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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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『旧・新約婦人物語研究』 (38)

信仰に生きたおばあさん
   ロイス
      =テモテへの第二手紙=

 「また、あなたがいだいている偽りのない信仰を思い起こしている。この信仰は、まずあなたの祖母ロイスとあなたの母ユニケとに宿っていると、わたしは確信している」(Ⅱテモテ1:5)。
 「御言を宣べ伝えなさい。時がよくても悪くても、それに励み、あくまでも寛容な心でよく教えて、責め、戒め、勧めなさい」(4:2)。
 キリスト教信仰のためにローマに送られ、間もなく殉教の死を迎えなければならない大使徒パウロは、死に臨み、愛する若い弟子テモテに手紙を送り、このような言葉をもって、彼の信仰を励まし、彼の大きな使命をもう一度思い起こさせようと、こんこんと説いています。使徒パウロのこの言葉によって、パウロのテモテに対する気持がよくわかるばかりでなく、祖母ロイスや母ユニケに対する彼の考えがよくわかると思います。
 今日の日本と同じように、この地方でも、この頃は三代にわたるクリスチャンの家庭は非常に少なかったのであります。パウロはそのような意味で、テモテの家庭環境をいくぶんうらやましく感じていたかも知れません。なぜかと言えば、パウロはご存知の通り、エルサレムからダマスコへの道すがら、直接、よみがえりの主イエス・キリストにお目にかかったことにより、キリスト教信仰に導かれました。従って、彼は彼自身の父母からキリスト教信仰について、暖かい導きを受けていないのです。けれども、テモテは幸いにも、幼い子供の時から暖かく祖母や母の信仰に導かれて成長したようです。彼は本当に幸福な環境にあったわけであります。
 「また幼い時から、聖書に親しみ、それが、キリスト・イエスに対する信仰によって救いに至る知恵を、あなたに与えうる書物であることを知っている」(3:15)と、パウロが書いている通りです。
 この三代目のクリスチャン・テモテの持っていた偽りなき信仰は、もちろん主なる神様に導かれ、与えられたものでありますが、おばあさんのロイスと、お母さんのユニケから引き継がれたものであることを、ここでパウロが強調していることに注意して下さい。
 先ずここで、非常にわたしたちが教えられますことは、祖母や母たちといった、家族の年長者の方々の信仰が、どんなに早くしかも確実に、子や孫に伝わるかということです。言葉をかえて言えば、祖母や母の信仰が如何に大きな影響を、彼らの子供に及ぼすかという点であります。
 これは良い例ですが、悪い例、悪い影響はこれに反比例して、更に恐ろしいものがあります。一つの例を申しますと、子供たちのつまらない迷信や、間違った偶像崇拝は、実際、どこから彼らが知り、覚えたものでしょうか? それは多くの場合、おばあさんやお母さんたちの迷信からくるもので、最近はやりの「OO祭」と言った、氏神の祭りなどでつくづくそのことを感じさせられています。神輿をかついで騒ぎまわるのは、もちろんおばあさんやお母さんではありませんが、この習慣を生かしているのは、これらの女性たちではないでしょうか。
また、三つか四つの小さい男の子や女の子に厚化粧をさせ、一日中、お宮さんの稚児行列に連れ歩いておられる場面に出会います。疲れ切った子供が、母の胸に頭をもたせ掛け、「かなわんな!」といった姿を、皆様も見かけるでしょう。七五三のお祝いだといって、子供を身分不相応に着飾らせ、神社へ連れて行くのは誰でしょう。お母さんやおばあさんですね。
このような雰囲気と環境の中で育てられてまいります日本の子供たちが、どうして生ける真の神を知ることができましょうか? それに引きかえ、テモテのおばあさんのロイスの信仰は実に立派で、素晴らしいものでありました。このロイスは何時、クリスチャンになったか、はっきりわかりません。しかしある聖書学者は、それはきっとパウロの第一回伝道旅行のとき、小アジアのルステラで、彼が伝道した時ではないかと申します。使徒行伝14章8節以下をお読みになりますと、その時のパウロの伝道と苦難の模様が、詳しく書かれています。
パウロの熱心な説教を聞いた人々の内、ユダヤ教の人たちが大変憤り、群衆を仲間に引き入れて、パウロを石で打つという事件が突発いたしました。石で打たれたパウロが死んでしまったと彼らは思い込み、町の外へ引きずり出して、そこに放り出してしまいました。けれども、パウロは間もなく息を吹き返し、立ち上がってまた町に入って行きました。翌日、パウロはバルナバと一緒に、他の町へ伝道に行きました。
このルステラの町は、ロイスとユニケが住んでいた町ですから、きっと、彼女たちはこの時のひどい迫害と、パウロの苦難を目の当たりに目撃して、パウロの信仰の真剣さに感動させられ、感激したことと思います。彼女らの信仰は、この迫害によってきたえられ、ちょうどアイロンが電気によって熱くなるように、彼女らの信仰は苦難によって熱せられ、あのかたい信仰にまで進んだことと想像いたします。
また、ロイスは、この苦難を通してきたえられ、つちかわれた何ものにもかえがたいキリスト教信仰を、また幼い孫テモテの心に、子供の頃から注ぎ入れられたと存じます。聖書のみ言葉を、ロイスは彼女の生活の土台としたのです。この美しい信仰生活にこそ、テモテのような美しい信仰の実が、結ばれる結果となったのであります。
このような信仰厚く、立派なクリスチャンのおばあさんが、ただ今の日本の国に、どれ程いらっしゃるでしょうか? もし立派な国民を作りたいという皆様がお望みでしたら、おじいさんやおばあさんの教育から始めなければならないと思います。その方々が何よりも先ず、偶像を捨てて、真の神に立ち返るために、主イエス・キリストを信じることです。
日本がキリストの国とされるためには、またそこまで導かれるためには、偽りなき真の信仰を持つおばあさんを、第一に必要といたします。
どうか、日本のすべてのロイスさんたち、間違った迷信や、誤った偶像をすっかり捨てて、真の神様に立ち返って下さい。そして、あなたのご家族の皆さんが一人残らず、主イエス・キリストに導かれますように、心から祈ってやみません。
 
 ポーリン・マカルピン著
(つのぶえ社出版)この文章の掲載は「つのぶえ社」の許可を得ております。尚、本の在庫はありません。
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