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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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『旧・新約婦人物語』(37)

 ヤラベアムの妻
    =列王紀上 14:1~17=

 これから学ぶ婦人は、イスラエル王ヤラベアムの妻と聖書に記されている人物です。彼女が王の命令によって、コロにいる預言者アヒヤを訪ねた物語です。聖書にはこの婦人の記事はここ一箇所だけしか出ておりません。
 このお話しがよくお分かりいただくために、少しさかのぼって、ヤラベアム王のことから始めましょう。彼の名前が聖書に出てくるのは、11章26節からです。彼はソロモン王の家臣で、知恵に富み、能力のある青年でした。王はヤラベアムをたてて、ヨセフの家を司る重い責任ある地位を与えていたのです。さすがに全盛を極めたソロモン王朝も末期となって、王は異教の女を王宮に入れ、これを愛したために、だんだんと偶像崇拝に陥り、神を離れ、ついに神からも見捨てられるようになりました。
 そこで、神はヤラベアムを選んで王とするために、預言者アヒヤを通じて、主のみむねをお伝えになりました(11:34~38)。ソロモンは父ダビデが神の命令と掟を守ったために、特にソロモンの一生涯は王とされます。しかし、彼の手から国を取って、十の部族をソロモンの家来のヤラベアムに与えるとの預言でした。この預言の通りに、ソロモン王の死後、国は二つに分裂し、十の部族がヤラベアムに、二つの部族がユダ王国としてソロモンの子レハベアムに残されました。
 しかし、残念なことに、せっかく神に選ばれて王となったヤラベアムは、神のみ心に背いて偶像に走り、金の子牛の像を二つ作って一つを国の南に立て、国中の人々及び旅人にこれを拝むように強制したのです。これは神に対する大罪で、偶像崇拝を自らの国民にまで強制したことになり、聖書はこれを「ヤラベアムの罪」と何度も繰り返しています。
 ヤラベアムは神から、「もし、あなたが、わたしの命じるすべての事を聞いて、わたしの道に歩み、わたしの目にかなう事を行い、わたしのしもべダビデがしたように、わたしの定めと戒めとを守るならば、わたしはあなたと共にいて、わたしがダビデのために建てたように、あなたのために堅固な家を建てて、イスラエルをあなたに与えよう」(11:38)と、いとも懇ろな戒めとお約束を受けながら、どうしてこのような罪を犯すようになったのでしょうか。
 それは、民らがユダの国のエルサレムの宮に参るのを防ぐ政治的手段であったのです。神の力に頼りきれない、政治家の弱さでもあります。13章を見ますと、神は今一人の預言者を送って、今一度彼に注意を促し、もし偶像崇拝の悪い道を離れず、偶像崇拝を止めない時は、神はヤラベアムとその家族を滅ぼすであろうと警告されました。しかし、彼はついに従いませんでした。
 神の預言は実現し始め、ヤラベアムの子アビヤが重い病に苦しみはじめました。王ヤラベアムも愛する子供が病気で苦しむ様子を見ては、世の人々と同じで、諺にあるとおり「困った時の神頼み」と、まことの神の救い求めるようになりました。彼はかつて預言を伝えに来たアヒヤを思い起こしたのです。彼は妻を呼んで、「王妃であるのを知られないように変装し、十個のパンと菓子をみやげにして預言者アヒヤを訪ねさせ、子供が癒されるか、どうかを尋ねるように命じました。
 これは、神の預言者に対して取るべき態度ではありません。彼女はこのことが悪いことと知りつつ断りもせず命じられるまま、姿を変えて出かけました。ここに彼女の弱さがあります。
 神はアヒヤにこの婦人が誰であるか、お知らせになりました。彼女の足音が戸の外に聞こえますと、預言者は、「ヤラベアムの妻よ、はいりなさい。・・・わたしはあなたに厳しい事を告げるよう、命じられています」(14:6)と前置きして、あなたの夫、ヤラベアム王は神より選ばれ、イスラエルの君として、ダビデの家より国を裂いて与えられたのに、神の戒めを守り行いませんでした。だから、あなたが家に帰って敷居をまたぐときに、その子は死にますと、預言いたしました。彼女は驚いて家へ帰ったとき、預言の通りその子供の息は絶えたのです。
 間もなく、ユダの王アビヤがたって、ヤラベアム王朝は僅か22年で滅んでしまいました。歴代誌下13章20節に、「ヤラベアムは、・・・主に撃たれて死んだ」とあります。

 この話か私たちにいろいろな教訓を与えております。
1 偶像崇拝が如何に恐ろしい罪であり、この罪は国も滅ぼすことを教えています。第二次大戦前の偶像崇拝の盛んであった日本の状態、および戦争の結果は、明らかにこのことを証明しております。それにもかかわらず、世の人々はなおこの金の子牛である偶像崇拝を捨てきれないのです。
 クリスチャンでありながら心のうちに神棚、仏壇を忘れられず、死者を拝んだり、神社の祭礼行事に仲間入りしないと、近所との交際が出来ないと恐れるのは、金の子牛に心引かれることです。日本のクリスチャンにこの心がある限り、日本ではキリスト教は伸びず、日本の国は危ういと思います。
 2 虚偽は必ず罰せられます。ヤラベアムの妻が、夫の言いつけとは言いながら、神の人を欺こうとしたことは、大きな罪で罰せられるのは当然です。自分の都合や、勝手なことで、神にすがるというような、思いつき、その場限りのことはいけないことです。人を欺いて心にもない甘い言葉で人の歓心を買い、自分のためにすることは本当に愚かしいことです

ポーリン・マカルピン著
(つのぶえ社出版)この文章の掲載は「つのぶえ社」の許可を得ております。

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書籍紹介
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 社会意思決定

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電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
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発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
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「つのぶえ社出版の本の紹介」
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