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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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 『旧・新約婦人物語』(29)
サムエルの母ハンナ
 (サムエル記上 1章)
 
ハンナは、旧約聖書の歴史の中で有名な婦人です。彼女は、エフライム山の麓に住んでいましたエルカナの妻でした。彼女は雄大高潔で知られた預言者サムエルの母です。
ハンナは、先に学びましたアブラハムの妻サラのように、結婚してから長い間、子供がなかったのです。けれども、祈り求めればきっと与えられるものと固く信じていました。サラの場合は、神の使者から、「来年の春・・・サラには男の子が生まれるでしょう」と、はっきり告げられても、心であざ笑って、それを信じませんでした」(創世記18:10)。
ここに二人の間に根本的な信仰の相違があります。それにもかかわらず、夫のエルカナは、ハンナには子供が与えられないものと諦めて、二番目の妻ペニンナを迎えました。それは当時の悪い習慣で、神のみ旨に背くことです。そのためエルカナの家庭の雰囲気は、余りよくなかったようです。ペニンナに多くの子供が生まれるにおよんで、ハンナは常にペニンナに抑えられ、苦しめられていたようです。しかし、夫のエルカナはハンナを非常に愛しておりました。
この家の良いことは、主人に信仰があり、毎年決まって祭日には、主の宮にのぼって燔祭をささげ、熱心に神を礼拝することを常としておりました。
当時、この地方の多くの人々は、神を忘れ、神を礼拝しないのに、この家庭の人々は常に神を忘れず、熱心に神に仕えたようで、これがこの家庭の特徴でした。
主人エルカナが、ハナンには子供が与えられないと諦めたにもかかわらず、ハナンの信仰はなかなか固く、望みを捨てず、常に男の子が与えられるようにと祈り続けました。この時のハナンの祈りの態度は、実に熱心そのもので、一人静かに宮にいて祈りました。ハンナの神は私たちの悩みの時、苦しみの時に、慰めを与えたもうと確信して続けたいものです。この祈りの態度は私たちに大きな教訓を与えます。
「あなたは祈る時、自分の部屋に入り、戸を閉じて、隠れた所においでになるあなたの父に祈りなさい。すると、隠れたことを見ておられるあなたの父は、報いてくださるであろう」(マタイ6:6)。
まことの祈りはこのように、目に見えない、手に触れないが、しかし、確かにいましたもう、生ける真の神に祈ることです。
f64ec43b.jpg祈りは、多くの人が集まって心を合わせて、共にいのることは大きな力ですが、また一人で部屋の中や森の蔭や川のほとりで、静に熱心に祈ることも、さらに大切なことです。祈りの中で、ハンナは神に誓いました。
「万軍の主よ、まことに、はしための悩みをかえりみ、わたしを覚え、はしためを忘れずに、はしために男の子を賜わりますなら、わたしはその子を生涯のあいだ主にささげ、かみそりをその頭にあてません」(11)と。もし男の子が与えられたら、その子の一生涯を神の御用のために捧げるというのです。
ハンナのこの誓いを、先に学んだエフタの誓いに比べて下さい。格段の差が見られます。最も大きな違いは、ハンナの誓いは祈りの内に長く考えられた、まごころのこもった、切々たるものです。それに引き換え、エフタの誓いは出陣間際になされた無思慮なもので、そのうえ、「神が戦いに勝利を与えて下さったなら、何々をします」といった、神と取引でもするような、不敬虔なものでした。
ここで、私たちが考えることは、全ての命は神から出るということです。神が命を与えなければ、人はうまれてくることはできません。
この意味で、人の一生は皆、神の賜物であり、神の御用のためには全部を捧げるのが当然であるともいえます。私たちが捧げる献げ物は、神から与えられたものを、神にお返しするに過ぎないともいえます。私たちは、与えられた恵みの一部分を捧げているのです。「しかしわれわれがこのように喜んでささげることができても、わたしは何者でしょう。わたしの民は何でしょう。すべての物はあなたから出ます。われわれはあなたから受けて、あなたにささげたのです」(歴代志上29:14)とあるとおりです。
私たちは、神から頂いた何パーセントを、神に捧げているか反省しなければなりません。ハンナの誓いはこの心持であり、エフタは神と取引するように見られます。ハンナが宮で熱心に祈っている様子を見て、祭司のエリは、彼女が酒に酔っているのだと思い違いをしまして、彼女を戒めました(12~14)。
私たちも、ともすれば同じようにことの真相を確かめず、人のことを批判したり、悪く思ったりすることがあります。幸いにもエリは、自分の間違っていたことに気付いて直ちにその粗相を詫び、神の祝福が彼女の上にあり、その求める願いを許したまえと祈りました。ハンナはこれに慰められ、励まされて、喜んで家族と共に家に帰りました。そして間もなく、彼女の祈りはきかれ、サムエルが与えられました。
私たちは、ここで心を込めた祈りは必ずきかれる事実を見ます。もちろん、時には私たちの願った通りに、また期待している通りに答えられないかもしれませんが、神の御旨によって更により良い方法で、神は必ず、最善に答えて下さいます。
「求めよ、そうすれば、与えられるであろう・・・・。天にいますあなたの父はなおさら、求めてくる者によいものを下さらないことがあろうか」(マタイ7:7~11)。
ハンナのその後の生活はどうでしたでしょうか。彼女は初めの誓いを忘れず、幼子サムエルを宮につれてのぼり、神の御用に奉仕させました。たった一人の愛児、しかも長年祈り求めて与えられた愛し子を、宮に捧げるハンナの心はどうでしたでしょう。
ここにハンナの強い信仰の、実に偉大な面が現われています。彼女は、その後いよいよ神の祝福に与り、三男二女を与えられ、幸いな日を送りました。これはハンナの信仰の良い果実です。私たちもこのような信仰を持ち、全てを神に捧げたいものです。
 
ーリン・マカルピン著
(つのぶえ社出版)この文章の掲載は「つのぶえ社」の許可を得ております。
 
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書籍紹介
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エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

      d6b7b262.jpg
教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
217ff6fb.jpg 








「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

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「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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