忍者ブログ
2023年7月号  №193 号 通巻877号
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

『旧・新約婦人物語』(48)db38de1e.jpeg

アテネのダマリス
=使徒行伝17:32~34)=

 ダマリスという婦人の名は、聖書の中にただ一回だけここに現れています。使徒行伝17章34節に、「しかし、彼にしたがって信じた者も、幾人かはあった。その中には、アレオバゴスの裁判人デオヌシオとダマリスという女、またその他の人々もいた」。
 この聖書の言葉の中の「彼」というのは、皆様がご存知の大使徒パウロのことです。所はギリシャの都アテネのアレオパゴスにある評議所です。パウロは多くのアテネ人に連れられてアレオパゴスの小山にある評議所のまん中に立たされて、彼を取り巻くアテネの人たちに向かって熱心に真のいける神について説教を致しました。今、わたしがここで皆様方とともに考えようと致しますことは、パウロのお話が終わってからの様子です。
 この使徒パウロの大説教を聞いていた人々の中にはギリシャに住んでいたユダヤ人や、信心深い人もいたことでしょう。当時のアテネは、世界の文化の中心で、エピクロス派とか、ストア派とかいう哲学が流行して、アテネの人たちは、毎日、会堂や広場で議論していたのです。パウロもアテネに着きますと直ぐに、これらの人たちと論じ合ったことが、17章の記事を見てわかります。
 21節にありますように、「アテネ人もそこに滞在している外国人もみな、何か耳新しいことを話したり聞いたりすることのみに、時を過ごしていた」と言うことでも分かります。
 ダマリスがどういう動機で、アレオパゴスの山へ、パウロの話を聞きに行ったのか、はっきりいたしませんが、肝心な点は、彼女がパウロの説教に感動して、信仰生活に入ったと言う事実です。
 ここで非常に不思議に思うことは、昔から真の神を信じて救い主の来られるのを待望し、期待していたユダヤ人が、パウロのこの時の伝道によって救われなかったことです。また神や世界についていろいろな哲学上の問題を想起する哲学者たちも、パウロと議論はしましたが、遂に彼らは満足するに至らなかったようです。
 同じく数限りなくある多くの偶像に囲まれ、これを拝んでいた一般のギリシャ人たちも、初めはパウロの新しい教えに耳を傾けてはいましたが、死人の甦りという新事実を聞かされた時、彼らは我慢が出来ず、ある者は嘲笑し、ある者はいずれまたついでの時にでも、このことについて聞きましょう、と言って去ってしまいました。
 けれどもこの時、救いの恵みを得た人たちもいるのです。その人たちは、心へりくだって、真面目にパウロのお話を聞いた僅かな人たちだけであったのです。この事実に注意して下さい。現代の多くの人たちも、パウロの話をアレオパゴス山上で聞いたギリシャ人と同じような態度をとっているのではないでしょうか。
 偶像崇拝はやめよ! 神を人間の技巧や空想で、金や銀や石などに刻んだものと同じようにみなすべきではない、と言うパウロの大胆率直な言葉を聞いても、多くの現代の日本人は、相も変わらず偶像崇拝を続けております。
 真の神に対して無知であって、別に神様の存在を問題としないのです。悔い改めて神に立ち返りなさい。裁きの日のための準備はよろしいですか。審き主なる蘇りのキリストを信じなさいと何度言われても、キリストの十字架による救いの唯一の信仰の道には入ろうとはせず、またの時に話しましょうと、軽く断るのが普通ではないでしょうか。
 パウロを取りまくアレオパゴスの多くの不信仰な人々の群れの中から、少数ながらもパウロに従って、キリストを信じた人々があったことは、言うまでもなく神様のお恵みでした。
 ダマリスの誇りはここにあるのです。多くの人たちが、自分のことを何と思おうとも、自分は真の神に従い、救われたキリスト者としての道を、これからもただひたすら歩むのだと決心したのです。この決心、決定は、なかなかたやすいことではありません。
 昔から伝わった間違った宗教と習慣を捨てて、人が何と言おうとも真の神に従っていくことは茨の道でもあります。ことに偶像崇拝の多い日本においては、女性として、このようなキリスト者の道を選ぶことは、実に勇気と決断が要ることです。にも関わらず、ダマリスがパウロの説教を聞いて直ぐに、決心したのは教えられる点があります。彼女がこのまたとない機会を逃してはならないと自覚した時、他の少数のものと一緒にパウロの教えに従った決断力を、ここに特に覚えていただきたいと思います。
 パウロは彼の長い伝道旅行中ただ一度だけ、アレオパゴスの評議所で説教を許されたのです。その日、その時、悔い改めて神に立ち返った人々は、どんなに幸いであったことでしょう。
 愛する読者の皆様、あなたは、どんな信仰の道を歩んでおられるでしょうか。金や銀で作ったいのちのない偶像を拝んだり、または人間の限りある知識や、能力では解決できない哲学的な問題に悩まされて、自ら自由を失ったりしておられるのではないでしょうか。あるいはこの世的ないろいろの珍しいことや、世俗的な興味に心を奪われて、真の神に帰る決心をにぶらせているのではありませんか。どうか、ダマリスにならって真の神を求め、信じて、神の示し給う道に進まれるよう願ってやみません。

<アレオパゴス>
 アレス神の丘と言う意味で、アテネのアクロポリスの西にある、軍神アレスの名を持つ低い丘の一つです。この丘に裁判をするためにあったのが、アテネの評議所です。

 ポーリン・マカルピン著
(つのぶえ社出版)この文章の掲載は「つのぶえ社」の許可を得ております。尚、本の在庫はありません。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
ブログ内検索
カウンター
★ごあんない★
毎月第一日更新
お便り・ご感想はこちらへ
お便り・ご感想くださる方は下記のメールフォームか住所へお願いいたします。お便りは「つのぶえジャーナル」の管理人のみ閲覧になっています。*印は必須です。入力ください。
〒465-0065 名古屋市名東区梅森坂4-101-22-207
緑を大切に!
お気持ち一つで!
守ろう自然、育てよう支援の輪を!
書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

      d6b7b262.jpg
教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
217ff6fb.jpg 








「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

b997b4d0.jpg
 









「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
 a0528a6b.jpg









「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
4008bd9e.jpg
われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

0eb70a0b.jpg








さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

Copyright © [   つのぶえジャーナル ] All rights reserved.
Special Template : シンプルなブログテンプレートなら - Design up blog
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]