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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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 解説 ウエストミンスター信仰告白 (2)
               
                    岡田  稔著

第一章  聖書について・・・2

3 普通に経外典と呼ばれる書は、神の霊感によるものではないから、聖書の正経典の一部ではない。従って神の教会内では何の権威もなく、ほかの人間的な文書と違ったどのような仕方ででも是認されたり使用されてはならない(1)。

  1 ルカ24:27,44、ロマ3:2、Ⅱペテロ1:21

三 聖書の権威と効用が前項のように、不離密接である以上、聖書以外の文書の使用に関して十分な注意が必要である。ローマ・カトリック教会は経外典を聖書の中に含めており、英国聖公会は旧約外典を「続旧約聖書」と呼んで準聖書的に重視することは、一般に知られている。それから近代の学者たちは、二世紀の教父文書と聖書中の文書との歴史的価値を十分に区別せず、場合によっては同じように評価して原始キリスト教史を構想するのが常である。
 また、自由主義神学の立場に立つ牧師はアウグスチヌスなどの信仰文献を聖書と大差な
く利用しており、講壇での朗読や説教の引用などにも異教文書やゲーテなど非キリスト教
文学までもが採用されている場合も稀ではない。
 古代教会の公の集会での朗読が、厳密に正典書に限定されていたことは、ユウセビウス
の教会史などに、はっきりと記載されている。神の教会は、神のみ言葉に導かれ、養われ
る団体である以上、人の言葉と神の言葉とは、はっきり区別しなければならない。

4 聖書がそのために信じられ服従されねばならないところの聖書の権威は、どのような人間や教会の証言にも依拠せず、(真理そのものであり)その著者であられる神に、全く依拠する。従って聖書は、神のみ言葉であるという理由から、受けいれられなければならない(1)。

  1 Ⅱペテロ1:19,21、Ⅱテモテ3:16、Ⅰヨハネ5:9、Ⅰテサロニケ2:13

P6160447.jpg四 聖書が、信仰と生活の規準である、と告白することは、聖書は信ずべき、また、服従
すべきものであると告白することである。この両面(信仰と生活)に及ぶ聖書の神性にかかわる働き(すなわち、聖書の効用)は、それが神の霊感によって与えられたと言う聖書の権威に基いている事柄である。
 本項は、この権威をわたしたちが認容する手段についての告白である。一つの命題を真
なりと承服する場合、わたしたちは理性や経験によってこれを自ら判定する。しかし、聖
書の権威と言うような大問題になると、人間であるわたしたちには不可能である。
 このような場合、わたしたちより信用できる他の人間の証言に依存しようとする。ロー
マ・カトリック教会は、この常識論をもって聖書の権威を基礎づける。すなわち、わたし
たちよりも、より聖書時代に近く生存した古代人の証言や、よりキリスト教の真理に精通
した専門家の証言に信頼するようにと言うのである。
 これは相対的には間違ってはいない。しかし、絶対的な基礎とはなりえない。最初に聖
書を受け取った人々の証言と言えども、それが神の言葉・霊感による文書であるとの確信
をどのようにして得たかと言うことになれば、その本人の理性とか経験による判定というだけでは不十分である。結局、聖書の権威はその真の出所である神以外に依拠できない神
の言葉ということだけが、聖書の権威の拠り所なのである。

5 わたしたちは教会の証言によって、聖書に対する高く敬けんな評価へ動かされ、導かれることもあろう(1)。また内容の天的性質、教理の有効性、文体の尊厳、あらゆる部分の一致、(神にすべての栄光を帰そうとする)全体の目的、人間の救いの唯一の方法について行なっている十分な発表、その他多くのたぐいない優秀性や、その全体の完全さも、聖書自身がそれによって神のみ言葉であることをおびただしく立証する論証ではある。しかしそれにもかかわらず、聖書の無謬の真理と神的権威に関するわたしたちの完全な納得と確信は、み言葉により、またみ言葉と共に、わたしたちの心の中で証言して下さる聖霊の内的なみわざから出るものである(2)。

  1 Ⅰテモテ3:15。
  2 Ⅰヨハネ2:20,27、ヨハネ16:13,14、Ⅰコリント2:10-12、イザヤ59:21。

五 この項は、聖書がどうして神の言葉であるとの確信が与えられるか、という点の告白
である。まず教会の証言、すなわち、外的証明と聖書自身の持つ証拠、内的証明である。
しかし、この二つは豊富な証明でありながら、根本的な弱点がある。
 このことは第一項の自然啓示論とよく似ている。聖書が神の言葉であって、人間の言葉
ではないと言う証拠は、歴史からも聖書自身からも言い逃れられないほどに十分に存在す
るが、わたしたちの罪に汚れた知性や心情には、この二重の証拠も十分に有効ではない。
そこで、この障害を突破する道は、ただ神の特別な直接的・超自然的なみ業に待つ外ない。これが、聖霊の内的証明と呼ばれるものである。ここで注意したいことは、この聖霊の内的な働きと聖書自身との関係である。それがどんなに不離不即なものであるかを強調するために「み言葉により、またみ言葉と共に・・・」と表現されているのである。
 もう一つ注意したいことは、「聖書の無謬と神的権威」と言われていることである。聖書
が神の言葉であるということは、漠然とした感情ではなく、明白な無謬的真理だという確信であり、聖書の権威はこうした聖書の無謬性を根底に持つ主張なのである。無謬だからこそ権威があるのである。聖書がみ言葉を通してわたしたちに証しすることは、この無謬性に基づく権威性そのものである。このことによって、聖書が単に啓示の記録だけにとどまらず、現在与えられている唯一の啓示そのものなのである。
 ここでは明瞭に、アナバプテスト的な神秘主義、すなわち、み言葉を離れて聖霊が語る
という教説と、ルター派的なみ言葉以外に聖霊の活動を否定する考えに対して、改革派教
会の「み言葉と聖霊の共働」の教えが告白されている。
  **********

この文章は月刊「つのぶえ」紙に1951年(昭和26)10月号から1954年(昭和29)12月号まで書き綴ったものを単行本にしたものである。「つのぶえジャーナル」掲載には、つのぶえ社から許可を得ています。「ウエストミンスター信仰告白」は日本基督改革派教会出版委員会編を使用。
単行本購入希望者は「つのぶえ社」に、ご注文下さい。¥500
465-0065 名古屋市名東区梅森坂4-101-22-207「つのぶえ社」宛
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 共著者・編者
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東京大学大学院法学政治学研究科教授
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