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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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ビルマ 戦犯者の獄中記(77) 遠山良作著

 ―ハンストのビルマ人―

 現政府に反対し、監禁されている共産党員たちは、監獄の給与改善を要求して「ハンスト」を実行した。瀕死の状態で担架で担ぎ込まれた5人は私の隣に入院した。彼らの顔は水ぶくれのように腫れていた。水も食事もとらないことを宣言してハンストに入り33日目であると言う。30日以上も水も食事もとらずによく生きられたものだと思う。

 彼らの話によると水を飲んでいると15日位は歩行が出来るが、水を飲まないと1週間位で歩けなくなる。一番苦しい時は5、6日目である。幾日目には苦しい節目があるが、体力が消耗しないように寝ていた。30日目に同僚の一人は血を吐いて死んだことも話してくれた。入院した初日はほんの僅かな米を入れて焚いたおも湯である。毎日少しずつ、米の量を増やすのである。5日目にはビスケットが与えられた。彼らはまだ回復しないまま15日目には退院した。かつて英軍の給与が悪かったとき、ストライキすらできなかったわれわれのことを思い出し、彼らの勇気ある行動に敬服した。

 

―巣鴨拘置所―

8月26日(昭和26年)、英領地区の戦犯者227名を乗せた貨物船は横浜港の岸壁に横づけになる。夢だに忘れたことのない祖国日本に着いた喜びで誰もが上気していた。波止場にはわれわれの帰国をニュースで知った家族や知人と思われる人々の群れ、中には○○君と書いたのぼりを立てて出迎える人たちでごったがえしている。私たちはこれらの人々を遠くに見て、下船するや米軍の用意したトラックに分乗して巣鴨拘置所に向かった。

やがてひときわ高い3階建てのビルディングが見える。それが巣鴨拘置所だと教えられる。その手前の道路上にアーチ形の門がある。赤地に白くSUGAMO PRISONと書かれている。この門が正規の門、巣鴨拘置所のメインゲート(正面)である。その門を境に高さ3メートルのバリケードがはりめぐらされ、さらに灰色の高い塀に囲まれた内側に拘置所がある。

ここには、極東裁判で裁かれたA級戦犯者をはじめ、B、C級の戦犯者たち2000名近くが収監されている。何時の日に自由の身になれるかは予想することはできないが、とにかく日本に来たという実感は、いままでの苦しみのすべてを忘れ、その歓びは表現することすらできない。

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書籍紹介
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エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

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教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
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「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

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「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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