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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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1e9a37a2.jpeg『旧・新約婦人物語』(43)

シュネムの女
 =列王紀下4:8~37=

 預言者エリシャのとき、イスラエルのシュネムという町に、一人の裕福な婦人が住んでいたと聖書にあります。古い訳の聖書は大いなる婦人と訳しています。
 ここで学びたいのは、この女がなぜ、偉大であったかということです。
 列王紀下4章8節以下を読みますと、この婦人は大変親切な人であったことが分かります。預言者エリシャは、カルメル山に住んでいましたが、いつも都へのぼる途中、この町を通って、この婦人の家で食事のもてなしを受け、旅の疲れを休めておりました。
 それが、幾年も続いて、エリシャもだんだん年老いて旅をするのも疲れを覚えるようになしました。そこで、この婦人は預言者のために、小さい部屋を石垣の上に建て、そこに寝台、机、椅子、ロウソク立てなどを備え付けて、彼が通るたびに、そこに休ませたいと夫に相談しました。その夫も良い人であったらしく、そのことを承諾して、早速そのような設備をいたしました(10)。エリシャは、もちろんのこの夫婦の親切を大変喜んで、何時もその石垣の上の小さい部屋に住んで旅を続けていました。
 私たちがここで気付くのは、この婦人の立派なことは、彼女が美しかったためではなく、教養があったためでもなく、また裕福であったからでもありません。彼女が旅人に親切であって、しかも信仰があり、エリシャを「神の聖なる人」(9)と信じていたことにあります。彼女は預言者からの願いを待たず自らその労を慰める方法をとりました。

次に彼女は、自分の境遇を知って、自分の現在の状態に満足し、感謝していたことに気付きます。彼女はエリシャから、何らかの報いを得ようとして、彼に親切を尽くしたのではなく、本当の愛の心から出たことでした。
エリシャは何とかして彼女の親切に報いたい気持で一杯でした。そこである日、この部屋に休んでいた時、自分の僕ゲハジを彼女にやって、「あなたはこんなにねんごろにわたしたちのために心を用いられたが、あなたのためには何をしたらよいでしょうか。王または軍勢の長にあなたのことをよろしく頼むことをお望みですか」(13)と、尋ねさせました。彼女は、「わたしは自分の民のうちに住んでいます」といって今の生活に満足し、高い地位も、財産も、自分のためには何一つ求めませんでした。
ここで、私たちは己を空しくして、人のために親切を尽くすことが、いかに尊い業であるかを知ると共に、彼女の心が実に見上げたものであることに襟を正さずにはおられません。エリシャの僕ゲハジは、この女の家庭をよく見まして、彼女には子供がなく、夫は年老いて非常に寂しがっていることをエリシャに話しました。エリシャはそれを聞いて、早速、彼女を呼び、「来年の今ごろ、あなたはひとりの子を抱くでしょう」(16)と言いました。しかし、彼女はそれを信じませんでした。けれども、エリシャの預言の通り、あくる年、子供が与えられました。この夫妻はどんなに喜んだことでしょう。

平和な年が続いて、その子がだんだん大きくなったある日、子供は父と共に刈り入れのために、畑へ行って遊んでいました。急に「頭が頭が」と言って、頭の痛みを父に訴えました。父は驚いて若者に命じ、母の所へ負わせてやりました。子供は半日ほど抱かれていて遂に死んでしまったのです(20)。
そのときの母の気持はどうでしたでしょうか。彼女は急いで子供を石垣の上の預言者の部屋に入れ、寝台に横たえて戸を閉じ、夫の僕一人と、ろば一頭を求め、エリシャのところへ行くと言いました。彼女は馬のあがきも、もどかしいくらい、急いでカルメル山に駆けつけました。
エリシャは、彼女から子供の死を聞いて、僕ゲハジに預言者の杖を与え、急ぎ行って子供の頭にそれを置けと命じたのです。エリシャも切なる母の願いに、彼女と共にシュネムの家に急ぎましたが、途中、僕が帰ってきて、杖を子供の頭の上に置いたが覚めないと言いました。エリシャは急いで家に入り、戸を閉じて主に祈って、子供の上に伏し、子供を暖めました。すると、子供はくしゃみをしてよみがえりました。彼は母を呼んで子供を渡しました。彼女の喜びはどんなでしよう。

この話はザレパテのやもめの場合とよく似ております。ザレパテのやもめはエリヤに、この話ではエリシャに、どちらも子供をよみがえらせてもらっていますが、ザレパテのやもめはエリヤから食物を乞われたとき、神の言葉を信じ、乏しい内から食物を与えたのでした。それに反して、この女は自発的に、乞われないのに預言者の要求することを察し、自分を忘れて親切を尽くし、神の人に喜んで奉仕したところが違っています。もちろん、貧富の相違がこうさせたのでしょう。
しかし、二人とも同じように親切な人物で、信仰がありましたので、預言者を通して神より大きな恵みを受けたことを、私たちは学ぶべきです。
なお、このシュネムの女が何事も夫と相談して、事にあたったのは、彼女の家庭の美しさが伺われ、微笑ましくもあります。 
 
ポーリン・マカルピン著
(つのぶえ社出版)この文章の掲載は「つのぶえ社」の許可を得ております。尚、本の在庫はありません。
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