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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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『旧・新約婦人物語』(24)
   カナンの女性
      (マタイ15:21~28)
 
 主イエス・キリストは、この地上で伝道なさいました約3ヵ年の間、ご自身の国であるパレスチナを去られたことはめったにありませんでした。しかし、マタイ福音書15章21節以下に記されています、ツロとシドン地方での出来事は、その例外の一つで、それを中心に学びたいと思います。
 
 この21節以下を見ますと、イエス様が、ツロとシドンの地方に行かれたとあり、また、マルコ福音書7章24節では、「そして、だれにも知れないように、家の中にはいられたが、隠れていることができなかった」とあります。
 イエス様はしばらく群衆からはなれて、静に祈られるために、ガリラヤのずっと北西地方へ行かれましたが、そのあたりまでもキリストの奇跡的な能力のうわさがすでに広まっていたようです。キリストがその地方にお姿を現わされるとすぐに、その地方のカナンの女が来まして、「主よ、ダビデの子よ、わたしをあわれんで下さい。娘が悪霊にとりつかれて苦しんでいます」と叫び続けました。もちろんこの地方の人々は皆異邦人で、ユダヤ人とは交際しないし、またユダヤ人の方からも非常に冷たい目で見ていたのであります。
 それなのに、この女がイエス様を「ダビデの子よ」と呼んだのは、不思議に思われます。この言い方はイエス様をメシヤ、王と認めている証拠だからです。彼女はイエス様が、王の権威をもっておられたのみか、また王としての深い慈愛をもっておられることを、心から信じていたようであります。この女の住んでいた地方の宗教は非常に堕落した偶像教であったにもかかわらず、この女性がイエス様を主と呼んだのは、実に感銘深いものがあります。
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 ところで常に病人をよろこんでおいやしになったイエス様が、珍しく今度は、このカナンの女に対して一言もお答になりませんでした。その女性は一生懸命です。イエス様の後を追って叫び続けるので、弟子たちもうるさくなったのでしょう。イエス様のもとに来て、「この女を追い払ってください。叫びながらついて来ますから」とお願いしました。するとイエス様は答えて、「わたしは、イスラエルの家の失われた羊以外の者には、つかわされていない」と言われました。
 この言葉の意味は、イエス様がこの世に御くだりになった本当の目的は、先ずユダヤ人を救うためであったということでしょう。しかし、そう言っても他の人はどうでもよろしいとことではなくて、異邦人を救う責任は弟子たちにお任せになったのです。マタイ福音書28章19節をご覧ください。「それゆえにあなたがたに命じていたいっさいのことを守るように教えよ」とあります。
 イエス様は あわれなこのカナンの女性に対して、なぜあれ程のきついお言葉をお使いになったのでしょうか。有名な学者のマシュー・ヘンリーが言いますのに、「それは、この女性の信仰を試し、またそれを強めるためであった」と。イエス様が彼女の切なる願いに何もお答にならなかったのに、彼女は失望せずに叫び続け、またきついお言葉で彼女の願いをお断りになった時でも、彼女が叫び続けた彼女の熱心さ、何ごとにもくず折れないで頑張る信仰心は、実に美しいものであります。
 
 わたしたちはこのような忍耐をもって、神様に祈り求めているでしょうか。世の多くの人々は、祈っていることが聞かれない場合、すぐに失望して、神様はだめだと不信仰に陥るのではないでしょうか。ではこのカナンの女性は、かくもきびしく断られた時、どうしたでしょうか。彼女は決してだめだなどと弱音をはかず、イエス様に近寄って、「主よ、わたしをお助け下さい」と拝して申しました。助ける能力がイエス様にはあります。皆様方はこのお方を信じていらっしゃいますか。
 問題は、キリストにその能力があるか否かではなく、あなたがイエス様に近付いてその能力を求めているか否かにあるのです。しかし、カナンの女性は大きな忍耐をもって心からイエス様に助けを願ったのです。今度は直ぐに、それが聞かれたでしょうか。いいえ、そうではありません。イエス様は「子供たちのパンを取って小犬に投げてやるのはよろしくない」と言われました。これは本当に無慈悲なお言葉のようであります。その意味は難しくないと思います。
 イエス様がここで言われますのは、先に選ばれたユダヤ人に対する特別なお恵みを、他の人々に分け与えてはよくないということを、たとえとして言われたのです。そこでカナンの女性は賢明にも同じたとえで答えました。「お言葉どおりです。でも小犬もその主人の食卓から落ちるパンくずは、いただきます」と。
 イエス様は彼女の謙遜と信仰に驚いて、「女よ、あなたの信仰は見上げたものである。あなたの願いどおりになるように」と、お答えになりました。その時、彼女の娘はいやされたとあります。わたしたちお互いも神様の大きな恵みと、罪の赦しをいただくためには、本当にふさわしくない者ではありますが、もし、このカナンの女性のように熱心をもって求めれば、それを必ず頂くことが出来ます。
 聖書を通して、祈りを通して、神の食卓にあるいのちのパンを毎日頂きましょう。
 
  ポーリン・マカルピン著
(つのぶえ社出版)この文章の掲載は「つのぶえ社」の許可を得ております。
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書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

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教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
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「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

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「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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