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2023年7月号  №193 号 通巻877号
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 バラ・マカルピン「日本伝道百年史」・・2・・   

             水垣 清著

    (元中津川教会牧師・元「キリストへ時間」ラジオ説教者)

2 成仏寺の生活・・1・・

 「どんな場所へ案内して呉れるのかと尋ねて見たかったのですが、遠慮してしまった。するとやがてお寺について、大きいどっしりした門が開いて、大きい立派な建築物、門からそこへ石畳をしいて舗道が出来ているのを見て驚きました。ブラウン一家は本堂に接する庫裡(くり)におられ、バプテスト派の宣教師ゴーブル氏は境内の小さい家に住んでおりました。

ヘボン博士は独り本堂に住まっておられましたが、家族はその頃アメリカに帰っておられたので、私達はヘボン博士と共に本堂に住むことになりました。ブラウン夫人の言われるには、『これが日本のこの地に於ける唯一の宣教師館なのです。あなた方を歓迎しますよ』と、ヘボン博士は独り住まいにあきて、私共夫婦を親切に迎えて下さいました。寺の境内の外景は立派でありましたが、家の中は稍(やや)暗く、陰気でした。博士は仏像を取り除き、ガラス窓や紙の仕切りなども作ったのでしたが、私共はブラウンさんの一家に迎えられました。ヘボン博士は喜色満面、微笑をうかべ戸口で私共を迎え応接間を通って気持ちのよい居間に案内して呉れました」(ドクトルヘボン伝)。

こうしてバラ夫妻の日本伝道の出発は、仏教寺院を本拠にして始められ、その本堂が日曜礼拝の教会堂となり、横浜居留の宣教師や信徒たちが小舟に乗って礼拝に集まった。宣教師たちの子供のため、バラ夫人などが日曜学校を受持った。クリスマス礼拝も、パーティーもこの成仏寺の本堂で行われた。

バラ先生の日課は、毎朝早く起き出して、成仏寺から1キロ程北の丘にある「岩崎山平尾内膳守物見の松」に登り、その樹下でしばらく祈って帰り朝食をとられ、それから横浜の167番の建物に出かけて、その日の教務を執られた。  成仏寺の附近には、本覚寺に米国領事館、フランス公使館には神奈川甚行寺、オランダ領事館には長延寺、成仏寺のすぐ左り隣りの慶運寺にはフランス領事館にあてられ、成仏寺前の小川の向か側の浄瀧寺は英国領事館があった。

この寺町の一画に、常に「尊王攘夷」をとなえる水戸浪士や長州、土佐などの浪人たちが横行して、すきがあれば外国人を斬殺しようとねらっていたのである。また江戸幕府もキリスト教禁制の立場から、門衛や下僕にしたてたスパイを入れて、成仏寺の宣教師の行動をいつも探っている有様であった。幕府は宣教師を寺に軟禁して監視するという政策をとったので、寺の門の両側には、保護という名目で監視の役人がいつも4人ずつの交替で立ち番をしていた。  

 成仏寺に於けるバラ、ヘボン、ブラウンの三家族は異教の国、日本にあって、言語の通じる唯一の友であり、また慰めであった。日本語のわかるアメリカ人はおらず、また、英語を解する日本人もいない生活は、ずいぶんと不自由であったが、言葉によらず行ないによる宣教師たちの生活に感化された一つの物語が残っている。

 ::この文章は、月刊「つのぶえ」からの転載で、「つのぶえ社」から許可を得ています::
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書籍紹介
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エネルギー技術の
 社会意思決定

日本評論社
ISBN978-4-535-55538-9
 定価(本体5200+税)
=推薦の言葉=
森田 朗
東京大学公共政策大学院長、法学政治学研究科・法学部教授

本書は、科学技術と公共政策という新しい研究分野を目指す人たちにまずお薦めしたい。豊富な事例研究は大変読み応えがあり、またそれぞれの事例が個性豊かに分析されている点も興味深い。一方で、学術的な分析枠組みもしっかりしており、著者たちの熱意がよみとれる。エネルギー技術という公共性の高い技術をめぐる社会意思決定は、本書の言うように、公共政策にとっても大きなチャレンジである。現実に、公共政策の意思決定に携わる政府や地方自治体のかたがたにも是非一読をお薦めしたい。」
 共著者・編者
鈴木達治郎
電力中央研究所社会経済研究所研究参事。東京大学公共政策大学院客員教授
城山英明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
松本三和夫
東京大学大学院人文社会系研究科教授
青木一益
富山大学経済学部経営法学科准教授
上野貴弘
電力中央研究所社会経済研究所研究員
木村 宰
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
寿楽浩太
東京大学大学院学際情報学府博士課程
白取耕一郎
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程
西出拓生
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程
馬場健司
電力中央研究所社会経済研究所主任研究員
本藤祐樹
横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
おすすめ本

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教会における女性のリーダーシップ
スーザン・ハント
ペギー・ハチソン 共著
発行所 つのぶえ社
発 売 つのぶえ社
いのちのことば社
SBN4-264-01910-9 COO16
定価(本体1300円+税)
本書は、クリスチャンの女性が、教会において担うべき任務のために、自分たちの能力をどう自己理解し、焦点を合わせるべきかということについて記したものです。また、本書は、男性の指導的地位を正当化することや教会内の権威に関係する職務に女性を任職する問題について述べたものではありません。むしろわたしたちは、男性の指導的地位が受け入れられている教会のなかで、女性はどのような機能を果たすかという問題を創造的に検討したいと願っています。また、リーダーは後継者―つまりグループのゴールを分かち合える人々―を生み出すことが出来るかどうかによって、その成否が決まります。そういう意味で、リーダーとは助け手です。
スーザン・ハント 
おすすめ本
「つのぶえ社出版の本の紹介」
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「緑のまきば」
吉岡 繁著
(元神戸改革派神学校校長)
「あとがき」より
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定価 2000円 

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エドウイン・H・パーマー著
鈴木英昭訳
「著者のことば」より
…。近年になって、御霊の働きについて短時間で学ぶ傾向が一層強まっている。しかしその学びもおもに、クリスチャン生活における御霊の働きを分析するということに向けられている。つまり、再生と聖化に向けられていて、他の面における御霊の広範囲な働きが無視されている。本書はクリスチャン生活以外の面の聖霊について新しい聖書研究が必要なこと、こうした理由から書かれている。
定価 1500円
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「十戒と主の祈り」
鈴木英昭著
 「著者のことば」
…。神の言葉としての聖書の真理は、永遠に変わりませんが、変わり続ける複雑な時代の問題に対して聖書を適用するためには、聖書そのものの理解とともに、生活にかかわる問題として捉えてはじめて、それが可能になります。それを一冊にまとめてみました。
定価 1800円
おすすめ本
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われらの教会と伝道
C.ジョン・ミラー著
鈴木英昭訳
キリスト者なら、誰もが伝道の大切さを知っている。しかし、実際は、その困難さに打ち負かされてしまっている。著者は改めて伝道の喜びを取り戻すために、私たちの内的欠陥を取り除き、具体的な対応策を信仰の成長と共に考えさせてくれます。個人で、グループのテキストにしてみませんか。
定価 1000円
おすすめ本

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ポーリン・マカルピン著
著者の言葉
讃美歌はクリスチャンにとって、1つの大きな宝物といえます。教会で神様を礼拝する時にも、家庭礼拝の時にも、友との親しい交わりの時にも、そして、悲しい時、うれしい時などに讃美歌が歌える特権は、本当に素晴しいことでございます。しかし、讃美歌の本当のメッセージを知るためには、主イエス・キリストと父なる神様への信仰、み霊なる神様への信頼が必要であります。また、作曲者の願い、讃美歌の歌詞の背景にあるもの、その土台である神様のみ言葉の聖書に触れ、教えられることも大切であります。ここには皆様が広く愛唱されている50曲を選びました。
定価 3000円

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