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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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315f9548.jpeg 解説 ウエストミンスター信仰告白 (11)
               
                    岡田  稔著
                  (元神戸改革派伸学校長)
第五章 摂理について(2)

5 最も賢い正しい恵みある神は、しばしば、ご自身の子らをしばらくの間、いろいろな試みと自らの心の腐敗とに任せておかれる。それは、前に犯した罪に対して彼らを懲らしめるため(1)、あるいは腐敗のかくれた力と心の不誠実さとを悟らせて、謙そんならしめるためであり、彼らの援助のために、より近く絶えず神に寄りすがるように導くため、また将来のあらゆる罪の機会に対して警戒させるため、その他いろいろな正しいきよい目的のためである(2)。

  1 歴代下32:25,26,31、サムエル下24:1
  2 Ⅱコリント12:7-9、詩73編、詩77:1,101,12(2,11,13)(*)、
    マルコ14:66-72、ヨハネ21:15-17(**)
     *詩77:1-12(2-13)が正しい。   **マルコ14:66-72とヨハネ21:15-17を比較。

五 ここでは罪の伝播、存続の意義、効用を説いている。一切が神の栄光を目指すように、現在わたしたちが日々に経験する罪悪的事柄も、いちがいに無益有害であると認めるべきでなく、神の摂理によって、すべての罪悪とその結果も、わたしたちを神の栄光に仕えさせるために有益に働くのである。
これは六項と対比して、一面選ばれた者に関する、罪の摂理の意義を述べたものであるとともに、他方、すべての罪の摂理にかかわる神の側の意図を、啓示面から述べているものと考えられる。神の究極の目的に対して、歴史に啓示される時間的目的とも言うべきものがある。選びのみ旨は動かないが、捨てられた者にも警告と外的召命とは与えられているのである。摂理とは、本来この時間の中で働く神のみ業であり、この意味で神は常に愛である。

6 正しい審判者として神が、今日までの罪のゆえに盲目にし、かたくなにされたところの悪い不敬けんな人々について言えば(1)、彼らの理解を明らかにし、彼らの心に働いていたはずの神の恵みを、彼らに賜わらぬばかりか(2)、時には、すでに持っている賜物さえも取りあげ(3)、彼らの腐敗によって罪の機会となるような対象に彼らをさらされる(4)。その上、彼らを自分自身の肉の欲、世の誘惑、サタンの力のなすに任され(5)、それによって、神が他の者らの心を和らげるために用いられる手段によってさえも、彼らは自らをかたくなにすることさえ起こってくる(6)。

  1 ロマ1:24,26,28、ロマ11:7,8
  2 申命29:3(4)
  3 マタイ13:12、マタイ25:29
  4 申命2:30、列王下8:12,13
  5 詩81:11,12(12,13)、Ⅱテサロニケ2:10-12
  6 出エジプト7:3、出エジプト8:11,28(15,32)(*)、Ⅱコリント2:15,16、
    イザヤ8:14、Ⅰペトロ2:7,8、イザヤ6:9-10、行伝28:26,27(**)
    *出エジプト7:3と出エジプト8:11,28(15,32)を比較
    **イザヤ6:9-10を行伝28:26,27と比較

六 ここでは、しかし滅びる者にとって、かならずしも救われるために有益なものとはならない。神は誘惑にあわせられないけれども、罪人は己が悪しき心のために、神の正しい審判に従って、より悪しき状態へと導かれて行くのである。カルヴァンがエジプトの王パロの頑固について極力主張したように、神はその摂理によって悪人を頑固にされるということが結論されている。
悪人が滅びに落ちるのは、神が悪人を審判し、その審判に基づいて処刑するからである。悪人が自身の力で滅びるのではないのである。神は悪人が滅びるのを許容し、見過ごすのでもなく、神が悪人を滅ぼすのである。神のエソウに対する聖定にあたっての憎しみは、やはり、そのまま摂理として歴史に実現するのである。
7 神の摂理は、一般にすべての被造物におよぶと共に、最も特別な方法で、神の教会のために配慮し、万事をその益となるように処理する(1)。

  1 Ⅰテモテ4:10、アモス9:8,9、ロマ8:28、イザヤ43:3-5,14
七 摂理は万物、万人を対象とするもので、悪人といえども、その例外ではないことを述べたが、しかし、また、わたしたちは神が愛する者たちのために、特にみこころを配りたもうことも告白するのである。教会は、神の子どもの地上的団体として、歴史は教会を中心として摂理されるということを信じるのである。聖書の伝達、教会の世界化、地上教会の不滅などの信仰は、この告白に基づいているともいえるところである。
摂理と予定(聖定)とは、特に深くからみ合った教理であるから、パウロはローマ人への手紙9章から11章でこの二つの点を一つのユニットとして語っている。そして10章で予定と摂理という二大問題をつなぐ、もう一つの課題として、福音宣教論を取り上げている。
救拯史とかキリスト教歴史観というものは、これら三つの問題を要素として成立しているから「すべてのことは神から出、神よって成り神に至る」と栄光の一切を神に帰することになるわけである。

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この文章は月刊「つのぶえ」紙に1951年(昭和26)10月号から1954年(昭和29)12月号まで書き綴ったものを単行本にしたものである。「つのぶえジャーナル」掲載には、つのぶえ社から許可を得ています。「ウエストミンスター信仰告白」は日本基督改革派教会出版委員会編を使用。
単行本購入希望者は「つのぶえ社」に、ご注文下さい。¥500
465-0065 名古屋市名東区梅森坂4-101-22-207「つのぶえ社」宛

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