に施してキリシタンにし、最終的には民衆を引き付けて国を奪おうとするのだといった反キリシタン宣伝も当時からありました。利を求めない無償の行為を理解できない人間は、これまた何時の時代でもいるものです。
 それには、反証を挙げることができます。イエズス会の伝道方針は主として上から下であったことを考え合わせると、病人や貧しい人々を教会に集めることは施与の妨げともなったのです。その伝道方針は現代の考え方から見て適切であったか否かは別として、当時、ヨーロッパにおいても、「支配者の宗教、その地に行われる」(1555年、アウグスブルグの和議)のが原則であったことを、プロテスタント教会も記憶していなければならないと思います。
また、後に述べる府内病院においては、患者の治療中に受洗させず、健康回復後、引き続き教理の勉強を終えて後、はじめて洗礼を授けキリシタンとしていることから見て、患者や貧しい人々に対する深い配慮を学ぶ時、救済を受ける方便としてキリシタンになることを極力避けていることが分かります。
ザビエルによってキリスト教布教の根拠地となった山口では、1553年(天文22)信徒たちが自発的に天主堂の門前に喜捨箱を置いて献金を集め、施与をし、また毎月1回貧しい人々に配米するために、米を入れる櫃を設けたと言われています。翌年、山口は悲惨な飢饉の年となり、配米は多くの農民や貧しい人々の命綱となったと記されています。この年、一人のキリシタンが救貧事業のために土地を寄付し、救貧院ともいうべきものの建設のために募金がなされています。山口救貧院の詳細は知られていませんが、信徒の自発的に慈善事業を組織したことは注目されるところです。そうして、山口の大内氏は毛利氏に滅ぼされキリシタンの中心地は以後豊後へ移っていきます。歴史の流れと表裏をなしています。
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書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

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教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
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「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

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「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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