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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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 その愛のゆえに
  =時々の記=
  (20)
 
  小学校教師として
  西日本音楽指導者
     研究会の思い出 (2)9cd5006b.jpg
 
 こんなクラスの子供たちの歌声がSちゃんのお宅(学校のすぐ目の前にある)の、外で仕事をしていたお父さんに聞こえたようです。
早速私のクラスにやって来られて、「先生、うちのSに、この歌をテープに吹き込んでもらえんやろか」。「Sはこの頃眠りにくいらしいもんで」。私は、お父さんのこの言葉に対して、すぐに子供たちの声を吹き込み、持って帰っていただきました。Sちゃんはクラスの子供たちの歌声を聞いて「早く月ヶ瀬小学校のみんなと一緒に勉強したい」と言ってくれたそうです。
 このことを29人の子供たちに伝えると、今まで以上に朝の会、業間、昼休み、帰りの会と1日に4回もハーモニータイムを作って歌いたいと言うのです。私は、Sちゃんと29人の子供たちに励まされて一緒に歌い続けました。
 
 ある時、あんなに地声でしか歌えなかった男の子五人が上手に高いミの音を裏声で美しく響かせて歌っているではありませんか。 「そうよ、その声! その声! もっと長く出し続けて! みんなこの声を聴いてみて! こんな風に声を出せばきれいにハモれるよね」。
 私は自分に言い聞かせるように子供たちが自ら創り出した響きのある歌声に一瞬感動していたのでした。 子供たちは素直に伸び伸びと歌い続けていくので、3ヶ月余りで美しい響きを出し合えるように成長していました。それなのに、堅い心の私は、毎週水曜日、授業を終えてから奈良市まで(車で一時間)の特訓を受けに行くのですが一向に進歩いたしません。大学の先生からは「こんな低い音楽レベルが奈良県かと思われるととても悲しいのです。あなた、しっかり練習してね」と厳しく言われるのでしたが、家では、子供三人と夫、夫の母、男衆(田畑を耕作してくれる人)がお腹をすかせて待っています。
 クタクタに疲れて帰ってきては、手抜きの夕ご飯を作って事を済ませざるを得ない日が半年は続きました。
 
  ついに10月23日がやって来ました。  私は緊張してガチガチになっておりましたが、ピアノ伴奏をしてくれるNちゃんも、Hちゃんも落ち着いておりました。
 多くの西日本の指導者の方々の前で、また、文部省次官の大和(やまと)淳二先生の前で二部合唱の授業の始まりです。「まき場の仔牛」「白い雲」「おどろう楽しいポーレチケ」「もみじ」「さよなら友よ」の5曲を教室一杯に響かせてくれました。Sちゃんのお父さんも後ろで聞いてくれていました。
 授業が終わった後、まだ文部省の方がおられる前で、Sちゃんのお父さんが「うちの子も一緒に歌わせてやりたかった」と言われた時、私は、人目もかまわず泣いてしまいました。お父さん、お母さんの思いがこの時ほど、痛いほど伝わったことはありませんでした。
 
 多くの指導者の方々の前で大和淳二先生が講評として「4年生のクラスの二部合唱の歌声に心打たれました。天使の歌声と言って良いでしょう。子供たちの素直な気持が歌声を一層澄んだ響きにさせていました。ご指導ご苦労様でした」と私をねぎらってくださいました。私は、大和先生に認めていただき心から嬉しく思いました。4年生の29人の皆、本当によく頑張ってくれました。私は、あなた方から、友だちを思いやる優しい心を教えられました。あなた達と一緒に築き上げたこの美しいハーモニーをいつまでもいつまでも忘れないでしょう。心からお礼を言います。Sちゃんは、その後一進一退を繰り返しながら、学校に登校できるようになりました。そして今では、一人の子供さんのお母さんとなり、月ヶ瀬で見かけると元気に挨拶してくれるのです。a25d5b00.jpg Sちゃん、本当に幸せそうですね!

写真説明:大和淳二先生に招待された時、先輩教師とガリガリに痩せてしまった私=奈良市内のホテルにて  : 金管バンドの演奏を終えた子供たち

                馬場暁美 (上野緑ヶ丘教会員)
 
 
 
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書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

      d6b7b262.jpg
教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
217ff6fb.jpg 








「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

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「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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