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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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…キリスト教…
 社会福祉活動のあゆみ(39)
 
 明治維新後のカトリックと社会福祉(3)
 
 明治初期のカトリックの児童保護事業(3)s-IMG_3625.jpg
 
  1874年、九州北部は、大暴風雨の被害を受けました。そのさなか、恐るべき赤痢が流行します。医師のいない浦上に救護の手を差し伸べたのが、ド・ロ神父であり、篤志看護婦として立ち上がったのが、当時26歳の岩永マキ、守山ワイ、深堀ワサの浦上の乙女ら4名でした。青年たちも協力しました。ド・ロ神父は、「男女二名ずつを一組とし、患者の家への案内、新患の発見と隔離と予防措置、消毒などに働かせた」と言います。
 岩永マキら乙女4名は、高木仙右衛門の納屋を借りて合宿して救援活動を続けました。この4名の共同生活にド・ロ神父は起床、祈り、活動、就床という規則を与え、修道生活に準ずるようなものになっていたのです。赤痢が終息すると尾島に天然痘が流行、この救援にド・ロ神父や岩永マキらも行くことになります。
 天然痘もどうにか終息、浦上に戻るマキは、一人の女児を抱いていました。天然痘で両親を失ったのでした。孤児養育と言う新しい使命を課せられ、仙右衛門の納屋は孤児院となりました。
 
 1877年、プワリエ神父は、マキらの女子共同体に修道会としての組織を与え、準修道会「浦上十字会」としました。俗に「女部屋」と呼ばれた女子修道会の誕生です。各地より、乙女たちが浦上十字会へ修練に行き、自分たちの土地に戻って「女部屋」を結成して、孤児救済事業や授産事業、その他、それぞれの土地の必要とされる奉仕活動を行っています。五島の奥浦慈恵院、鯉の浦養育院などが、彼女によって設立されています。
浦上十字会は、1956年に志しを同じくする長崎県下の女子共同体(準修道会)と合同して、「聖卑姉妹会」となりました。さらに、1975年に教会法による正式の女子修道会となり、「お告げのマリア修道会」となり、今日に至っています。
 
横浜のサン・モール会は、1874年、前に述べた孤児院の近くに、外国子女教育サン・モール学校を設立、孤児院も「慈善教育菫女学院」定員40名としています。サン・モール女学院に寄宿舎を設置し、寄宿生の舎費で貧しい子供たちの養育を可能にしようとしています。修道女たちの献身的な働きによって、近隣の誤解も解け、収容児童も増加して行きました。
1876年、そこで建物を新築し、1897年には、収容児童482名との記録があります。1902年には、校舎もさらに完成して、小学校令による認可学校となっています。この学校は、孤児を先ず養女として入籍し、学齢以下の者は里子に出し、学齢に達して寄宿舎に入れて、普通教育より技芸一般を教え、18歳を越えると多くは良縁を求めて嫁がせています。いったん校外に出しても、常に職員を送って指導や相談に応じています。
更に、市外大岡川村に土地を購入して宿舎を建て、夏期には児童を交替で転住させ、田園生活をさせています。同校は1923年(大正12)の関東大震災によって全ての施設を失い、職員や児童も失ったのですが、東京府下、下高井戸へ移転し再建しました。
このように、明治のはじめに設立された児童保護施設として菫女学院と浦上養護院を紹介しましたが、明治30年頃までに、既にカトリックの児童施設が日本の各地に作られていました(日本基督教社会事業史)。
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書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

      d6b7b262.jpg
教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
217ff6fb.jpg 








「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

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「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
4008bd9e.jpg
われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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