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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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  『旧・新約婦人物語』(36)
 
  ローマのマリヤ
       =ローマ16:3~16=
 
 使徒パウロが、ローマにいるキリスト信者に書き送りました有名な「ローマ人への手紙」の終わりの16章で、20数人の熱心な信者たちの名を一つ一つあげて、丁寧な挨拶を送り「よろしく」と言っています。その内に3節に記されていますプリスカとアクラ以外の人々の名前は、このところにしか聖書に記されていません。しかし、これらの名前は、わたしたちにいろいろと大切な教訓を与えていると思います。
 その一つは、パウロの愛に満ちた心が鏡に映るように出ていることです。その心は愛と同情に満ち、人より受けた親切は決して忘れず、神にある信徒の交わりを尊ぶ心で一杯であったことを強くあらわしています。もう一つ教えられることは、パウロの伝道がいかに力あるもので、まことに素晴らしく立派な信仰の実を、どんなにたくさん結んだか、ということであります。
 特にわたしたちを感激させますことは、ここに現われていますあたたかい個人的な交わりです。教会においても、このあたたかい個人と個人の信者たちの交わりは、まことに大切であると存じます。転々と伝道旅行を続けていたパウロではありますが、ローマの教会の一人一人をよく覚えていて、彼らの信仰状態を詳しくつぶさに察知していました。彼が一人一人の名をあげて、その人たちと手紙のやりとりをしていたことは、実に美しいことだと思います。
 
パウロが、ローマ人への手紙16章においてあげた、ローマの教会の信徒たちの名前の内に、二人の女性の名が出ています。その名は、6節に記されていますマリヤと、12節のペルシスであります。このマリヤは、特にローマのマリヤと呼ばれていますが、それは新約聖書に出てくる5人のマリヤと混同しないために、このように呼ばれているのでしょう。たぶん、この婦人は洗礼受けた時、マリヤというクリスチャン・ネームをいただいたのでしょう。
 彼女のローマでの名前は誰も知りません。このローマのマリヤと、ペルシスについて、パウロは何と言っているかによって、彼女らの性格や信仰がうかがわれます。6節を見ますと、「あなたがたのために一方ならず労苦したマリヤに、よろしく言ってほしい」。12節では「・・・。主にあって一方ならず労苦した愛するペルシスに、よろしく」と書かれていて、この二つの節の短い言葉の中に、彼女らの気高い信仰と、美しい愛による働きが目に見えるようであります。またパウロの彼女らに対する愛情に満ちた心根が、にじみ出ているようでもあります。
 
この名も知られぬマリヤとペルシスの名前が、どうしてここにあげられたのでしょうか。この二人の主にある姉妹は、教会のため、また多くの人々に慰めの奉仕をしたためであったことは、先のパウロの言葉を見てもよくわかります。それがどういう奉仕であったかは、はっきりいたしません。しかし彼女らがもし伝道者であったとか、執事でありましたなら、きっとそのことが記録されていたであろうと思います。
 でもそれも書かれていないところから察しますと、彼女らは伝道者とか執事には選ばれていなかったようであります。とにかく、彼女たちは平信徒として、単なる信者として、一生懸命、主の教会のために努力したことは事実でありましょう。おのれを捨てて、貧しい人々を助け、病める人たちを病床に見舞い、教会から遠のいて離れ去りつつある人を尋ね、また隣り人を教会にさそい、孤児たちを慰めるなど、自分の持っている才能を十分に働かし、主のみ栄えのために奉仕されたようであります。さらに、彼女たちは自らの家庭の中ででも、友人たちとのグループの中ででも、力強く、主イエス・キリストによる救いを、人々に証ししたことと思います。
 
 このマリヤとペルシスの境遇は、ある意味で日本のクリスチャン婦人の境遇によく似たとこがあるように思えます。今日の日本の社会はどこに行きましても、二千年昔のローマと同様で、異教と偶像と迷信が満ち満ちております。また、クリスチャンの数も、同じように僅かであります。たいていのクリスチャンは一人ぽっちで、家庭の中で、キリスト教信仰を持っているのはその人一人だけというケースがまことに多いのです。
 信仰のあるクリスチャン女性が、信者でない男性と結婚したばかりに、教会へ出かけることが出来なくなった例は、数え切れません。幸いにも主人がクリスチャンであっても、お姑さんの反対があったり、気兼ねしたりして教会の礼拝に出ることの出来ないでいるお嫁さんもたくさんおられます。
 これからは日本のキリスト教会の発展にとって、癌ともいえる問題です。日本のキリスト教会の実情を考えます時、ローマのマリヤやペルシスの働きは、大きな励ましをわたしたちに与えてくださいます。この二人は、数え切れないほど存在する異教徒の中で、唯一、真の生ける全能の神様のために、ひとかたならず苦労を続けていたことは、実にわたしたちを感激させずにおきません。彼女たちは、わたしたちにとって立派な良き模範とも申せましょう。
 
      ーリン・マカルピン著
(つのぶえ社出版)この文章の掲載は「つのぶえ社」の許可を得ております。
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書籍紹介
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エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
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横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

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発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
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本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
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