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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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02a0fd27.jpeg ビルマ
  戦犯者の獄中記  (14)  遠山良作 著
 
昭和21年
 
6月15日
空腹なる3オンス給与-
私たちがこの独房に入った頃より給与は悪くなった。水の中に米粒が浮いているような粥が一日に二杯のみである。私たちはこの食事を3オンス(約米6勺)給与と呼んだ。
毎日朝十時頃と三時頃、この粥とジャングル野菜(草の葉)が二つ三つ塩汁に浮いている汁を運んで来てくれる。食器(缶詰の空き缶)を扉の間から出しておくと、空缶で作った杓子に一杯ずつ注いでくれるのである。
時には注いで行くうちに、その量も少なくなって半分位になる時もある。この薄い粥でも命を支えてくれる。毎日ひもじい日が続く。隣りの小林曹長は「腹一杯飯が食べたい、食べられたら何時死刑になってもよい」と言う。冗談とも本気ともとれる。
日が暮れて暗くなると、一層空腹を覚える。
「オーイ、聞こえるか」
「うん、聞こえるぞ」
「腹が減ったなあ、もう一ぺんあのにぎりずしをたべてみたいなあ」
「そうだな、俺も昨晩すしを食べた夢を見たぞ」
と食べることの会話が続く。
 
鉄の扉に頬を寄せてしゃべると、隣りの房にいる友と、なんとか話しが出来ることは有り難い。しかし長くしゃべると腹が減るので、いいかげんで話を中止する。空腹のあまり、水ばかりがぶがぶと呑むと腹がグウグウと鳴る。
便所には毎日行くが、便は一週間に一回位しか出ないのである。なんとか出ないかとふんばる。痛いが我慢して力むと血が混じった堅くて黒っぽい、うさぎの糞状に似た小さな固まりが三つ位出る。食べた物が全部消化されてしまうらしい。
誰の顔を見ても、日に日にやつれて行くのがよく分かる。眼ばかりギョロギョロと光る。太陽に当たらないので青白く、皮膚がたるむ、私の視力も減退し、歩行することさえ困難になる。
給与の悪いのは、この独房ばかりではない。一般キャンプ(雑居房)でも栄養失調が原因で患者が続出しだした。このままの給与が続くなら、生命の保証すら困難であると、軍医は刑務所側に給与の改善を申し込んだ。しかし、彼らの答えは「規定だからやむを得ない」との返事である。
 
 水多き おかゆなれども 有難く 幾度も噛みて 吾は味わう
 
この文章の転載はご子息の許可を得ております。
  
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書籍紹介
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エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

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教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
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「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
…。学徒出陣、友人の死、…。それが私のその後の人生の出発点であり、常に立ち帰るべき原点ということでしょう。…。生涯求道者と自称しています。ここで取り上げた問題の多くは、家での対話から生まれたものです。家では勿論日常茶飯事からいろいろのレベルの会話がありますが夫婦が最も熱くなって論じ合う会話の一端がここに反映されています。
定価 2000円 

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「聖霊とその働き」
エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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さんびか物語
ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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