2023年7月号
№193
号
通巻877号
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世田谷通信
(69)
過去の統計データから将来を予測するときには、突然変異的な発明や発見といったまったく未知の要素を入れることはできない・・つまり現在の延長線上のラインでしかない・・。しかし「今ここにないもの」を予見する手段として、人間の想像力がある。過去の優れたSF、サイエンス・フィクションで「未来社会」あるいは「夢物語」として描かれていた世界が現実となる瞬間もある。インターネット上にあるフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』をご存じだろうか。匿名の編集者15万人、260以上の言語で書かれ、1千万の項目をもつ、そして今この瞬間も編集され増殖し進化を続ける百科事典である。これは「その項目について知っている」人が個人的な知識を書きこんでいく巨大な共有百科事典である。
つまりあなたも私もその項目について何らかの情報を持っていれば編者の一人とし て参加できるのである。もちろん個人の知識には誤解や間違いは多々ある。故意に事実を歪曲した記述もあるだろう。最初は「信用できない」部分も多く、批判されたが、数人~数十人の「その道の権威」が編纂した市販の百科事典にだって同じことは言える。その時点での最新知識は分野によっては1年以内に過去の遺物となる。その点通称「ウィキ」は紙面や締切や価格の制約もなく、延々と書き込みと修正、編集が続けられるのだ。これはまさに人類の共有知ではないだろうか。これはアイザック・アシモフというSF作家が「ファウンデーション」(銀河帝国興亡史)シリーズの中で書いていた銀河百科事典のイメージと重なってくる。銀河のすべての知識を網羅するという壮大な目的で脈々と受け継がれ編纂され続けるエンサイクロペディア。
この作品の第1部はなんと1942年から1953年に書かれている。パソコンが世の中に現れたのが1970年代、インターネットが出現したのが1990年代、爆発的普及は2001年以降と言われている。まさに「この世にまだないもの」を予見して書いているのだ。さらにアシモフと言えば「ロボット」という言葉を最初に使った人でもある。これも初出は1950年というから驚嘆するしかない。ちなみにアシモフは世界初のしゃべるロボット「ロビイ」が発明される数年前の1992年に亡くなっている。作品の中にこんな1文がある。「完全に論理的かつエレガントに見えて、しかもなお表現されていない仮定を含んでいる議論というものがあるかもしれないよ」(出典:「ファウンデーションと地球」)そんな高みから物事をとらえることができたら、どんなにか清明な心持ちとなれるだろうか。想像もつかない。
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緑を大切に!
書籍紹介
エネルギー技術の
社会意思決定
日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授
「本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
共著者・編者
鈴木達治郎
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
(財)電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
(財)電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント
スーザン・ハント
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
鈴木英昭著
「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円