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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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   小閑記
        
  パウロの愛の手紙
 
 パウロは、このピリピ人への手紙の3章7~8節において3重の表現を用いて価値観の転換の要因を語っています。回心前の価値観、次に転換の要因、そして転換した価値観を告白しています。
 「しかし、私にとって得であったこのようなものをみな、私はキリストのゆえに、損と思うようになりました」。
 
 「それどころか、私の主であるキリスト・イエスを知っていることのすばらしさのゆえに、いっさいのことを損と思っています」。
 「私はキリストのためにすべてのものを捨て、それらをちりあくたと思っています」。afbe8cac.jpg
 
以上の箇所から、幾つかのことに目を留めてみましょう。1つは、第一人称代名詞です。4回用いられています。パウロは「私」という1個人を中心として価値判断を行ってきたが、「私の主」と言う言葉に見られるような、私とキリストとの間の愛に満ち溢れ、親密で個人的な交わりによって、「私」は価値観の大変革を行って、新しい価値観を持つようになったと告白しているのです。
次に「得」と言う言葉に目を留めましょう。パウロは回心前に価値を置いていた7つの特権を含む、自分が信頼していた人間的なものを全て「得」であったと言っています。しかも、この「得」は複数形です。自分にとって人間的なものは一つ一つ「得」であったという思いを含ませています。
さらに目を留めるべき言葉は、「損」と「ちりあくた」は、何と単数形です。パウロは、一つ一つの「得」は十把一絡げにして「損失」と価値判断を下せるのだ、と言う意味を含ませているのです。その上、もともと「得」であったものを、「ちりあくた」とみなしています。この「ちりあくた」と言う言葉は「損」を強調する表現で、排泄物、食卓の残り物、屑などの言葉です。
そして、さらに注目すべきことは、価値転換を示す言い回しです。「思うようになりました」(現在完了形の受動態)は、価値の転換が過去のある特定の時、つまり、回心の時に始まり、それが現在も続いていることを意味しています。「思っています」(2回とも現在形・能動態)は、回心以後転換した価値観が変わっていないことを表しています。「すべてのものを捨て」(不定過去形の受動態)は、回心時-過去に於ける一定の時-行われた価値の転換を表しています。
では、一体全体何がパウロにこのような価値観の大変革-価値革命-を行わせたのでしょうか。パウロに価値観の大変革をもたらした要因は、3つの違った表現で述べられていますが、その内容は同じです。
1つが「キリストのゆえに」、次は「キリスト・イエスを知っていることのすばらしさのゆえに」で、7節の思想をふまえています。もう1つは、「キリストのために」です。
すなわち、パウロの価値観の大変革の要因は、キリストご自身なのです。主イエス・キリストとの生きた、親しい人格的な交わりによってキリストを知ったことが、価値観の大変革の要因だったのです。
 
    樋口信平著(「ピリピ人への手紙講解説教」・いのちのことば社)
       
 
この文章の転載は許可を得ております。    上河原立雄撰
 
 
 
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書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

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教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
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「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

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「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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