忍者ブログ
2023年7月号  №193 号 通巻877号
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 
…キリスト教…
      社会福祉活動のあゆみ(2)
 
 社会福祉とは
   社会福祉の基本的な考え方
 
 「同情」という言葉があります。広辞苑には、「他人の感情、特に苦悩、不幸などをその身になって共に感じること」とありました。そこには、欠けてはいけない言葉あります。それは、尊敬・優しさでしょう。キリスト者の方ならそこからいろいろの聖句を連想なさることでしょう。
昨今、私たちの生活の中に、一般的になった社会福祉の用語、内容について、具体的に説明を必要としないほど、理解されているようですが、社会福祉を多くの人が納得するように、概念規定をすることは、不可能といえましょう。それは、社会福祉には、法的な定義、行政的な定義、社会福祉研究者個々人による定義などがあることからも、推察できるところです。
 しかし、社会福祉とは何かとか、社会福祉の概念規定を徹底的にどこまでも明確にしなければ一歩も前進できないものであるかのように考えてはならないでしょう。社会福祉は、その前身は、宗教用語的な施与、慈善、博愛または救貧というような用語で呼ばれていた救助活動が、時代の要請や時代の思潮、または時の政府の施政方針によって、一つの社会制度として組織的な活動に発展してきたものです。
 また、20世紀になるまでは、一般に慈善事業と呼ばれていました。それが20世紀になって、第一次世界大戦後、社会事業と一般に呼ばれるようになったのです。ですから、社会福祉という用語が用いられるようになったのは、20世紀後半からであるともいえます。
 社会福祉小六法として一冊にまとめられているものを見たり、手にした方はお分かりですが、社会福祉といわれるものの中には、児童福祉、老人福祉、母子福祉、障害者福祉等の具体的な分野が含まれていますが、それらは年々適用範囲を広げて、国や地方公共団体または福祉法人、私人によって実施・実践されています。
 反面、何時の時代でも、何処の国でも同様ですが、貧しい人々や社会福祉の対象者となる不治の病人、障害児、精神障害者、差別されている人々、劣悪な民族とされたユダヤ人や少数民族等は生きる価値が無い者として見捨てられ、何百万人もの人々が殺された歴史がありました。この生きる価値が無い者として見捨てられ、殺されるような人々を、社会福祉の対象者として、どうして支援・保護するのでしょうか。それは、この世に生を受けた者は、人間である限り生きる権利があるということ、即ち、人間の生命の尊厳を無条件に認めるからです。
 社会福祉実践の動機となりますと、一元的ではありません。個人によって、また国によって、時代によっても一様ではないのです。しかし、社会福祉が実践されている活動の圧倒的に大きな部分は、個人的救助です。社会福祉の福祉とは、辞書では、幸福、福利、繁栄と説明されています。福利、繁栄を幸福と同義語と理解してもよいでしょう。幸福は、個人個人によって千差万別です。Aさんにとっての幸福は必ずしもBさんにとっても幸福とは限りません。
 もしも、こうした個人個人によってそれぞれ異なる個人的幸福を、社会が目標にすれば、そのような社会は解体するしかないでしょう。また社会が社会の構成員と幸福とが結び付かない、個人の尊厳を重視しないで、社会全体の幸福を目標にしたならば、全体主義あるいは独裁主義の社会になるでしょう。このように、社会や個人が社会福祉に対する目的・理想は、単なる幸福ではなく、人々が幸福であるために不可欠の基本的必要物である、と理解することは大切です。
 ニコラス・レッシャーと言う学者はその著書「福祉―社会問題の哲学的展望」の中で、この福祉を次のように紹介しています。
『福祉は人間の安寧(well-being)の基本的条件と関係があり、人間の安寧は多くの次元を持ったものであるので、人間の福祉の構成要素は複数である。それらの構成要素の中で、最も顕著なものは、身体的福祉(健康)、物理的福祉(経済)、精神的あるいは心理的福祉(精神的あるいは知能的健康の状態)である。身体的健康、物理的資源及び精神的あるいは心理的安寧は福祉の基本的要素である』。
では、レッシャーの指摘している主要な三つの福祉を妨害するものは何でしょうか。身体的福祉(健康)を損なうものは病気であり、物理的福祉(経済)を損なうものは貧困であり、精神的あるいは心理的福祉(精神的あるいは知能的健康の状態)を損なうもの、そして、その人の持って生まれた性格的なものもあるかもしれませんが、社会的要因がもたらす非行あるいは犯罪であると言える場合もあるのではないでしょうか。
申命記15:11には「この国から貧しい者がいなくなることはないであろう。それゆえ、わたしはあなたに命じる。この国に住む同胞のうち、生活に苦しむ貧しい者に手を大きく開きなさい」とあります。
この聖書のみ言葉が示すように国家・社会・地域に、生活に苦しむ人に対してなす行為が、神の愛に押し出されて、謙虚に手を大きく広げることがキリスト教社会福祉の原点でありましょう。それでは、なぜ手を大きく広げるのでしょうか。それは、まず、神が私たちを愛してくださったことにあります。そして、それが、神の命令(文化命令・役割)であるということが、旧新約聖書を通しての基本思想(信仰)だからなのです。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
ブログ内検索
カウンター
★ごあんない★
毎月第一日更新
お便り・ご感想はこちらへ
お便り・ご感想くださる方は下記のメールフォームか住所へお願いいたします。お便りは「つのぶえジャーナル」の管理人のみ閲覧になっています。*印は必須です。入力ください。
〒465-0065 名古屋市名東区梅森坂4-101-22-207
緑を大切に!
お気持ち一つで!
守ろう自然、育てよう支援の輪を!
書籍紹介
    8858e3b6.jpg
エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

      d6b7b262.jpg
教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
217ff6fb.jpg 








「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

b997b4d0.jpg
 









「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
 a0528a6b.jpg









「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
4008bd9e.jpg
われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

0eb70a0b.jpg








さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

Copyright © [   つのぶえジャーナル ] All rights reserved.
Special Template : シンプルなブログテンプレートなら - Design up blog
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]